らぶばなです 。連休いかにお過ごしですか? 久しぶりにSSを書きたくなり、サクッとやってみました(笑)誤字脱字等あると思いますが、よければお付き合いください
ご注意 アッシュにさせたい以下の3つの事をSSに入れました。かっこいいアッシュはいません。そして心温まる二人の話を書くつもりがなぜかギャグに。。。
その1. 英二のために慣れない料理をする。
その2. 風邪をひいた英二の世話を焼く。
その3.日本文化を知ってもらう。
その3では、効果があるのかどうか怪しい情報情報が入っていますが、真偽のほどは不明です。どうか真似しないでくださいね、責任はとれませんので(笑)ではどうぞ!
体温計の数値を確認したアッシュはため息をついた。目の前にはベッドで気だるそうに英二が寝転んでいる。しっとりと汗ばんだ肌は熱く、体温を測らずとも発熱しているのは明らかだった。
「39.5度…熱が高いな、大丈夫か?」
英二のおでこにのせていたタオルを取り替えようと手にとった。氷水で冷やしていたそれは、英二の熱ですでに生温かくなっていた。
「ちょっと頭がボーッとして、喉と鼻が痛いけど、たいした事ないよ。寝ていれば治るさ」
英二はだるそうに右手でゆっくりとモゾモゾと手探りで何かを探している。左手は鼻をおさえているのでティッシュを探しているのだろう。アッシュはティッシュ箱を渡してあげた。
「ありがとう」
どこかぎこちなく微笑む英二の顔を見て、アッシュの心が痛んだ。いつも彼を優しく包み込んでくれる唯一無二の親友の苦しむ顔は見たくない。
「おまえ、薬は飲んだのか?」
「いや、まだ。。。」
「水持ってくるよ。まだ何も食べてないよな?薬を飲む前に何か軽く胃に入れた方がいい」
キッチンに向かおうとするアッシュの背中に向かって、英二は枯れた弱々しい声でアッシュに言った。
「実は昨日から買い物に行っていないんだ。。。だから冷蔵庫には何も無いよ。。。。。。君だってお腹すいてるだろう?ごめんよ。。。」
なぜ謝るのかがアッシュには不思議だった。だが、英二はこういう奴だ。自分のことよりもアッシュのことを最優先で考えてくれる。それはありがたいのだが、こういう時までそれを貫こうとする必要はない。
「俺は大丈夫だ。心配しなくて構わない。。。。病人のお前は寝ていろ、何か買ってくる」
「うん、ごめんな。。。」
「何が食べたい?」
「実は食欲ないんだ。。。それにできれば薬は飲みたくないな。熱を出してウイルスと戦っている状態だからそれを薬で止めてしまうのは。。。熱が下がりさえすればすぐに治るよ」
一刻も早く元気になってもらいたかったアッシュはできれば薬を飲んでもらいたかったが、英二のいうことも一理あると思い、受け入れることにした。
「。。。とにかく、何か食った方がいい。食べれないなら栄養のある飲み物でもいい。オニイチャン、大人しくしていろ」
英二の頭を軽く撫で、できる限り優しい口調でアッシュは言った。
***
「本当に何もねぇな」
冷蔵庫の扉を開けたアッシュは、中を確認するとすぐに必要なものを頭の中でリストアップしていく。
「水、果物、スポーツドリンク、軽くつまめるもの。。。でもあいつ、食欲ないんだよな。。。食うのかよ?」
(薬を飲まないって、こんな時、日本だとどう治療するんだ?伊部に聞くか?だが。。。)
伊部に来てもらうべきかどうか悩んだが止めた。伊部に心配かけたくないというのも理由の一つだが、本当は伊部は英二を医者に診せると言って連れて帰ろうとするだろう。そして英二は反発するはずだ。英二の体の負担や揉め事を起こすのは面倒だ。。。という建前と、本音を言えば英二と離れたくないのだが、それを認めたくはなかった。
アッシュはふとタブレットに目を向けた。
「そうだ、日本の民間治療を調べてみよう。風邪を引いた時に役立つ情報があるかもしれない。病人向けの食事もチェックしないとな」
なぜか英二の住む日本に関する情報を調べることは 全く苦ではなく むしろ 心踊る気すらしてきた。こんな風に英二の故郷の文化を調べるだなんて初めてのことであり、いつかは行って見たいと思う彼の生まれた国をよく知るチャンスだと思えてきた。
「これなんて良さそうだ。さっそく日本食を扱うスーパーに手下どもに買いに行かせよう」
気になるサイトを見つけ、アッシュは携帯を手に取って子分に電話をかけた。
***
NY中の日本食を扱うスーパーに手分けして子分たちに買い物に行かせたおかげでほとんどの材料は揃った。
