RERAのウイスキーブログ

ロスジェネ世代のおっさんが、世界各地のウイスキーを飲み、独断で評価していきます。 Whisky reviews and informations

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今回は1000円台のブレンデッドスコッチから、クランマクレガーを飲んでみます。

スコットランドの古い氏族

DSC_0990_01クランマクレガーは、1964年に、グランツやグレンフィディックで有名な、ウィリアム・グラント・アンド・サンズ社によって発売されたブレンデッドスコッチウイスキーです。

マクレガーの名は、西暦800年代に起源を持つと言われるスコットランドの氏族の名です。
マクレガー氏はスコットランド王の一族というルーツであるにもかかわらず、長らく迫害を受けていたという過去があったそうです。

しかしマクレガー一族はその迫害にも戦い、抗い続けたことで、最終的に名誉を回復することが出来たそうです。

冠と花輪を頭に乗せたライオンの紋章は、戦いの中で団結と忠誠を続けてきた一族を象ったものと言われています。

さて、ウイスキーとしてのクランマクレガーでは、キーモルトなどは公表されていないものの15種類のモルト、グレーン原酒をブレンドしたものとなっています。

テイスティング

グラスからの香り、液色

グラスからはフローラルな香りと柑橘系を思わせる爽やかな香りが交差して感じられます。

液色は赤みがかった琥珀色です。

ストレート

先にオレンジに近い爽やかな香りから始まり、ブドウ、リンゴ、バラの香りと続きます。残り香にバニラの甘い香りが得られます。

味わいは、アルコールからの辛みは少なめで、甘味がメイン、軽く酸味が続く印象です。

ロック

先にバラのようなフローラルな香りから始まり、その後オレンジ、紅茶、バニラ、リンゴ、ブドウの香りが続きます。間にスモーキーな香りやミントっぽさも軽く感じ取れます。

味わいは、酸味が先に現れ、甘味がそれに続きます。ほろ苦さも奥から少々感じられます。

ハイボール

リンゴ、ブドウのフルーティさが前に来るようになり、後からスモーキーさ、ミントの爽やかな香りが続きます。

味わいは、苦みと酸味が先にやってきて、甘味は控えめになります。

香り豊かで比較的濃厚

全体的には、オレンジやバラと言った特徴的な香りがあり、またスモーキーさに加えてミントのような爽やかさもあって個性的な香りが楽しめます。

また、アルコールからの辛みも抑えられているので、加水して飲むよりはストレートやロックの方がいいかもしれません。

700mL、アルコール度数40度、価格は1400円ほど

<個人的評価>

  • 香り B: バラ、オレンジ、ミントと他にはえられにくい香りが楽しめる。
  • 味わい C: ストレートでは甘味が出るが、加水されるほど酸味、苦みが出やすい。
  • 総評 B: 1000円スコッチとしては上出来。加水すると全体的に落ちる


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今回は、シングルモルトウイスキーが高いのは何故かを考察していきます。

単一の蒸溜所で作られたモルトウイスキー

まず、ウイスキーの種類をおさらいしていきます。

原料別ウイスキーの種類ウイスキーは基本的に大麦麦芽を使い、単式蒸留器(ポットスチル)を使って蒸溜して作るモルトウイスキーと、トウモロコシやライ麦などの穀物を連続式蒸留器を使って蒸溜して作るグレーンウイスキーに大別されます。

その中でシングルモルトウイスキーは、単一の蒸溜所で作られるモルトウイスキーを指します。

よく勘違いされるのは、蒸溜所では1種類しか作られないと思われがちです。

しかし実際には、使用する大麦麦芽の加熱方法(ノンピート、ヘビーピートなど)、もろみを蒸溜する蒸溜釜の形状や方式、貯蔵、熟成する樽の種類、熟成年数を変えることで、複数の原酒を造っていることが多く、それらからいくつかを選んでブレンドしてシングルモルトウイスキーを作っています。

同じ蒸溜所のシングルモルトでも、香りや味わいが明確に異なる複数の種類があることも珍しくはありません。

シングルモルトは何故高い?

