あるきメデス

あちこちを歩いて、見たこと、聞いたこと、知ったこと、感じたことなどを…

熊野古道 伊勢路と本宮道を歩く⑥(和歌山)(2003年)

2020-09-21 18:38:58 | 熊野古道を歩く
 2020年9月21日(月)

 今日から秋の交通安全運動が始まりました。埼玉県警では、重点項目として「横断歩道
における歩行者優先の徹底」を揚げています。

 県内の今年の交通事故による死者数は、18日までに77人で昨年に比べて少ないもの
の、歩行者は昨年より3人多い26人で増えているとか。特に横断歩道を横断中の死者が
7人にのぼっていて、「本来0であるべき数字」とのこと。

 道路交通法では、「横断歩道を横断しようとする歩行者や自転車がいる際は、車両は一
時停止する
」ことが明記されているのに守られていないからです。

 私もウオーキング中に横断歩道を横断しようとしても、近づいてくる車が一時停止して
くれる機会は極めて少なく、いつもどうして守ってくれないのかと腹立たしいことがしょ
っちゅうです。ドライバーの皆さん、是非守って下さい。

 さて、今日は6回にわたる熊野古道伊勢路と本宮道歩きの最後です。デジカメを持って
いないときの写真で、ネガフィルムからの色が今ひとつでしたが、最終日もご覧いただけ
れば幸いです。

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 第6日 2003年10月20日(月)
 大雲取越え、熊野那智大社、熊野速玉大社  =無事大雲取を越える=

 最終日は、伊勢路の八鬼山と並ぶ熊野古道の難所といわれる大雲取越え(おおぐもとり
ごえ)である。時間もかかりそうなので、朝食は5時50分と早い。

 体操後、バスで向かう2人に見送られて、濃い朝もやの中、19人が小口(こぐち)自
然の家を出た。まだ明け切らず、ひんやりした空気が気を引き締めてくれる。

 小口川の支流、東川に沿った小集落の途中から、道標に従い石段を上がって大雲取道に
入る。
          

 「熊野古道(大雲取越え)1」の道標が立ち、以後、この道標は500mおきにある。
陽が差し込まない杉木立の下、薄暗いこけむす石段を上がって円座石に出る。大岩に、丸
で囲まれた梵字(ぼんじ)が3文字刻まれていた。


 小雲取道と同様、この道にもところどころに歌碑が立っていた。ガスが晴れ、木の間か
ら青空が見えてきた。こけむす石畳が続き、水のある休憩舎や楠の久保旅籠跡(290m)
を過ぎる。


 土屋文明の歌碑の先、胴切坂で道はヘヤピン状に折れた。3人は並べるほどの幅広い石
畳みの急坂、りっぱな杉木立の中を歩一歩とゆっくりと上がり、今回の最高点、越前峠
(870m)に着いた。

  
 杉木立の下に歌碑と説明板がある。小口自然の家に同宿していた若い2人が追いついて
きたので、シャッターを押してもらう。


 緩やかの下りの後、階段状の急な石畳を下りると流れが現れ、長塚節の歌碑があった。
別の場所には斎藤茂吉の歌碑が。


 沢を離れて再び上りとなる。左に緩くカーブする辺りで西側の展望が開け、大台ヶ原方
面だろうか、高い山並みが遠望された。

 石倉峠(805m)を越えて、杉落ち葉がいっぱいでこけむす石畳の急坂を下り、林道
の横切る地蔵茶屋跡(702m)に着いた。小さいお堂があり、赤布をまとった石の地蔵
さんがたくさん並んでいた。


 1㎞余り、アザミや白いノギクの咲く沢沿いの車道を進む。岸壁にはリンドウがたくさ
ん咲いている。
     

 再び山道に入り、粥餅茶屋跡を過ぎる。この先、古道と車道は何か所かで交差をくり返
す。緩い上り下りを経てやや急坂を上がり、無線塔の横を通過して舟見峠(868m)に
着いた。


 勝浦辺りの海が見えるらしいが、霞んでいて確認は出来ない。その海の方からの風が冷
たい。風を避けて道路際に腰を下ろし、自然の家のおにぎりを食べた。


 少し先の舟見茶屋を過ぎると、砂混じりの歩きやすい道になった。左手にススキの大群
などが見え、冷たい風がやや強まる。上りも多少あるが次第に高度を下げて登立茶屋跡を
通過し、1㎞ほどで広い駐車場のある広場に出た。

 もう山道は終わった。ススキや色づいたツツジなど秋色の彩りを見せる自然公園を抜け、
杉木立下の石段をどんどん下って、待望の熊野那智大社に着いた。


 展望広場から、朱塗りの三重塔の向こうに山腹を落下する那智大滝が見える。バスで回
ってきた2人が待っていた。

<
 色鮮やかな朱塗りの熊野那智大社に参拝し、無事到着できたことに感謝する。そばの、
西国三十三番第1番札所、青岸渡寺(せいがんとじ)↓にも参拝する。

 檜皮葺きの古い本堂が、長い信仰の歴史を伝えている。



 観光バスやマイカーで来た参詣人が多い。この6日間、自動販売機やコンビニなど近代
文明から隔絶していた世界から、急に現世に引き戻されたことを実感する。

     
 土産店の並ぶ車道まで下り、太い杉木立に覆われた石段を下って飛滝神社に参拝する。
祭神は、眼前を垂直に落下する那智大滝である。
     

 土産店の間を抜けて、バスの始発地、那智山神社お寺前の駐車場まで行き、バスでJR
紀勢本線の那智勝浦駅に出た。最近はマイカーと観光バス利用が主で、電車で来る人はわ
ずかなのか、温泉を併設した寝殿造りの駅は無人だった。


 普通電車で新宮駅まで行き、熊野三山の最後、熊野速玉(はやたま)大社に向かう。踏
切を越えて駅の西側に回り、1㎞余りで熊野速玉大社に着く。全員無事に全行程を歩き終
えた御礼の参拝をする。





 境内には、中世に参詣された多くの皇室の御幸のことを記した石碑と説明パネルがある。



 この6日間、ご家族や知人の方々を含めて大変お世話になったNさんからご挨拶があり、
全行程が終わった。


 ほとんどの皆さんは市内のビジネスホテルに向かい、私を含めた5人が新宮駅から列車
や高速バスで帰途についた。


 薄暗いヒノキや杉木立の下、江戸や明治の雰囲気をそのまま残すこけむした石畳道。石
畳を上がった峠から見る熊野の海と大台ヶ原に連なる山並みの雄大な展望。世界遺産に登
録申請中という熊野古道は、ほかの古道や旧街道では味わえぬ聖地への巡礼の道であった。

〈コースタイム〉小口自然の家6:37-円座石7:00-休憩舎(水場)7:20~27-柿の久保
旅籠跡7:49-胴切坂8:04-越前峠9:02~08-石倉峠9:37-地蔵茶屋(WC)9:50~10:02
-古道・車道分岐10:26-舟見峠(昼食)11:15~35-登立茶屋跡12:09-駐車場(WC)
12:33~40-熊野那智大社・青岸渡寺13:01~11-飛滝神社(那智の滝)13:40~50-
那智山神社前バス停(WC)14:00~15=那智勝浦駅15:23=新宮駅15:44-熊野速玉大
社16:11~25(解散)

(天気 晴、距離 17㎞+3㎞(新宮市内)、地図(1/2.5万) 本宮、紀伊大野、
新宮、紀伊勝浦、歩行地 和歌山県熊野川町(現・新宮市)、那智勝浦町、新宮市)【完】



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