義理家一同の口癖は
そんなのアカン、こんなのアカン
義母も義姉も、とにかく全てが否定の言葉を
すぐに言います。
そのたびに私は心の中で思ってきました。
やってもみないで、なぜ分かる?
やってみないと分からないじゃない!
義母さんの足元が頼りなくなった頃から
義姉は実の母とのお出かけを、一切やらなくなりました。
年老いた母親は、若い者の速度に合わせて歩けず
ユックリしか進めないので、確かに時間はかかります。
でも、そのユックリを待てない娘 ( 義姉 ) は
あれではアカン!あの母親と一緒に出かけるのは
もう無理だと決めたのです
一方、義母から、今、言って、今、すぐ来いで
医者への送迎や、買い物への付き合いを
たびたび命じられていた次男の嫁の私は
同じ義母を見て、義姉とは別のことを考えていました。
それは自分の親が、やって見せた日常。
年寄りが、一人で歩くのが頼りなくなったなら
横にいる者が手を取ればよいし
ユックリしか進めないなら、そばにいる者が
そのユックリに合わせて歩けばよいこと。
手を取っても心配な状態になったなら
車椅子を使えば、買い物にも行ける。
だから我が家には、義母さん用に買った
簡単に折りたためて車に積める
小さな車椅子が一つあります。
でも、その車椅子も、今では出番が
ほとんど無くなってしまったのは
母親と一緒の外出は、
もう無理だと決めつけた娘にとっては
我が家が買った車椅子さえ、母親の財産目当ての
次男の嫁の機嫌取りだとされたからです。
長らくお付き合いくださっている方なら
この間の流れを分かってくださっているかと思いますが
姉の、そんな反応に腹を立てた弟 ( 夫の爺や ) が
妻である私をかばったことで、嫁姑小姑 ある!ある!
夫の行動は火に油を注ぎ
義姉の怒りが全て、弟嫁の私に向かったことで
より一層 腹を立てた夫が腹をくくって
我が家は義家族とは、距離がとれたのですが
とはいえ、どんな親でも 親は親
完全に見捨てることなどできるわけもなく
常に陰から、老母の様子を見守っている
今 …
昔から耳が遠かった義母さんは
ずっと補聴器を使っていました。
それがとっても高くて、○○万円もするのだと
自らその値段を口にして、得意気にしては
すぐに、どこにやったのかが分からなくなって失くし
また○○万円も出して買ったのだと
自慢していた義母さんでしたが
通帳も印鑑も、自分が自由に使っていた
貸し駐車場の賃料も、全部を兄嫁様に任せてから
携帯電話も解約されて、補聴器も失くすと
どうせ買っても、またすぐに失くすという理由で
とうとう補聴器さえも、持たせてもらえなくなったという
おごれる者も久しからずか …
兄嫁様親子とは会話のない家庭内。
唯一誰かと会話ができる施設でも
話しかけられても聞こえていないので
トンチンカンな返事をするため
段々と話しかけてくれる人もいなくなり
テレビをつけても音が聞こえず退屈なので
横になって、寝てばかりいるようになり
夜になっても寝床に行かずに
昼間に横になったままの床で寝ていても
同居の兄嫁様は、声もかけずに知らん顔 …。
利用している施設の知り合いを通じて
義母の腰の一部が、床ずれになりかけていると
連絡をもらった我が家は考えました。
せめて音だけでも、聞こえるようにしてあげたいと。
作戦① 義母から、補聴器を買ってと言わせても
お金を出したくない兄嫁様は、絶対に無視をするので
施設の職員さんから、世話する人や他の利用者さんと
コミュニケーションが取りたいのに
補聴器がないので、義母さんが困っていると
伝えてもらうようにお願いしたら
さすがの兄嫁様も、無視することができなくて
新しい補聴器を用意してくれたのですが
義母さんが、それをまた失くしてしまったことで
作戦失敗
だから買っても無駄なのだと
もう義母さんに、補聴器を持たせる気のない兄嫁様に
義母のお金なんだから、義母の必要な物を買ってくれ!
なんてことは、本音では言いたくても、言えませんから
次は作戦②を決行!
これまで耳の穴にスッポリと入るタイプの
小さな補聴器を使っていたので
年寄りが、失くしてしまうのも無理はないと考えて
だったら耳掛けタイプの大きい物なら
失くしにくいのではないかと
施設の職員さんには、ご迷惑をおかけしますが
幸い施設では、私達が仲人をした人が事務長だったり
昔からの仲良しの友がいたりの助けを借りて
我が家が補聴器を買って、知り合いに預けて
義母さんが施設にいる間だけでも使えるように
手配をしました。
これは兄嫁様には内緒ですが
さて初日。良く聞こえると喜んだ義母さんですが
ここからが義理家のいつも。
耳に掛けるのが気持ち悪いだとか
雑音がするから、こんなのアカン!と
すぐに言うはずだと覚悟はしていますが
たとえ数日でも役に立ったら良いと
夫婦で笑える有難さ …