では、シングルモルトウイスキーはブレンデッドウイスキーと比べて何故高いのでしょうか。
多くの人にとっては、価格が高いということは品質、香り、味が良いからと思いがちです。

しかし実際には、シングルモルトになる方が香りや味わいに癖が目立ち、銘柄によって人を選ぶものが多いです。
同じシングルモルトでも、ザ・マッカランはブランデーを思わせるほど強いブドウ、レーズンの香りが強く、ラフロイグは正露丸や海藻を思わせる煙たさが強く感じ取れます。

一方でブレンデッドウイスキーは、複数のモルト原酒のみならず、グレーン原酒をブレンドすることによって、複雑な香りと味わいを持つボトルに仕上がっています。

単純に無難でうまいウイスキーを飲みたいというなら、シングルモルトよりもブレンデッドの方がおすすめできます。

では、シングルモルトは癖が強いのに何故高いのかというと、供給できる数が限られるからです。

前にも書いたように、シングルモルトウイスキーは単一の蒸溜所の原酒しかつかえないため、絶対的な生産量も限られますし、ましてや特定の種類の原酒を造る、さらに長年かけて熟成するほど、希少価値が高くなります。

一方でブレンデッドウイスキーでは、複数の蒸溜所で作られるモルト原酒のみならずグレーン原酒も使えるため、絶対的な量は格段に多くなります。
日本においても近年は国内の蒸溜所のみならず、海外から原酒を輸入してブレンドするケースも増えています。

資本主義経済においては「見えざる手」と呼ばれる需要と供給のバランスによって価格が決まる法則が存在します。
需要が多いのに供給量が少なければ、必然的に高くなりますし、供給量が過剰であれば安くなります。
ウイスキーに定価がついている場合でもプレミアがつく理由はそこにあります。

同じ12年熟成のウイスキーを出すにしても、ブレンデッドの方が原酒の絶対量が多くなるため、価格差が2倍以上になるわけです。

ブレンデッドにも目を向けて

結論として、ウイスキーでうまいものを選ぶ理由として価格だけを見るのは正しくはないということです。

ウイスキー初心者の人ほど、シングルモルトはある程度ブレンデッドを飲んでから挑んだ方がいいです。
実際、ブレンデッドで2000円台クラスになると、比較的万人受けする安定して香りや味わいが馴染みやすいものがあり、おすすめできるものも多いです。

シングルモルトにしか目が行っていない方も、ブレンデッドもある程度飲んでいってはどうでしょうか。





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今回は、公式Xのフォロワーさんからのリクエストにお応えして、千葉県にある須藤本家の房総ウイスキーを飲んでみます。

明治創業の酒蔵のチャレンジ

DSC_0981_01房総ウイスキーを製造、販売する須藤本家は、千葉県君津市、久留里地区にあり、明治18年創業だそうです(茨城県にも須藤本家という酒蔵がありますが無関係とのこと)。

久留里地区は古くから地下水が豊富で、平成の名水百選に選ばれるほどの良い水が採れる場所です。
その水を使い、同社は日本酒の他、様々な素材を使った焼酎も手がけています。

そんな同社がウイスキーの製造に着手したのは2018年で、同年にウイスキーの製造免許を取得し、焼酎で培った蒸溜技術をウイスキーへ応用しようとしたようです。

また、酵母においてもウイスキー用ではなく、日本酒に使われる酵母を使う試みも行っています。
蒸溜釜もウイスキー用のポットスチルではなく、本格焼酎用の単式蒸溜釜を使っているようです。

しかし2019年には豪雨の被害に遭い、2020年からは新型コロナによって従業員を入れての稼働が出来ない状況が続き、一時は諦めることを考えていたようですが、それに屈せず、製造をスタート、ついに製品化にこぎ着けました。

出来上がった房総ウイスキーは、自社製のモルト原酒の他、スコットランドから輸入したバルクのモルト、グレーン原酒をブレンドしたものになります。
ラベルの原材料名ではグレーンが先になっていることから、モルト原酒の割合は低いと推測されます。

