滝風半端ない!滝王国・木沢の中谷周辺の滝群(那賀町) | 次世代に遺したい自然や史跡

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毎年WEB初公開となる無名伝承地や史跡、マイナーな景勝・奇勝を発表。戦争遺跡や鉄道関連、坂本龍馬等の偉人のマイナー伝承地も。学芸員資格を持つ元高知新聞主管講座講師が解説。

[稀に見る名瀑群]

徳島県那賀町の旧木沢村は平成の合併前、「滝王国」と称し、60ほどの滝を調査し、村おこしを企図していた。但し、以前紹介した徳島県一の滝、加州谷の滝は、自治体は未調査。

 

その加州谷の滝記事の中で旧木沢村にはもう一つ落差100m以上の滝が存在する旨述べたが、それは旧木沢村が発行した滝の冊子の誤りであり、実際、探訪してみたところ、「100m以上」というのは落差ではなく、長さだった。

 

しかしこの滝「西久保の前の滝」は稀に見る名瀑だった。落差は5070mほどなのだが、異なる三種以上の瀑布が一つの滝になっていたのである。

 

まず、林道岩倉・蝉谷線のすぐ奥に懸かる最下段の瀑布は普通の形状。そこからは小さな滝のように見えるが、右岸(東岸)のガレ場を登って行くとそれなりの規模であることが分かる。

 

踏み跡は最下段の滝の天辺(上の写真)に出るが、そこから四段目から最上段までの瀑布を仰ぐと圧倒的な迫力で迫ってくる。まず、最上段の瀑布は岩の上から噴出するように豪快に飛び出しており、二段目はそれとは正反対で、岩肌を滑るように流れる滑滝。

 

そして滝壺を経て滑滝と同様、三条に分かれて落ちる三段目の滝へと繋がっている。両岸共、滝の間近まで接近することができる。

 

この西久保の前の滝の少々手前にある林道の橋にも落差50mの滝「霧の滝」(上の写真と下の地図)が懸かっている。西久保の前の滝同様、普段は水量が少ないことから、この滝名が付いたものと思われるが、今の時期は二つの滝共水量が多く、豪快に飛沫を上げている。

 

霧の滝の西側上方には巨木があるが、その西の沢の上流にも無名の滝(下の写真)が懸かっている。この二つの滝は林道の下方で合流し、更に水量を増し、下流で別の滝を形成している。この谷、中谷(なかんたに)にはそのように豪快な滝が多い。

 

西久保の前の滝に話を戻すが、この奥の林道の右急カーブの沢上流にも二つの無名滝が懸かっている。その二つの滝の内、東側に懸かる滝の天辺には上方の林道から下るとすぐ。天辺から向かいの滝は木の間越しに伺える(下の写真)ものの、天辺から下の瀑布を拝もうと思えば、前述のカーブ部から沢登りをするしかないだろう。

 

ところでタイトルにある「滝風半端ない」滝とは、中谷の最下流に懸かる「中谷の滝」のことである。落差こそ20mもないが、水量の多さが突出しており、そのため、物凄い滝風が吹いており、ツバの広い帽子を被っていると吹き飛ばされそうなほど。飛沫も当然かかる。そのため、常に付近の岩場が濡れており、滑るため、滝壺の縁には上がり辛い。滝壺は今回の滝の中では最も規模が大きい。

 

しかしどの滝も道標は一切設置されていない。これら四つの滝を巡る際、中谷の滝は最後でいいだろう。それは谷に日光が直接差し込んでいるため、夏場なら18時頃でもそこそこ明るいため。とは言え、真夏の日中、この滝は超クール。

 

尚、この滝は剣山スーパー林道へ向かう途中の橋のすぐ上流にある。スーパー林道に出て右折するとほどなく徳島県の無名峰の最高峰・槍戸山の登山口に到り、左折すると西日本第二の高峰・剣山の登山口(法螺貝の滝経由)やその次に高い次郎笈の登山口に到る。槍戸山から一ノ森に登り、剣山まで縦走して法螺貝の滝を経てスーパー林道に戻る一日がかりの大回遊コースは、剣山登山コースの中では最もお勧めのコース。

 

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