何でもない人の「アウトサイダー・アート」 | BOOTS STRAP 外国語と ゆかいな哲学の館

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ありふれた日常を考察する
<芦屋・三宮>

「アウトサイダー・アート(outsider art)」と呼ばれるものがある。
これはアートの専門的な教育を受けずして制作した作品。
精神障碍者や心霊者が作ったアート作品もその範疇に含まれる。
19世紀の後半から20世紀にかけて一人の郵便配達夫が33年かけて
たった一人で自分が理想とする宮殿を建てたという「シュヴァルの理想宮(Palais idéal du facteur Cheval)」もその一つに数えられる。
伝説になっている話として、郵便配達をしているときに一つの石につまづいたことがきっかけとなり、路傍の石を見つけてはポケットに詰めたりして持ち帰り、
イメージの中にある宮殿を作り上げた。

『シュヴァルの理想宮』

東洋の宮殿を頭に描き、建築の素養もまるでない中で作っていった。
やがて人の知るところとなり、建築家はもちろんのこと、世界でも知られることになる。
そして、シュルレアリストやピカソなども訪ねている。
シュヴァルは1924年に88歳で亡くなっているが、
その独創性が認められ、戦後、アンドレ・マルローが文化大臣に任期中の1969年に重要建築物の認定がなされている。
今も拝観が可能だが、場所は南仏、大きな街としてはリヨンが近いことになるが、
そこから3時間ほどの道のり。
当方も訪ねてみたいという気持ちでいっぱいだったが、日程的に厳しく
断念した覚えがある。

こんなものを作り上げた郵便配達夫とはどんな人だったのだろうという思いがあった。
2018年に公開された『シュヴァルの理想宮 ある郵便配達員の夢』
と題する映画がその問題を解決してくれた。

かつて北野武が「何でもない人の何でもない映画を撮りたい」
という言葉を言ったことがあったが、一介の郵便配達夫が33年の歳月を
かけて作った宮殿だが日常的には「何でもない人」。
察するところ、決してドラマチックにはならない。
そんな題材だが、ジョセフ・シュヴァルという人物を描き、
感動的な映画作品に仕上がっていた。

「何でもない人」の「何でもない人生」が産み出したアウトサイダー・アート。
そんな人が作った奇怪(きっかい)なアートが、
人の心ときめかせる...


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<了>