テイスティング

グラスからの香り、液色

グラスからはレーズンとリンゴの香りが感じ取れます。
液色は中庸な琥珀色です。

ストレート

まず香りとして、体育館の倉庫を思わせるヒネ臭がやってきます。その後、バナナ、リンゴ、ブドウの香りへと続きます。

味わいは甘味が先んじた後、酸味、ほろ苦さと続きます。

ロック

ピートからのスモーキーな香りの後、ラムレーズン、バナナ、バニラと続きます。
ただ、全体的にヒネ臭が鼻につきます。

味わいは、苦みが前に出て、その後に酸味が続きます。

ハイボール

スモーキーさはあるものの、やはりヒネ臭を思わせる違和感があります。その後、バナナ、カスタードクリームの香りと続きます。

味わいは、苦みと酸味が半々で、甘味はわずかという印象です。

清酒酵母を使ったマイナスが大きい

全体的には、古いウイスキーが経年劣化によって生じるヒネ臭が気になりました。
そもそもこの匂い自体は日本酒をしばらく置いた際にも発生するため、清酒酵母を使っていることも一因なのかも知れません。

日本酒が好きな人であれば、この香りを好む人もいるでしょうけど、ウイスキーを飲み慣れている人だと劣化して飲んではいけないと判断するかも知れません。

日本酒の酒蔵と同じ場所でウイスキーを作るため、ウイスキーの酵母が日本酒の酵母を駆逐しないためのアイデアなのでしょうけど、海外で今後売るにしても賛否が分かれるでしょう。

個人的には、酒蔵から離れた場所に蒸溜所を設けて、ウイスキーの酵母を使って醸造する方がいいと思います。

700mL、アルコール度数40度、価格は2200円ほど。
同社では更に熟成を進めてシングルモルトを出すのかと思いますが、この特徴が顕著になったときにどうなるか、気になるところです。

<個人的評価>

  • 香り D: 体育館の倉庫を思わせるヒネ臭が目立つ。スモーキーさとバナナの香りが続く。
  • 味わい C: ストレートでは甘味が目立つが、加水で苦みが強くなる。
  • 総評 D: ウイスキー好きほど敬遠されてしまうかも。


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今回は、日本限定発売のホワイトホース12年を改めて飲んでみます。

年数表記とは?

さて、ウイスキーの銘柄においては12年とか17年とか年数が表記されている銘柄があるのを見たことがあるでしょう。

この年数とは、ブレンドした原酒の「最低限」の熟成年数を表記しているのです。
例えば12年であれば、モルト原酒、グレーン原酒共に、最低でも12年以上は熟成していることを示します。

ただ、全ての原酒が12年熟成というわけではなく、原酒によってはそれ以上熟成されたものを使っている場合があります。

また、同じ年数であっても作られた地域によって熟成度合いが異なります。

比較的寒冷な地域で作られるスコッチウイスキーと、温暖な地域で作られるアメリカのバーボンウイスキーとでは、バーボンの方が熟成が進みやすく、同じ12年表記でもバーボンの方がより熟成度の高いものが期待できます。

2000円台をキープする12年もの

DSC_0957_01ここ最近においては、円安に加えて原材料費などの高騰が加わったことで、2000円台前半で買えた12年もののブレンデッドスコッチウイスキーも高くなり、3000円台に跳ね上がったものも少なくありません。

この価格帯で有名なシーバスリーガル12年、ジョニ黒ことジョニーウォーカー ブラックラベルも3000円を超えてきました。

シングルモルトにおいても、安いものなら2000円台だったものが4000円でも買えなくなっています。
かつては2500円程度だったグレンフィディック12年も4000円を突破しました。

その中でも2000円台前半でキープする良心的価格なのが、今回紹介するホワイトホース12年です。

このボトルは日本限定であり、和食と一緒に飲んでも料理の味を殺さないブレンドがされているようです。

こちらもキーモルトは、アイラモルトのラガブーリン、スペイサイドのグレンエルギンになります。

テイスティング

グラスからの香り、液色

グラスからはレーズン、リンゴ、カラメルの香りが漂ってきます。
液色は少々濃いめの琥珀色です。

ストレート

スモーキーな香りから立ち上がり、レーズン、リンゴ、カカオ、樽香と香りが続きます。
味わいは、アルコールからの辛みはそれなりにあるものの、軽い渋味と甘さが広がり、酸味も後からついてきます。

ロック

正露丸を思わせるスモーキーな香りの後でレーズンが続き、リンゴ、レモン、カカオと香りが訪れます。
味わいは、ほろ苦さが先行し、ダークチョコレートのような甘さが続きます。

