読者の広場:2018年7月号 | こどもクリニック四方山話

読者の広場:2018年7月号

 「読者の広場」はコミュニケーションを目的とし、実際に寄せられたメールと院長のコメントを紹介するコーナー。新聞発行に合わせて、毎月1回提供しています。病院とのかかわりあいのヒントを掴んでください。

 今月で25年間歩んできたCLINIC NEWSも、ついに300号を迎えることができました。多くのお母さんたちからの手紙やメッセージ、さらに子どもたちの写真、作品も掲載してあります。300号という金字塔を立てることができたのも、読者の熱い想いの賜物です。是非読んでみてください。

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2018年7月 300号: NEWSのPDFはこちら!

 

 先月は300号へのメールをたくさんいただきありがとうございました。逆にその分普通のメールはわずかに3通でした。ということで、今月は医療相談のメールを匿名で紹介します。

 

 まずは、泉区の〇〇さんからの相談メールです。

 

 「お世話になっております。〇〇の母です。夜尿症の事でご相談がございます。

 〇〇は小さい頃からおねしょがあり、それでも年々減少し、ここ数年は半年に一回位の頻度になっていました。ですが、先週から一週間で三回のおねしょがありました。寝る前にトイレに行っても出てしまったのが二回、本日、夕食後そのまま寝てしまった際に一回です。思い当たる事といえば、いつもより水分を多く採っていた気がすること、水分を最後に摂取してから寝るまでの時間が3時間以内だった気がすることです。

 5月18日から野外活動が控えており、急に不安になっております。やはり積極的な治療が必要でしょうか。(といいますか治療法があるのでしょうか?)

 身長も低く、二次性徴もまだ見られないようなのですが、その辺りも関わっているのでしょうか。本人は、この事で病院に行くのを嫌がっており、取り急ぎメールにてご相談させていただきました。

 お薬などで改善の効果が見られるものがあるとするならば、なんとか説得してお伺いしたいと考えております。ご多忙の所恐縮ですが、お返事いただければ幸いです。」

 

 院長は、次のように返信しました。

 

 「メールありがとう。実際半年に1回程度なら、本来は治療の必要はありません。何かしらのきっかけでたまたま夜尿が起きることがあります。このような間歇的な夜尿を治す薬は存在しません。

 野外活動が心配であれば、心理的な効果を期待して薬を飲むのも一つの方法です。その場合は本人も来院しないと効果がでません。

 この年齢になれば、自分が困る事は自分で乗り越えるという意識を持たせる事も必要です。その意味でも、心配があれば一度連れてきて下さい。」

 

 返信と受診後のメールです。

 

 「ご多忙の中、お返事ありがとうございます。明日、夕方にお伺いしたいと思います。

 本人は、診ていただくことが必要だとは頭では解るものの、先生に相談する事が恥ずかしい思いで葛藤しているようです。」。

 

 「昨日は大変お世話になりました。直前まで、やっぱり恥ずかしい行きたくないとごねていた○○でしたが、先生とお話をした帰りの車の中で先生の声を聞いたら安心した、病院に行って良かった!と、行く前とは別人のようでした。

 おかげさまで、今朝は問題なく起きました。一週間後またお伺いいたします。取り急ぎお礼まで。」

 

 当院では、小学生になったら自分の症状を自分で話すことにしています。これは子どもの自立心を育てる手助けをするためです。

 この相談の重要な点も、まさに自立心です。自分の問題点を自分でとらえ、解決していくということを示しています。

 小児科医は病気を診断して治療を行うだけではありません。お母さんの不安を解消したり、子どもの成長を助けることにまで取り組んでいるのです。

 ちょうど300号に、このような取り組みを紹介できるのは、とてもありがたいことです。

 

 以前膝の障害で紹介した青葉区の佐藤さんからの報告のメールです。

 

 「いつもお世話になっております。先日息子が円板状半月板の手術を受けることになりました、佐藤○○の母です。

 5月末に無事手術を終え、先日退院しました。半月板切除に加え、一部半月板が割れていたため、それによって膝の腫れが起きたのでは、と言う事で縫合も行ったそうです。術後は歩くこともできませんでしたが、子どもの持つ驚異の回復力で、1週間後には多少違和感はありますが自力で歩き、さらには走り回って遊んでいる程でした。

 ただ、処方された痛み止めが切れたせいなのか、今朝から再び足の痛みを訴え、昨日外来で経過良好と言われたばかりなので心配ではありますが、油断せずに見守っていきたいと思います。ご心配頂き、ありがとうございました。

 大変遅くなりましたが、取り急ぎ術後の報告でした。また、クリニックニュースへの掲載構いません。できれば匿名でお願いします。」

 

 小児科を膝の病気で受診というと、疑問があるかも知れません。でも小児科は子どもの病気の窓口です。どんな症状であっても、遠慮なく相談してください。当院で対応出来ない場合は、しっかりを道すじを作ることも小児科医の役割と考えています。

 そして診察後、さらには手術後にわざわざ報告してくれること。これも「お母さんの不安・心配の解消」を理念にした、コミュニケーションの賜物です。

 この相談も300号で紹介できることは、クリニックが歩んできた道程が正しかったこと、さらにはCLINIC NEWSを発行し続けてきたことに間違いがなかったことを証明してくれることです。