7月中旬のことになりますが、東洋文庫ミュージアムで開催されている、『悪人か、ヒーローか』を鑑賞してきました。

 

 

歴史上において、大活躍したにもかかわらず“悪人”とされてしまっている人は決して少なくないのが実情です。しかし、そのときどきの社会規範から大きく逸脱しているためにそのようなイメージが付けられたものの、文献や創作物では魅力的な人物として描かれる、というケースは珍しくありません。

 

その一方で、偉業を成し遂げたにもかかわらずその後の社会状況の変化で、悪役に押し立てられてしまった人もいます。本展では、これまで悪とされた人たちがなぜ、そのような扱われた方をしたのか。また、その実像について、当時の文献などをもとに紹介していくという展示となっていました。

 

中国や日本の歴史上の人物がメインでしたが、三国志とか古代の人物について詳しくないので、そのあたりについては何とも言えません。逆に日本はわかりやすかったですね。水戸学の尊王史観の影響を受けた、楠木正成と足利尊氏の例えに象徴されます。幕末から戦前にかけて、正義と悪のイメージをしっかりとつけられました。

 

また、現在の日本の風潮では、たとえ義賊でも犯罪を犯した人物は英雄にはなりにくいでしょう。このように、極悪人もスーパーヒーローも、時代時代の風潮や空気、意識(時の権力者の影響もあるでしょう)によってその位置づけが変わってくるものなんですね。

 

とすれば、批判が多かったり、イメージがよろしくない政治家なども、数十年後にはその評価がガラッと変わっているということもあるんでしょうね。なかなか興味深い展覧会でした。

 


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