ふぶきの部屋

皇室問題を中心に、政治から宝塚まで。
毎日更新しています。
ハンドメイド作品も販売しています。

新章 天皇の母  1

2020-01-25 07:00:00 | 新章 天皇の母

帝の二宮の妃、「紀宮」(きのみや)と呼ばれるお妃が懐妊されたのは如月のひどく寒い日のことだった。

「紀宮」(きのみや)は39歳。3度目のご懐妊。そして実に11年ぶりのご懐妊であった。

東宮家では東宮妃が8年の不妊を乗り越えて女一宮をご出産されたが、皇位継承者となる男子の誕生はなく、このままでは皇室の危機であると政府は考え、女一宮に皇位継承権を与え、外国と同じように男でも女でも東宮に生まれた第一子が帝になるという法案をまとめつつあった。

知らせを聞いた総理大臣は審議中にも関わらず耳を疑い

え?東宮妃ではなく「紀宮」(きのみや)?」と呟いた。

審議は中断され、突如、ご懐妊を知った総理はその場でマスコミからマイクを向けられ「大変おめでたい」と言わざるを得なかった。

その後、次々政治家たちがコメントを発表したが、「紀宮」(きのみや)が誰かすらわからない者もいて注意される始末。

誰もが好意的に受け止めたわけではなかった。

特に、日頃、フェミニズムを気取り「男女共同参画事業」に打ち込む女性政治家たちは一斉に「心から祝うことは出来ない

正直、そこまでするかと思った」とコメント。皇族に対し、あまりにもひどい言葉に本来なら罰則でもあってしかるべきだったが、今では皇室、宮内庁、共に二宮には関心を持たず、ほったらかし状態であったから、文句を言うものはなかった。

なぜ「そこまで」と言われたのか。

それは、まさに今、女一宮の皇位継承が認められ、旧弊な皇室が男女平等への道を開くかと思えたその時、「男子誕生」の可能性を秘めた懐妊が発表されたのである。

二宮には薔薇(そうび)姫と呼ばれる大姫と、ゆうなの君とよばれる中姫がいた。

大姫はもうすぐ15歳。中姫は12歳になろうとしている。

誰もがもう二宮には子供が生まれないと思っていた。

しかし、宮内庁の中で唯一皇位継承に頭を悩ませている東宮大夫が「東宮家に第2子、二宮に第3子を」と発言。

この発言はマスコミによって歪曲され「二宮に第3子」と報道されたので、取りようによっては「東宮家にはもう子供は望めない」「女一宮は不要」ととらえる向きがあったからだ。

しかも当の東宮妃は女一宮を出産して以来、心を病み、それが「男子誕生を強要されたため」と言ったせいで、世の中の女性達の同情を集めていた。

誤解が誤解を生んだのか、誰かが意図的に二宮を貶めようとしているのか、そこらへんは不明であったけれど、「紀宮」(きのみや)は懐妊早々バッシングを受けることになるのだ。

皇室は2000年の歴史を持つ、世界で最も古い家柄である。

しかも、他の国々の王室と違うことは、全て「男系」によって繋がって来たことである。

つまり、今まで全ての帝の父が帝であるという血筋なのである。

仮に女一宮が皇位を継承しても「父が帝」になる事は間違いない。しかし、問題はその後。

女一宮が結婚し、皇配の扱いをどうするか、皇室には全くマニュアルが存在しない。

かりに皇配に「陛下」と敬称をつけそこに子供が生まれたら、それが男子でも女子でも、それは「母が帝」という女系になってしまう。

そうなると皇室が保ってきた万世一系の血筋が壊れてしまい、権威に傷がつく。

「帝」がいるという事で世界から尊敬を受け、その歴史的価値を認められてた国がその権威を失えば扱いが軽くなるし、よその国から安易に侵攻を受けかねない。

時の総理はそこまで考えは至らず、単に「男女は立場が同じ」というフェミニズムに引っ張られる形で法案を成立しようとしていた。

そこにくさびを打ち込んだのが「紀宮」(きのみや)の懐妊なのである。

二宮も「紀宮」(きのみや)も如月の冷たい風を真正面から受けていた。

冷たくて針を刺すように痛い。

それでもお二人は挑むように前を向き続ける。

どのようなバッシングを受けても、3人目の新たな宮の命を守る。それだけを目的にして。

 


