娘が「宿題で調べもんあるからアイパッド使わせて」と言って来た。
「何知らべんの?」と聞くと「フードバンクの実態とか利用者数とか・・」と言った娘。
フードバンクとは、企業や農家、店舗や各個人から食品を集め、貧困層に無料で配布するサービスの場所である。
先日、夫から聞いてショックだったのであるが、各学校においてフードバンクを利用する家族は各クラスに1~4組の割合でいるという報告があるという。
勿論、地域にもよるが夫が現在勤務している学校の子供達もその平均値にあり、決して珍しい事ではなくなってきていると言う。

毎年、年末になると子供の学校でも食品を寄付する週がある。
半ば強制で、全ては地元の教会を通して貧困層に配られるか、フードバンクに持って行くという。
うちの職場でもフードバンクへの寄付が半強制で行われており、各店舗に勤務するスタッフは食べ物を寄付せねばならない。

毎日、大量の食品が廃棄される一方で、人から恵んでもわねば今日のご飯にありつけない人がいる。
その利用者数は毎年29%づつ増えており、今年に入ってからの利用者数は過去最多である。

6年前、私は仕事が休みの日で息子を義母に週1預かってもらい学校に行っていた。
その頃は大学に行こうかと真剣に勉強していた頃(そんな情熱はもう無いが・・)で、その授業の一環としてこの「食品ロス」についてレポートを提出せねばならなかったため、結構詳しく資料をもっている。
私は娘に「ちょっとデータは古いけど、参考になると思うから見てみ」と当時のノートを見せた。

日本でも恵方巻の大量廃棄が毎度問題になり、各企業が改善策に乗り出してはいるが、それでも無駄は必ず出てしまう。
私にとってこのフードバンク利用者の実態が見えずに寄付だけするから、今一つその深刻さが伝わってこない。
これを利用する人々のほとんどが恐らく市営住宅に住み、何らかの手当や補助金で暮らしている人達であると思われるが、その補助金では食品がとうてい買えないほどの金額しか出ていないのか、それともそういう人達はまず1月分の食品代を最初に確保してから、残りを使うというお金の利用方法が出来ないのか、そこが見えないのである。

数か月前、うちの村にある市営住宅に住んでいた薬中の女が強制退去させられた。
以後しばらく放置されていたが、数週間前からトラックや業者の車が朝から夕方まで来て、この家の内装工事が始まった。
隣の御主人に聞くと「市営に住める人はエエ身分よな。何百万か1000万近い金かけてもろて全て新品の状態で入居してタダで住めんねんもん。真面目に税金納めてるこっちはやってられんわ・・」と嘆いた。
家具からキッチン全て、オーブンに至るまで新品で入った。
ペンキも新しく塗り替えている。

薬中女が来る前も同じように内装工事していたが、薬中女がこれら全ての新品をメチャメチャに使った為、新しく入居者を入れるには内装工事をせねば住める状態にないという。
今度の入居者が何年住むか知らんが、その人が出て行けばまた税金で内装工事が入る。
うちのような一般家庭市民など、そんな頻度で改装工事など出来る筈もない。
こういう場面を見てしまうと、せめて家賃無し、もしくは格安で暮らしているのならば補助金という生活費から何とか工面して食品を買うという事は出来ないのか・・と思ってしまう。
がしかし、これは私が単に実態を知らないだけかも知れない。

娘はネットで何やら調べながら「UEにおける食品ロスへの取り組み」という部分に着目してレポートをまとめていた。
ノートに書きながら娘は「どうせスーパーの食品や農家の野菜が捨てられるなら、それを活用してくれる人がいる事は無駄の削減になって良いけど、おばあちゃん(義母)なんて、冷蔵庫の中身と部屋にある果物、ほとんど食べずに腐らせて捨ててるで。せやのに、しょっちゅうスーパーで買い物してる。何で?」と聞いて来た。

「いや、せやからソコがポイントやがな。裕福層は食品を買いまくり、それを食べずに捨ててしまう人がいる中、一方で期限切れでも手に入れなければ今日のご飯にありつけない人がいる。そこが大きな問題点であり解決策やねん。そこを考え答えを出すのが宿題ポイントや」と答えておいた。

このレポートを6年前にまとめていた時、「この問題は1人1人の心がけから解決へと動き出す」と最後の言葉を書きながらも、絶対変わらんわ・・と思いながら提出した事を覚えている。
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