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先日のエントリ『百聞は一見に如かず 若いうちに外国を』では、仕事で何度か訪れた中国での思い出話を書いた。25年近く前に最初に訪問しその後も何度か行ったが、上海や深圳は街も人も行くたびに変わっていたのである。
最後に訪問してからすでに10年以上経っているから、上海も北京も深圳もさらに変わっているに違いない。乞食まで電子決済という話が本当がどうかぜひ自分の目で確かめたいと思っていたが、街だけではなくモノづくりの現場もかなり変わっているらしい。
ネットで見かけた次の記事ではビジネスのため中国に長年住み続けている日本人の方がじかに見た中国のモノづくりの一側面が語られている。
(まぐまぐニュース!第一線の専門家たちがニッポンに「なぜ?」を問いかける)
中国で仕事する日本人が素直に感じた「このままだと日本ヤバい」2018.11.12
https://www.mag2.com/p/news/376210
(一部抜粋)
私は仕事柄、中国の工場を訪問する機会があるのですが、先日中国の中部にある工場を訪問した時に度肝を抜かれたというか、考えさせられる出来事がありました。
訪問したエリアは湖北省と呼ばれる中国中部にあるエリア。
上海から高鉄と呼ばれる新幹線を使うと最速で4時間で行ける場所です。都心部は都市開発を急速に進めていて地下鉄工事や商業施設、誘致を受けた工場などの工事の真っ只中。まだ下町のエリアは残っているものの、建設ラッシュが始まった姿は十数年前の上海を彷彿とさせます。
一般的な庶民が食す軽食を扱う店舗は、上海に比べると3割から半額程度の値段設定。もちろん生活費が安い訳ですから給与も低く、繁華街で見かけた日本レストラン募集の給与は3,500元(18年11月レート換算5.8万円)。若手サラリーマンの給与でも4,000元程度(18年11月レート換算6.5万円)とのことで、この辺も上海などに比べ賃金も4割くらいは安い状態です。
そんな情報を仕入れつつ、訪問先の工場が完全な「中華系企業」であったため、勝手に「工員が多く働いているのだろう」と想像しながら訪問したのですが、それが完全な間違いでした。
訪問した工場構内、整然とされていて非常にキレイ。そして人がいない。基本的に機械が加工を行い、工員は部材を準備している程度。整列された工場機器に数えるほどしか居ない工員達。想定外の出来事でした。
工賃が安いエリアに工場があるので、数多くのスタッフを雇い製造を行っていると思っていたのが、カナリ機械化を進めているのでした。
思っていたとおりだ。
10数年前は上海や深圳など一部の都市だけが急速に近代的な街に変貌しつつあったが、その急激な変化が地方にも広り始めているのである。
そして、何より驚いたのは、工賃の安い地域でも工場の自動化という選択を始めていることだった。中国の工場と言えば地方から出てきた工員さんがずらっと並んだ光景を思い出すが、それも変わりつつあるのだ。
もちろん、これはまだまだ一部なのだろう。とはいえ、街だけではなくモノづくりの世界でも、私の知る10年前とは状況がかなり変わっていることは間違いなさそうだ。もっとも、その自動化を進めたり整然とした工場を維持できているのはどうやら日本人のおかげらしい。
記事は次のように続く。
中華系企業ですが、お会いした相手は日本人。業界に精通していて、簡単な話「ヘッドハンティング」で採用された方。与えられた使命は企業の効率化やカイゼン。その為ある程度の費用が掛かっても、自動化や無人化など「人を減らせる提案」を求めているという事でした。
工賃が高い日本で自動化や無人化を進めるというのは理解できますが、工賃が安い場所でも自動化や無人化を進める中華系企業。日本人には考えられないかも知れませんが、その背景には少しでも条件の良い給与先を求めて、ある一定の年齢までは転職を繰り返すという中国人スタッフの姿があります。
雇う側からすれば、仕事を覚えた頃には転職。人の入れ替わりが激しいと、ルールの徹底ができず品質が安定しません。そこで、生産の標準化を実現するために、費用がかかっても自動化や無人化を進めて、一定の標準化や規則に従うよう管理を行いたいという事のようでした。
そして、その任務を担っているのがカイゼンのプロ、日本人なのです。
(引用ここまで)
中国が生産拠点として注目されだしてから四半世紀は経つ。ところが、彼らの工場の現場にはノウハウらしきものが蓄積できていないようなのだ。これまで多くの日本人が指導に当たってきたが、肝心のところがあまり進歩していないのである。。
苦労して人材を育てても、少しでも条件のいいところがあると簡単に転職してしまう。
だから、いつまでたっても日本人の指導は終わらない。
そんな状態が昔からずっと続いているのだ。
そんな状態の上に、農村部からの労働力供給が頭打ちになり賃金が上がってきた。人材不足と経費上昇に伴うコスト力の低下が自動化の強い動機付けになっているのではないか。
将来のことを考えれば、あてにならない中国人より自動化のほうがあてになる。
そして、この傾向はすでに中国社会に広く普及している電子マネーのように一気に加速しそうな気がする。言い方は悪いが、偽札が多いから電子マネーが爆発的に普及しているのと同じ構図に思えるのである。
ところで、上記記事の後半は、責任の所在があいまいで決断に時間がかかる日本企業や駐在員に対する批判が続く。中国へ進出した日本企業の駐在員がリスクを嫌う、本社の意向を気にしすぎて決断が遅いなど、さまざまな問題点が指摘されている。
カイゼンのプロとしてバリバリ仕事をしている日本人もいれば、そんな人もいるのだ。
それまでいた企業から離れて単身中国に渡った人はすぐに結果を求められるし、誰も頼れないから決断も仕事も早くなるのだろう。
それはともかく、中国はIoTやロボット技術などの最先端技術による情報社会の次の時代、「超スマート社会(Society 5.0)」を目指し、中国製造2025と名付けた国家プロジェクトを推進している。モノづくりでも世界制覇を果たそうとしているのである。
もっとも、中国がこの分野のルールや仕組みづくりの主導権を握ることはできないだろう。
なにしろ、いまだに日本のカイゼンの指導を受けているありさまなのだ。
10数年前と比べて工場の自動化は進んでいても、肝心のところは進歩していないようだ。
(以上)
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