ハイボール

レーズンの香りが先に訪れ、その後リンゴ、シナモン、スモーキーさ、レモンと続きます。
味わいは、苦みが先行するものの、その後は酸味と甘味が半々に感じられます。

そこそこの熟成感があって不満は少ない

日本限定を謳っているせいか、ストレートは少々きつい印象です。
ロックや加水によって甘さが前に来るようになっての見やすさが一気に出てきます。

ホワイトホースらしさがあるものの、あまりクセを出さないよう調整している印象です。

700mL、アルコール度数40度、価格は2400円ほどです。

<個人的評価>

  • 香り B: スモーキーさがありつつも、レーズン、リンゴ、レモンのフルーティさが目立つ。
  • 味わい C: 渋味、苦みが先行するものの、後から酸味、そして甘さが広がる。
  • 総評 B: ウイスキーらしさを出しつつも、料理を邪魔しない絶妙な香りと味。


[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

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今回は、カナディアンウイスキーの代表格である、カナディアンクラブを改めて飲んでみます。

カナディアンウイスキーはマイナー?

DSC_0951_01カナディアンウイスキーは、スコッチウイスキーやバーボンなどのアメリカンウイスキーに比べると種類が少なく、日本での知名度も低めです。

しかしカナダでウイスキーが作られ始めたのが17世紀後半と言われていて、結構な歴史を持ちます。

本格的に作られるようになったのは18世紀後半になってからで、穀物の収穫量が過剰になってきたことで、余剰分をウイスキーとして作り始めるようになったそうです。

カナディアンウイスキーにおいてはライ麦を主原料として、トウモロコシ、大麦を使います。
蒸溜釜は連続式のものを使うため、広義的にはグレーンウイスキーと言えます。

現在のカナディアンウイスキーの銘柄として、代表的なカナディアンクラブを始め、クラウンローヤル、アルバータプレミアム、シーグラム、カナディアンミストと、あまり種類が豊富ではありません。

特にカナディアンクラブ以外になると、酒屋さんでもあまり見かけないほどで、マイナーと言われるのも否定できないでしょう。

さて、カナディアンクラブは1858年より、ハイラム・ウォーカー社が製造、販売をしています。
このウイスキーはアメリカ東部の紳士クラブで人気を得て、クラブウイスキーと呼ばれていました。

その後、アメリカ政府が自国産のウイスキーのシェアを奪われかねないとして、カナダ産であることを明確にするよう法律を定めました。それにより、カナディアンクラブという名称がつけられました。

日本には1909年に初めて輸入され、現在はサントリーが輸入販売を手がけています。
現在は白いラベルのノンエイジと、黒いラベルの12年ものがラインナップされています。

テイスティング

グラスからの香り、液色

グラスからはバニラの甘い香りが広がります。
液色は中庸な琥珀色です。

ストレート

バニラとメロンの香りが一緒に訪れ、ナシ、ブドウの香りが続きます。
味わいは、アルコールからの辛みがそこそこありますが、その後はほろ苦さに続き、甘さも得られます。

ロック

バニラの香りの後、アルコールの揮発した香りが続き、続いてナシ、モモの香りが続きます。
味わいは、スパイシーさの後に苦みが続きます。

ハイボール

ほのかにバニラとメロンの香りが感じられます。ただ、それ以上の香りはありません。
味わいは、甘みが主体で、奥からほろ苦さもわずかに得られます。

ハイボールで飲む方が合いそう

全体的にバーボンほどの癖の強い香りが無いものの、ストレートやロックでは苦みが強めで、人を選びそうです。
反面、水割りやハイボールにすることで甘味が前に出やすくなるので、この方が飲みやすいように思えます。 ハイボール用のウイスキーとして選択肢に入れてもいいかもしれません。 700mL、アルコール度数が40度、価格は1100円ほどです。比較的手にしやすいでしょう。

<個人的評価>

  • 香り B: バニラ、メロンの香りの後、ナシ、ブドウ、桃と続く。
  • 味わい C: 水で割ることで甘味が出るが、ストレートなどでは苦みが強い。
  • 総評 C: ハイボール用ウイスキーの一つに加えてもいい。

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