「シルトは鮎の生息に悪影響を及ぼす」という印象論をもっているだけでした。
まず、シルトについてしっかり調べてみないとね~。
シルト(silt)あるいは日本語で沈泥(ちんでい)とは、砂より小さく粘土より粗い砕屑物のこと。地質学では、泥(粒径が1/16mm以下のもの)の中で、粘土(粒径が1/256mm以下)より粒が大きく粗いもの(粒径1/16mm - 1/256mm)をシルトと呼ぶ。 シルトが続成作用によって堆積岩になったものをシルト岩という。
粘土…粒径0.005mm以下の粒子
シルト…粒径0.074~0.005mmの粒子
砂…粒径2mm~0.074mmの粒子
レキ(礫)…粒径2mm以上の粒子
1 透水性が低い
水はけがわるく、いったん水を含むと抜けにくく強度が低下するため、地盤改良の必要性がある。飽和状態にある透水性の低い粘土やシルトは、外部から圧力を受けてもすぐに圧縮せず、長い時間をかけて圧縮されます。(=粘土やシルトの地盤では圧密沈下が起こりやすい)
2 褐色のものが多い。
3 粘り気があり、ざらざら感はない。
4 川の流れの遅いところに堆積する。
5 堆積すると後背湿地をつくる。
シルトは沿岸の護岸工事などで舞い上がり、周辺に水質汚濁の影響を与える原因にもなる。そのため、シルトの拡散を防ぐために、シルトフェンスと呼ばれるカーテンのような幕を周辺一帯に張り巡らして拡散を防ぐといった措置が講じられる。
(独)土木研究所 自然共生研究センターからのこんなレポートがありました。
「砂が流れることの重要性」
ダムは水を貯めると同時に、土砂も貯めてしまうことから、ダム下流部では流されやすい細粒土砂(砂)が欠乏することが多くあります。そのため、近年では、ダム湖に土砂を貯めない対策が考えられ、ダム下流部に土砂を供給する様々な取り組みが進められています。
しかし、土砂をダム下流部に供給する際、シルトが大量に流れ出る恐れがあります。
シルトは、砂よりも小さいのですが付着藻類に絡まるようにして、礫表面に堆積する可能性が指摘されており、付着藻類を餌として食べるアユなどの河川生物に対して、シルトの堆積による影響が懸念されています。
そこで、細粒土砂をダム下流部に流す際、シルトの堆積を防ぐにはどのようにすれば良いか、流速と砂に注目して実験を行いました。
最初に、実験河川にタイルを沈めることで、付着藻類を生長させました。その後、循環型水路内に、シルトのみ、砂のみ、シルトと砂を含む3種類の流水環境を作成し、付着藻類が定着したタイルを水路内に設置しました。水路内の流速を、速い場合(4.0m/s)と遅い場合(0.5m/s)の2段階に設定し、24時間、各条件の流水環境にタイルを曝しました。
実験の結果、シルトのみを含む流水環境下では、付着藻類にシルトが多く堆積しましたが、砂のみを含む場合やシルトと砂の両方を含む場合は、シルトの堆積はわずかでした。また、速い流速と遅い流速とで比べると、速い流速の方がシルトの堆積は少なくなっていました。
つまり、ダム下流部に細粒土砂を供給する際、シルトのみが流れることは好ましくなく、砂も一緒に流すようにすることで、付着藻類をアユなどの河川生物の餌として良好に保つことができることがわかりました。今後は、細粒土砂を供給することで、アユなどの生物がどのような反応を示すかについても着目し、研究を進めて行く予定です。
ということは、ある程度の水量、水流がないとダム下流にはシルトが堆積してしまい、鮎が生息できなくなることになります。ダムが自然環境を壊すことになる一例です。
とすると、普段にダムの水をチョロチョロと流されていたのではタマッタモンデワナイのです。
砂は流れずシルトだけが流出し、どんどん堆積してしまい川底、石にこびり付いてしまう。大水が出て一度綺麗になっても、水が落ち着きダムからの水がチョロチョロに戻ればまたシルトが堆積するというサイクルです。
鮎の生息を考えれば、安定したダムからの放流量が必要なんです。ダム下の河川を管轄している漁協が、ダムを管理している電力会社などに安定した放流量を望むことは当然のことなんです。
大雨の時一気にドバーではなく、シルトが堆積しないための水流を河川の傾斜、川底の様子、水量などから導き出し、日々放流し続けてほしいです。
ダムがあっても放流量のコントロールで漁場として成立している河川はいくらでもあります。
残念ながら、静岡県内の河川(天竜川、大井川、安倍川など)ではそれができていないのだと思います。
大河川に鮎が居ないことは支流の小中河川にも大打撃を与えることになります。
シルト、こんなもんが石に付着したらね~。鮎はシルトを食まなくてはならないことになります。
砂が流れない場合 砂が流れる場合