こんな気持ちでいられたら

還暦病理医の日々と生き方考え方

人間一度では覚えきれませんから

2019年05月25日 | 日々思うこと、考えること
今日も某所で講演。
”も”というのは、たまたまこのところ人前で話す機会が続いているだけで、べつに講演慣れしてしまっていることが言いたいのではない。それより、”またこの話?”と思われるのが気になるだけ。
その道の専門家であるコロ健が頼まれるのは、もちろん”その道”の話。
科学技術の進歩が日進月歩とはいえ、数ヶ月で見違えるほど変わるわけはない。
病気というのは昔から変わらずあって、本質的なことはあまり変わらないものだ。
もちろん、HIVのように以前は風土病のようなものだった疾患が、性行為感染症として一気に注目されるようになったりしたらそのことに関して研究も進む。最近では、抗がん剤などによる治療関連疾患も研究が進んでいる。そんな”新しい”病気ならば新しい発見、治療方法が見つかって、話すことはたくさんあるだろう。
でも、コロ健が扱っている周産期関連疾患(APGARスコアと小児・周産期病理 - こんな気持ちでいられたら)なんて、それこそ人類が始まる前からある営みのようなものなわけで、新しいことなんて、それほど出てこない。もちろん、論文は日々たくさん出ているので、その気にさえなればいくらでも付け足すことはできるのだろうけど、そんなことをしたら、これまた話が膨大になって、1時間の講演時間内に収まらない。難しいものだ。
そして、その”すごく進歩するわけではない話”をこの間病理学会で話し、今日はまた別の会で話す。
 
知り合いの先生が今日の講演会を聴きに来るという話が出たので、「この間話したことと内容はほとんど同じで、ガッカリするだろうな。どうしよう、かと言っていまさら新しい話も作れないし。」と言ったら、同僚が、「先生、大丈夫です。人間一度や二度話を聞いたところで、全部なんて覚えきれませんから。」と妙な言い方力づけてくれた。
そうか、そう考えたらいいのか。とこれまた妙な元気が出たので、今日の話はみんなが私の話を初めて聞くのだという前提で話すことにした。

そして楽しい時間を共有する

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1 コメント

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Unknown (kentagoo1208)
2019-05-26 02:27:04
みなさまの、応援のお陰で。講演は無事終わりました。

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