学校の社会見学の一環で、養豚農家に行ってきた。
大手外食産業で使用するハムになる豚である。
見学しながら私は実感した。
経営者の家族以外は、皆ヨーロッパからの外国人労働者である。

友人の羊農家もブロッコリー農家も同じであるが、やはり今は自国民の若者が肉体労働に来ない。
見学後、私は「外国人の方がほとんどですね、やはり地元の若者は来ないですか?」と説明して下さった方に話しかけた。
その方は「うちのような早朝からの仕事、外の仕事は特に来ないね。この人達がいなかったら会社は潰れてしまうよ」と言った。

先週、カーライルの職安に勤めるお母さんとスイミングスクールで久々に一緒になり、この話題になったばかりであった。
そのお母さんとは以前私に「仕事はしているの?」と聞いて来た事がキッカケで話すようになった。
初対面で「仕事はしているの?」と聞かれたので、妙な質問をしてくるなと思ったのが第一印象だった。
私が「しています○○で」と答えると、急に親しみやすい顔になり、話すようになったのである。
私が接客において英語で苦戦している事、特にスコットランド英語とカンブリアン英語の独特なアクセントに悪戦苦闘し、未だ分からなくて客を怒らせてしまう事を話すと、その人は「私でもスコットランド英語は聞き取れない事が日々あるもの」と言ったのであった。

そのお母さんは「職安には溢れるほど求人があるのに、月に仕事が決まる人の数が10人を切る事がほとんど。これはどう?こんなのは?と提案してみても、結局は行かない理由が出て来る。それは遠いとか、早朝だったり様々であるけれど、自分は移民に対して敵視していた時期もあった。移民が職を探す地元民の邪魔をしていると信じ込んでいた時期もあった。でも長らく勤める中で移民の人達が何故仕事にありつけるのかが分かって来たからこそ、日々接する求職者らにウンザリする事がある」と言った。

私は先日訪れた養豚農家の話をした。
実際に見てみると、その実情がよく理解できる。
現実問題として、募集しても来てくれるのは外国人しかいないのだという事が。

今後、いや今既にだろうか、日本でも移民労働者受け入れをどうするかが話題になってる事だと思う。
本来なら自国民の働ける人々に働いてもらう事が理想的ではあるが、カーライルを見渡しただけでも医者の半分はインド人、プライベート歯科医を除いては、歯科医も半数程度はEU圏の歯科医ではないだろうか。

私は今の職場に来て5年目である。
この仕事を辞める時、それはカーライルを離れる時であると思っている。
今の仕事にありつけるまで大変だった。
30通以上の履歴書を送り、会ってくれたのは2社。
そのうちの1社が今の職場である。
しがみついて仕事をする私と、養豚農家で出会ったブルガリア人の男性が重なって見えた。
今後あそこのハムを食べる時、何だか感謝しながら食べてしまうような気がする。
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