なぜか暗闇で見えた | 4コマ漫画「アメリカは今日もアレだった」

4コマ漫画「アメリカは今日もアレだった」

アメリカ暮らし漫画と昔の日本での愛犬物語です。

山すそには、冬の間に落ちた木の葉や枯れ枝が、もう何年も何年もこれを繰り返してきた、というように、山の斜面を滑り落ち、コンクリートの壁との間にうずたかく溜まっています。
その厚い、漆黒な底を、わたしはがさごそと音をたてながら踏み進みました。
こわいけれど、進みました。

 

こうして底の底まで降りきったら、前方に「なにか」がいました。
なにか、あたたかい、まるいもの。
わらっているもの。
「ピピ」

ピピでした。
わたしはその時、どういうわけか闇の中でものが見えたのです。
それは、あとから考えるととても不思議なことでした。
でも、わたしにはその時、くらがりの中のものが突然見えたのです。
もしかしたら、わたしの目がその時だけ特別に、隠していた力を開いてくれたのかもしれません。

 

というわけで、わたしが見たのは、ピピが首輪に太い枯れ枝を通し、その枝が倒木とからまって身動きがとれなくなっている、という光景でした。
ああ。

こんなことになっているのなら、ピピ。
もっと、何度も声を出して。
自分がいる場所を、しっかりわたしに教えて、ピピ。

 

あっ。
もしかしてピピは、わたしがピピと同じように鼻がきき、暗闇でもものが見える、と思っているのでしょうか。
声など出さなくても、音などたてずとも、わたしはピピの足跡やにおいをたどり、簡単に見つけ出せてしまう。
そんなふうに、思っているのでしょうか。