ビタミンCは活性酸素を消去して炎症を抑える事はよく知られています。
スーパーオキシドは一番最初に生じる活性酸素です。
これは、SODという酵素により過酸化水素に分解され、過酸化水素はカタラーゼという酵素により水に分解されます。
ビタミンCはスーパーオキシドに電子を直接供給してこれを消去するというSOD様作用を持っていることはよく知られています。
スーパーオキシド以外の広範な活性酸素を消去する作用もあります。
アクネ菌はほとんどの成人の毛穴に存在する皮膚共生菌です。
アクネ菌は嫌気性菌で酸素がないところを好みます。
酸素が少量存在する毛穴で細々と生活しているのです。
ところが、ストレスや表皮細胞の過剰増殖が起こると毛穴の出口は詰まってしまいます。
その結果、アクネ菌の大好きな、酸素がない嫌気性環境が毛穴に出現してアクネ菌は毒素を産生します。
この毒素が人のアクネ菌に対する免疫反応を起こします。
アクネ菌を認識する機構は、表皮細胞や皮脂腺細胞、あるいは免疫細胞の表面にあるTLRという
パターン認識受容体です。
アクネ菌をはじめとする細菌の構造のパターンに対して反応するようになっています。
細胞表面で取り逃がしたアクネ菌の成分を認識するのが細胞内にあるNLRP3インフラマソムです。
これもNLRP3というパターン認識受容体を持っています。
アクネ菌などに対してはPAR2という蛋白分解酵素の受容体も活性化して免疫反応を起こします。
ヒトは、反序すべき異物に対しては、TLR、NLRP3インフラマソム、PAR2などのセンサーを駆使して
活性酸素や炎症性サイトカインなどを産生してこれを除去します。
上の図に示すように、TLRやNLRP3インフラマソムが活性化するための条件として活性酸素が必要であるということが最近判明しました。
また免疫反応の作用、効果を示すためにも活性酸素が必要なのです。
ニキビの組織では皮脂腺周囲に大量の炎症性細胞があり、そこで活性酸素が大量に存在しているのは
免疫反応を起こすためと、好中球などの炎症性細胞が活性酸素でアクネ菌を一掃しようとする反応なのです。
このような免疫反応でアクネ菌を簡単に一掃することができるのでしょうか?
毛穴の中にあるアクネ菌を一掃しようと免疫反応が起こり、顔が赤くなり、特に毛穴で強い炎症が起こるのがニキビです。
アクネ菌は毛穴の中に存在するために、免疫担当細胞だけでなく、アクネ菌に接した毛穴の細胞も
活性酸素や炎症性サイトカインを放出してアクネ菌を一掃しようとします。
でもアクネ菌はもともと人の共生菌であり、ヒトの毛穴の中で生活するという状況に非常に適合しており
なかなか一掃することができず、なかなか終了しない厄介な悪循環免疫反応が起こるのです。
ちなみに免疫反応を抑えるステロイドホルモンはTLRの発現を増強して皮脂分泌を増加させて
アクネ菌を増加させるので、ニキビや赤ら顔の治療には適していません。
そこで免疫反応を起こさずに最終段階の炎症反応も抑えてしまうという作戦が登場します。
そこで主役となるのがいろいろな種類の活性酸素を消去するSOD様作用を持つビタミンCなのです。
ビタミンB群やビタミンAあるいはグルタチオンというアミノ酸はビタミンCの作用を増強します。
ABCアンチアクネコースなどがそれにあたります。
最近いろいろな因子が血管透過性を低下させたり、グルタチオンの増加を通じて
ビタミンCの作用をさらに強化することを青山ヒフ科クリニックでは突き止めました。
次回以降これらの因子の効果について解説します。
嫌気性環境を改善するケミカルピーリングについても青山ヒフ科クリニックでは
新しい形のケミカルミーリングを作り上げることができました。
これについても報告します。
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