満足そうに食材を眺めつつも、アッシュはふと気がついた。
「さて、これをどう調理するか。。。」
残念ながら自分は料理などめったにしない。銃の扱いはプロ級だが、鍋の扱いはど素人だ。
「不器用な英二ですら、ちゃんとした料理作れるようになったし。。。手先の器用な俺なら大丈夫だろう」
卵を割ってボールにいれ、泡立て器で丁寧にかき混ぜる。もちろん卵の殻を入れるだなんてミスはしない。
(料理なんていつ以来だろう。。。)
英二と暮らす前は、ディノの屋敷でつきあい上仕方なく食事を共にさせられる時もあったが、簡単な軽食を外で食べるか、子分達かスキップに適当に買わせるかデリバリーを頼むかだった。兄のグリフィンの為に料理を作ったこともない。せいぜいシリアルにミルクを混ぜ、デリで買ったサラダをつけて食べさせる程度だった。
時々、ショーターの店で食事をすることもあった。ショーターのまずい中華料理は別として、姉マーディアの料理は絶品だった。だが、自分の家で誰かが自分の為に料理をしたのは英二が初めてだった。
そして今、自分が英二のために料理をしている。それが不思議と全く面倒でも嫌でもない。普段は英二が作るのでアッシュは料理をする必要性がなかっただけだ。英二が病気になってしまった今、世話になっている彼のためにできる”ささやかな恩返し”が嬉しくてたまらない。
「フフンー♫」
(あれ。。。?)
鍋を火にかけ、焦げないよう慎重に火加減を見ていたアッシュは自分が口笛を吹いていることに気がついた。そして時々英二も口笛を吹きながら料理をしていることを思い出した。
『ご機嫌だな、オニイチャン。そのまま専業主夫になっちゃえば?』と英二を揶揄ったことを思いだし、くすぐったく感じられた。
(料理って意外と楽しいんだな。でもこれが自分のためなら作ったりはしないだろう。あいつだからーーー)
今更ながら、英二の気持ちが少しだけ理解できた気がした。
***
「英二、気分はどうだ?」
アッシュが寝室のドアを開けた音で英二は目が覚めた。いつのまにか眠っていたようだ。どれくらい時間が経ったのだろうか。。食事を載せたトレーをサイドテーブルに起き、アッシュはまず英二のおでこに手をのせて体温を確認した。ひんやりとした彼の手が心地よく、もう少しそのままでいてほしいと思ってしまった。
「まだ少し熱があるな。。。ほら、飯を食え」
いつもより少し興奮気味のアッシュの表情に若干違和感を感じたが、それよりもトレーから変わった香りが漂ってくるのが気になって仕方がなかった。それはどこかで嗅いだことがある懐かしいような気もするし、全く初めてのものかもしれない。NYで暮らすようになってから嗅いだことのないものには違いなかたった。
「。。。それ、君が作ったの? 何?」
寝ているので中身がよく見えず、英二はトレーを指差した。アッシュは英二の背中を支えながら彼の上半身を起こしてあげた。
寝すぎて腰が痛むのか、眉間にシワを寄せながらも英二はベッドに座る体勢になった。
「とりあえず、これを飲め」
マグカップに入った淡い優しい黄色のものを英二に渡した。
「なんか、プディングみたい。。。でも飲み物だね」
一口飲んで英二は驚いた。
(甘い、そしてこれは。。。)
「た、卵酒じゃないか!えー!どうしてこんなの知ってるの?」
驚きのあまりアッシュの顔を凝視した。まさか酒を飲むことになるとは思わなかったが、ここNYでアッシュが卵酒を自分のために作ってくれたという事実に英二は目を丸くしていた。
「おまえの故郷ではこれを飲むんだろう?」
「うーん、みんな飲むってわけじゃないけど。。。でもすごいね、まさか君が卵酒を。。。」
「ほら、さっさと飲め、飲んだあとはこれを食え」
コトンと白い皿を目の前にだしたが、その中央にはドス黒いなぞの丸い物体があった。
(これ、食べ物なのか?なんか焦げてるけど。。。)
なんだか恐ろしくなったが、アッシュがわざわざこれを作ったのかと思うと拒否する気にはなれなかった。
(見た目で判断してはいけないよね。。。焦げてるけどなんか嗅いだことある匂いだな。。。)
思い切って丸ごと口に入れると、ガリッと硬いものが歯にあたり、懐かしい酸味が口の中に広がった。
「う、梅干しじゃないか。。。でも、なんで焼いているの?」
「熱や喉の痛みには焼いたウメボシを食べるらしいな」
卵酒は知っていたが、焼き梅干は初耳だったエイジは首を傾げた。
