最近話題の賭博罪ですが,賭けをしたらどんな場合でも成立するということではなく,「一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるとき」は成立しません。
問題は,どんな場合が,「一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるとき」に当たるか?
この点に関する最高裁の判例は,かなり古くて,昭和23年10月7日のもので,
本件賭博は仮りに所論の縷述するような賭金の少額なこと等の事情があるとしても、骨牌を使用し偶然のゆえいに関し金銭の得喪を争つたものであることは、判文上明らかなところであつて、単に一時の娯楽のためにしたもので罪となるべきものでないとはいえない
としています。
「骨牌」はここでは花札のことで,「偶然のゆえい」にというのは,偶然の勝ち負けという感じの意味です。
まあ,賭金が少額などといった事情があっても,この件では一時の娯楽のためにしたものでないとはいえないとしたもので,具体的な基準は提示していない感じですね。
この事案で,いくら賭けたと認定されているかは,私の導入している判例検索システムに一審判決が掲載されていないので,正確には分かりません。
ただ,被告人本人の上告趣意によれば,自分が200円,相手が100円の300円だったそうです。
といっても,昭和時代の話なので,今とは貨幣価値が違いますよね。
これも本人の上告趣意によるところですが,この頃は,うどんが1杯50円,ピースが1箱60円だそうです。
そうすると,うどん6杯分,ピース5箱分のお金でも,罪になったということですね。
ちなみに,この被告人は,「こんな時代に(*うどんが1杯50円,ピースが1箱60円の時代に)場錢三百圓と言へば前の二十錢三十錢であります。ほんの女子供の娯と同類のものであります。」なんて言ってます。
しかし,令和時代の人間(私は,こう見えて令和生まれではありませんが)には,「前の二十錢三十錢」というのがよく分からないところです(笑)
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