本日,ゴーン氏の勾留理由開示手続が行われたことがニュースになっていました。
午前中は結構裁判所前の道が混んでいたようです。
私は,本日の裁判は午後だったので,普段通りでしたが。
さて,勾留理由開示手続きですが,これは刑事訴訟法82条1項に,
勾留されている被告人は、裁判所に勾留の理由の開示を請求することができる。
と規定されています。
この条文上は,「被告人」ですが,まだ起訴をされていない段階の「被疑者」にも207条で準用されます。
この開示請求は,被告人・被疑者本人だけでなく,「弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族、兄弟姉妹その他利害関係人」もできます。
「その他利害関係人」まで請求できるって,結構範囲広いですよね。
そして,83条1項は
勾留の理由の開示は、公開の法廷でこれをしなければならない。
としていて,今回のゴーン氏のケースのように公開の法廷で行われることになるわけです。
ただ,一般には,勾留理由開示請求はしないケースの方が圧倒的に多いと思います。
というのは,勾留の理由を教えてという手続なので,これをしたからといって釈放されるわけではありません。
また,開示される理由も抽象的なものにとどまることが多いです。
それだと勾留状の記載とほとんど変わらず,この手続きをしたことによって捜査や証拠の状況等を推知できるということにもならないし・・・
そんなわけでやっても意味がないことが多いのです。
そんなことに時間と労力をかけるより,他のこと,例えば,接見をして打ち合わせをしてたりした方がよいということにもなるわけで・・・
にもかかわらず,ゴーン氏がこの手続を行ったのは,84条2項が
検察官又は被告人及び弁護人並びにこれらの者以外の請求者は、意見を述べることができる。
としていて,この手続で意見の陳述ができるからだと思います。
前述のようにこれは公開される手続で,世間の注目が集まっている事件であるがゆえに意見を陳述すれば当然報道されることになりますから,自らの口で意見を語って,世間にアピールしたかったのだろうと。
なお,こうした注目されているケース以外で勾留理由開示請求を行う意味がある場合があるとすると,自白強要などの不当な捜査を牽制したり,あるいは不当取調べが現に行われている状況があるような場合はそれを早めに証拠化したりするためといったところです。
また,確か,司法修習のとき,ドラマ仕立ての「初めての刑事弁護」的なビデオ教材で出てきたような記憶がうっすらあるのですが,接見禁止が付いていて弁護士としか会えない状況である場合に,傍聴席に家族を呼んで,そこでお互いに顔だけでもみれるようにするということも考えられます。
ビデオ教材で,えん罪で捕まっている人が,家族の顔を見て,頑張ろうという気持になったシーンがあったようななかったような・・・
ただ,やはり,現実には,請求することになるケースは少なそうです。
かくいう私もやったことがありません。
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