【2019年阿部倫子生誕祭】残したいものは?/展望【便乗短編集】 | あるひのきりはらさん。

【2019年阿部倫子生誕祭】残したいものは?/展望【便乗短編集】

 ありがたいことに、キャラの誕生日にイラストを描いていただけたので……キャラ誕3周目は、そのイラストや動画などから浮かんた短文を量産してみようかと思います!!

 なお、霧原の思いついた順番で書いていきます!! それではレッツゴー!!

 

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■残したいものは?

 

 平日の放課後、いつもの空き教室の中で……阿部倫子は机上に並んでいる数十枚の写真を見つめていた。

 L版のスナップショットには、主に生徒会活動中の自分や、同学年の島田勝利、後輩の名杙心愛に森環、千葉湊に前田利家の姿もある。卒業アルバムにのせる写真をピックアップして欲しいとアルバム委員から頼まれ、借り受けてきたものたちだ。

「どれにしようかしら……」

 全員が1枚におさまっているものは、既にもう選んでいる。あと数枚、彼らのどんな表情をアルバムに掲載するべきかと思案しながら……写真を見ていると、その時のことを思い出してしまい、思わず頬が緩んだ。

 

 時間の経過は、止めることが出来ないけれど。

 写真はその瞬間を切り取って、いつでもすぐに思い出させてくれる。

 卒業して、月日が経過しても……これから様々なことを経験して、過去の記憶が薄れても、アルバムを開いて写真を見れば、すぐにその時のことを思い出せるだろう。そんな確信がある。

 

「写真は、思い出行きのチケットね……」

 倫子が目を細めてそう呟いた次の瞬間――扉のところに、人の気配を感じた。

 顔を上げた倫子は、そちらに視線を向けると……頬に手を添えて、楽しそうに笑う。

「そんなところにいないで、入ってきていいのよ。写真を選ばなければならないのだけど……手伝ってもらえるかしら」

 

 

参考にしたもの

 

 

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■展望

 

 日曜日の午前中、倫子はとある高校の正門前にいた。

 周囲には多くの人が行き交っており、門の中へと吸い込まれるように入っていく。

 今日は、高校の文化祭。進学したい学校の雰囲気を知っておきたいということで、同じ学校へ進学を希望する友人達と一緒に見て回ることにしていたのだ。

 集合時間まで、あと15分ほど。とりあえず門の外から中を見つめながら……胸の中に生まれた高揚感に気づき、口元に笑みを浮かべる。

 中学校でも文化祭は開催されるが、高校はやはり規模が違うのだ。来客の数も桁違いで……誰もがとても、楽しそうな表情を浮かべていたから。

 

 来年は、門の向こう側で、笑顔を迎える立場でありたい。

 そのために、今……出来ることを積み重ねていこうと改めて思う。

 

 倫子が心の中でそんなことを考えていると、聞き慣れた声が聞こえてきたから。

 彼女はそちらへ視線を向けると、両手を背中で組んで……これから始まる未来への一歩を踏み出すために、一度、深呼吸をした。

 

 

参考にしたもの