「メメント・モリ(memento mori)」死を忘るなかれ | BOOTS STRAP 外国語と ゆかいな哲学の館

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ありふれた日常を考察する
<芦屋・三宮>

アルカディア(Ἀρκαδία) は古代ギリシャ時代から続く地域名。
そこは、牧人の楽園として知られるところ。
すなわち、ユートピアとされる場所。
17世紀の画家ニコラ・プッサンに、ここを題材にした絵画
『アルカディアの牧人たち』と題する作品がある。
今はルーブル美術館に収められている。

『アルカディアの牧人たち』

3人の牧人が石室のようなものを囲んで何やら書かれている文字を読んで、
この意味を一人の識者に訊いているような構図。
そこに書かれているのは "Et In Arcadia Ego" という言葉。
この意味は「我もまた、アルカディアにあり」となる。
「我」とは「死」のこと。
牧人たちのユートピア(楽園)であるアルカディアではあるけれど、
この地といえど、人は永遠に生きるものではない。
よく、ラテン語で言われる「メメント・モリ(memento mori)」。
すなわち、「死を忘るなかれ」となる。

ルイ14世はこの絵を手に入れ自分が死ぬまで身近に置いていた、という。
このニコラ・プッサンの作品は、今では世界の美術館の所蔵となっているが、
20世紀初頭にはそれほどの評価を受けていなかったようだ。
それを知る手がかりは、プルーストの小説『失われた時を求めて』の一節。
そこに出てくるのは「なんでも知っているのよ」と言わんばかりのいわゆるスノッブ。
そのようなカンブルメール夫人が絵画の話になった時に
「お願いですから、モネのような画家の後でプッサンなんて
無能な御老体をもち出さないで。
モネ、ドガ、マネ、そう、彼らこそ画家というものです」とある。
プルーストは審美家。
プッサンやフェルメールを再評価するきっかけを作ったのは
この小説だったかも知れない。
この時代を見通すように、知ったかぶりをするスノッブの女性を
シニカルに描いている一節とも言える。

この小説には様々な登場人物が出てくるが、
この作品が全編を通して語っているモチーフは、
「メメント・モリ(memento mori)」なのかも知れない...


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<了>