コメント (16)    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 大丈夫?進次郎&滝クリ 東... | トップ | 皇室ウイークリー »
最新の画像もっと見る

16 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (さやや)
2020-01-25 11:33:55
紀宮……あまりにも清子様を連想しますが
Unknown (味彩)
2020-01-25 11:45:27
新シリーズ、ありがとうございます!
紀子様の御懐妊の際の小泉さんの表情はいまでも浮かびます。
この御懐妊は、劇的であり、全ての議論を鎮め、ワタシには昭和天皇が導かれたとしか思えませんでした。
この先の展開、楽しみにしています。
謝辞にかえて (mituba)
2020-01-25 13:03:18
もう何年もロム専で申し訳ありません。
今、このシリーズを復活させたことには、ふぶき様の危機感があると思うのは私の考えすぎでしょうか。
折衷案なるものが出てきて、油断ならない情勢です。
この折の再スタート、感謝を申し上げます。
Unknown (やまとうた)
2020-01-25 13:14:13
新シリーズ楽しみにしてます。ここの対抗勢力の思惑で連想してしまうのは
愛子さまを女帝にしたい方々の思惑です。

徳川家康が、秀忠の娘の和子を108代後水尾天皇の后にしてますが
娘しかできず、この娘が最後の女帝109代明正天皇で、生涯独身。

愛子さまを支持している方々の思惑は、皇室典範を改正して
結婚できるようにして、我が世の春を謳歌したいのでしょうが
悠仁様の系統をどうしようと思っているのでしょう、、
Unknown (83hepoco)
2020-01-25 13:43:44
ずっと貴殿のブログを読んでいたのですが初めてコメントさせて頂きます。
紀宮→紀宮清子内親王殿下かと思いましたが(^-^)紀子皇嗣妃殿下の事でしたか。
機転が利いていて何度も頷きました。
紀子皇嗣妃殿下への中傷は政治家それも女性からと知り唖然としました。
1日でも早く秋篠宮家が皇太子待遇になるのを心待ちにしております。
Unknown (ミステリーマニア)
2020-01-25 14:42:11
天皇の母、新章を書いてくださってありがとうございます。タイトルをクリニックするときにワクワクドキドキしました。天皇の母の愛読者の一人なので連載の再開が嬉しいです。
次回も楽しみです! (RM)
2020-01-25 16:13:18
久しぶりの小説の更新、ありがとうございます!
「天皇の母」シリーズは、ぜひ出版していただきたいものです。
集英社あたりから出るとうれしいです!
(もう、小説だけでなく、皇室評論の分野でも、出版社からオファーがあるのかもしれませんが)
次回も楽しみにしています!

Unknown (つくも髪)
2020-01-25 16:43:00
続きが、楽しみです。
Unknown (ダブルワイ)
2020-01-25 18:25:17
明正天皇は最後の女性天皇ではありません。
紀子様 (はな)
2020-01-25 20:10:42
天皇の母、再開ありがとうございます。
女性政治家にまで、ひどいことを言われたとは。
日本人の議員ではないとは思いますが。皇統のため、雅子のために男系男子をなして、文句を言われて、どれだけ傷ついていらっしゃるか。今では在日の一斉攻撃を受けて、メンタルが心配です。
雅子一族の執拗な貶め攻撃が激化。鬼の仕打ちをやっている方が被害者面で、犯〇まがいをされている方が加害者の様になっています。

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

新章 天皇の母」カテゴリの最新記事