「。。。? なんなの、そのおばあちゃんの知恵みたいな情報は。。。?」
「調べたんだ。風邪を引いた時の日本の民間治療をな」
「。。。。!!そうなんだ、わざわざ。。。」
アッシュが自分のために時間を割いて用意してくれたのだと思うと、胸がいっぱいになった。
「ありがとう、君は優しいね」
「。。。別に。おまえには世話になってるからな、それに早く良くなってくれないと俺が困る。。。」
照れ臭そうに視線をそらしてアッシュはボソボソと答えた。
ふふッと微笑み、エイジはトレーの残りの食材に目を向けた。
「なぁ、それはなに?料理っていうより、、、”食材そのもの”だけど」
トレーからはみ出る白と青の長細い野菜を指差した。どうみても「ネギ」だった。
「喉の調子が悪い時や風邪の時はネギなんだろ?」
(あー、そう言えば ネギを喉に巻くといいって聞いたことがあるなぁ。。。)
「そうだね、昔の人はネギを使ってたみたいだね」
(こんなことまで調べたんだ。。。)
クスクスと笑いながら英二はネギを手に取った。
「でも僕、初めてだよ。ネギなんて。。。なんか効きそうだけど」
「日本人ってクレイジーだよな、俺も知った時は驚愕したぜ。。。ちょっと迷ったけど、お前 知ってるんだな」
「まぁ、そこそこ有名な療法だから。。。」
「試してもいいのか?辛そうだが。。。」
戸惑うようにアッシュは英二の顔をじっと見てきた。
「確かに痛そうだけど。。。」
(喉とか目に入ると痛そうだな。。。)
英二は立派なネギを手にとってひと撫でした後、「ハイ」とアッシュに渡した。
「アッシュがしてよ。自分じゃ出来ないよ」
(首に巻きつけるのって難しそうだな。。。)
不思議なことにアッシュの顔が硬直し、視線が泳ぎ始めた。なぜか動揺しているのが不思議でならなかった。
「俺は。。。その。。。本当にいいんだな? これでお前の苦しみがなくなるなら。。。」
決心したようにネギをぎゅっと握りしめた。
(アッシュ、大げさだなぁ。。。)
「よし、英二。パンツを脱げ。脱いで尻をこちらに見せろ」
「。。。。。。ハァッ!?」
とんでもない発言をするアッシュに英二は盛大に口を開け、ポカーンと間抜けな表情のまま彼の顔をじっと見つめた。
「おまえがしろって言ったんだろ、俺だって躊躇したさ。でも。。。」
「でも、なんだよ?」
「その、尻の穴にネギを入れるんだろう?」
「。。。。。!!!」
「ほら、さっさとパンツ脱げって」
「ハァァァァー!?」
「大丈夫、俺に任せておけ。あらゆるテクニックを使って楽にさせてやる」
「!!!!!! キャァァァー!」
パンツのゴムをしっかりと握りしめ、英二はベッドから飛び出した。病人とは思えないほどスピードで。さすがは元運動選手と感心しつつもアッシュは手にネギを持ったまま英二を追いかける。
「大人しくしろ、英二!」
「いやだぁぁぁ!」
真偽のほどは定かではないが、中にはそういう民間療法があるのを後ほど英二は知った。
(終)
*おまけ*
ようやく誤解の解けた英二はムッとしながらアッシュからネギを取り上げた。
「勘弁してくれよ。そんな治療いくらなんでも僕が受け入れるはずないだろう?」
「正直驚いた。まさかすると言い出すだなんて。。。」
「だからーそれは、喉にネギを巻くと思ったの!」
「悪かった。。。」
シュンとしてしまったアッシュが可愛くて、英二は思わずフフッと微笑んだ。
「大丈夫。僕のことを思ってくれてたからだろう?ありがとう。嬉しかったよ」
「英二。。。俺はただお前に恩返しがしたかっただけだ。。。」
「うん、わかってるよ」
その時、コングとボーンズが息を切らしながら部屋に入ってきた。
「ボス!例のブツを見つけてきました!」
紙袋に入ったものを大事そうにアッシュは受け取り、ニヤリと笑った。
「そうか、よくやった!」
「ブツって何?」
嫌な予感がして、英二は紙袋を指差して聞いた。
「”ミミズの粉末”だ。これを飲むと風邪に効くらし。。。おい、英二!逃げるな!」
再び二人の追いかけっこが始まったのはいうまでもない。
(終)
お読みいただきありがとうございました!本当にこんな民間療法あるのかな?怖すぎるー アニメのシリアス展開が辛い方、少しでもお気持ちが楽になれば幸いです。。。そして貴重なお時間割いて読んでくださり感謝感激です!
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