大原浩の金融・経済地動説

　グローバルスケールの「八甲田山」（１９７７年）です。「八甲田山」同様実話に基づいた（１９９６年の遭難事故）物語です。

　まず圧倒されるのが、エベレストという世界最高峰の山の過酷な環境を描写する力。平面の画面からでも、その圧倒的スケールが伝わってきます。

　実話を映画化すると、意外に平凡なストーリー（事実に制約されるため）になりがちであり、本作品も実のところそうです。しかし、それを補って余りある前述の描写力と出演俳優陣の見事な演技が、高い質の映画として完成した要因です。

　追い込まれた環境での人々の心を、それぞれの役者が抑制された演技で我々の心に訴えかけてきます。

　登場人物が「いい人」ばかりなのは気になりますが、「山を」愛する人々は実際そうなのかもしれません・・・・私も高校生の頃、山岳部で日本のちょろちょろとした山を登っていましたが、夏山と冬山は根本的に違います。ちょっとした冬山でも命の危険があるのに、エベレストに挑戦するというのは並大抵の気持ちではできないと思います。

　逆に、今でも行われているのか どうかかわかりませんが、観光でエベレスト登頂するなどというのは、ハイヒールで富士山を登るのと同様愚かしいことかもしれません・・・

　日本人として田部井淳子氏に次いで2人目の七大陸最高峰登頂者（全世界では44人目、全世界女性では7人目）の難波康子氏ほか８名の方々の尊い命が失われたことはとても残念です。