泉佐野市が,ふるさと納税制度から除外された件,最高裁で泉佐野市が逆転勝訴しました。
こういうニュースがあると,最近は,私もこうみえて弁護士であることが認知されてきたようで,「なんで,泉佐野市が勝ったの?」などと聞かれます。
ポイントは,皆さんご存知の地方自治法247条3項!
えっ,知らないって?
ほんとに?
・・・すみません,私もこの裁判の話を聞くまで知りませんでした(笑)
よく誤解されるところですが,弁護士は,断じて六法全書を全部覚えてなどいません!
特に,私など,記憶力が,ニワトリにかろうじて勝ってるか,ギリ負けているかというところで・・・
話を戻して,地方自治法247条3項とは,
国又は都道府県の職員は、普通地方公共団体が国の行政機関又は都道府県の機関が行つた助言等に従わなかつたことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない。
というものです。
それがどう関係するかって?
ふるさと納税の対象となる地方団体を総務大臣が指定できるようになったのは,平成31年の地方税法改正によるのですが,この改正法の施行日は令和元年6月1日です。
で,この施行前から,総務大臣は,再三,返礼割合が高い返礼品はやめろというなどといった通知を出していました。
しかし,その通知は,あくまで「助言」にあたるもの。
そうすると,「助言」に従わなかったらといって,それを理由として不利益な扱いをするというわけにはいきません。
ただ,改正された地方税法は,総務大臣が,指定する際の基準を定められるとしています。
そこで,総務大臣は,平成30年11月1日以降に,ふるさと納税の趣旨に反するような方法で,他の地方団体に多大な影響及ぼすような寄附金の募集を行って,他の地方団体と比して著しく多額の寄附金をを受領した地方団体でないことなどを要件とする基準を出しました。
改正法の施行前の事情で,外すことができるとするものです。
で,泉佐野市は,これに当てはまらないから,指定しないとしました(厳密には,もうちょい複雑ですが,ざっくりいうとこんな感じ)
しかし,法律が,総務大臣に基準を定める権限を与えたからといって,それは無制限ではありません。
本来,ルールを作るのは,立法機関,すなわち,国会です。
で,行政機関である総務大臣はあくまで,法律で委任された範囲でルールを決められるものです。
いわゆるひとつの三権分立ってやつです(委任された範囲とはいえ,ルールを決められる時点で,ちと例外が入ってますが)
そして,委任の範囲を逸脱した場合には,無効になります。
そこで,地方税法が,総務大臣に,前記のような過去のことで除外ができる基準を定めることまで認めているといえるかが問題になったわけです。
ただ,それは一義的に明らかではなく,解釈の問題になります。
実際,高裁は,国を勝訴させているので。
しかし,最高裁は,前記の地方自治法247条3項を重視しました。
すなわち,同項が助言に従わなかったことで不利益な扱いをしてはならないとしていることも考慮すると,委任の範囲を逸脱したものでないというためには,こういった基準を定めることを委任する授権の趣旨が,地方税法の規定等から明確に読み取れることが必要だとしました。
それで,地方税法の規定等から明確に読み取れるわけでない以上は,この基準は無効としたわけです。
ただ,「確かに,泉佐野市は多くの地方団体が自律的に返礼品の見直しを進める中で,返礼割合が高くかつ地場産品以外のものを含む返礼品の提供を続けた上,本件改正法が成立した後も,本件改正規定の施行直前までの予定で,キャンペーンと称し,従来の返礼品に加えてアマゾンギフト券を交付するとして,返礼品を強調した寄附金の募集をエスカレートさせたものであり,このような本件不指定に至るまでの同市の返礼品の提供の態様は,社会通念上節度を欠いていたと評価されてもやむを得ないものである」と,やったこと自体にはネガティブなコメントもしています。
あっ,すみません,私は,泉佐野市からアマゾンギフト券頂いてしまいました。
ほんの出来心で・・・(笑)
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