★★★★☆

 就職浪人中のウツノが、食事をしながらひたすらネガティブでマイナスな脳内思考を垂れ流す。

 言ってみれば、すごくネガティブな『孤独のグルメ』という感じでしょうか。

 ウツノの食に対する独特なシニカルな目線、そのあまりに自意識過剰な性格による溢れ出すネガティブさがおもしろいです。どこか文学的な香りさえする。

 かといって暗い内容ではなく、その逆で、読んでいて四回ほど声出して笑ってしまいました。

 

 「普通、そこまで気にして食べないよね?」と思うくらいに食べている時の他人の視線や自分がどう見られているかを気にしつつ、それでもわりといろんな食にチャレンジしてみたり、季節や行事ごとのメニューに果敢に挑んでみたり。この人はネガティブさと自虐を抱きつつも、この人なりに食に興味があって、かつ食を楽しんでいるんじゃないかと思えるほどです。そのアプローチの仕方がマイナス思考を伴っているだけで。

 

 ただ、ネタ的にはおもしろいのですが、食を扱った漫画でありながら汚物や虫がからんでくるエピソードがけっこう多くて、それがどうも生理的に不快というか、ちょっと食欲が失せるような感じでしたね。マンガでその食品と汚物・虫を絡めたネタを読んで食欲が失せ、後日リアルでその食品を見た時に漫画の内容を思い出してまた食欲が失せる二次被害も起こりそうな気がして・・・。

 

 食事時に排泄系と害虫系の話題はダメ、絶対!という人は読まない方がいいかもしれませんね・・・。絵がシンプルなのでそこまでえげつなくはありませんが、それでも「うぇっ・・・」となってしまうので。

 主人公ウツノのシニカルさとダメな方向の食事あるあるネタはけっこうおもしろいのですが、それだけが残念です。汚物・虫系のネタがなければ星5つくらいなんですけど・・・。