振り返ると、商売や人生のカラクリに絡みとられた日々は空虚さばかりが先走ってしまっていました。
店をリニューアルした直後、損得とかその他の迷いを捨て去った時にようやく自由になれました。
その時から一段とお客様に受け入れられ満足していただける焼肉料理が提供できるようになったかと思います。
こんな私ですから、学ぶべきことが多く、料理だけではなく人間学やライフハック関連などの書物など(ほとんど積ん読ですが)、興味の持てるものを狂ったように買い漁っては少しずつ読んでいます。
今年何年生になるかも既に忘れてしまった通信大学の学生として、カタツムリの歩みのように遅々と、しかし丁寧かつ確実にと学んでいます。
ちなみにビジネス書はほとんど読みません。
売上アップや店舗拡大とは正反対のスモールビジネスを志向しているのです。
山椒のように小粒でもピリッと辛い内実の伴う成長のみを追い求めています。
ここに来て人としての向上と店舗力は面白いほどシンクロすることを汗して働く中で思い知りました。
反対に嫌らしい小手先の戦術は、ヘボ将棋、王より飛車を可愛がりの類で、戦闘力の高い販促より勝敗を決する王、つまり魂の成長を抑えつけ己の首を絞めるだけでした。
カラッと晴れ渡った夏空の下に遊ぶ子供のように単純で素直な気持ちになれると目の前が開け、また学べば学ぶほど同じ事象にもより深く、多面的なものの見方が出来るようになり、清々しい日々に真っ直ぐな一本の道を指し示してくれるようになりました。
しかし、お客様の反応は手厳しいです。
たとえばネットでの低評価があり、味が落ちたとか提供時間の遅さをレビューされます。
全く気にしないといえば嘘になります。
言ってもらえるということは有難いことであり、無論反省をしますし、ない知恵を絞って対策も練ります。
ただ今のやり方で真剣にやっているつもりなだけに分かっていただきたい事柄もあるのです。
食は命。
食材は生きたものです。
貴重な命をいただき私達は謙虚な気持ちでそれを調理しなければなりません。
ところが常に均一な工業製品ではありませんからバラツキがあり同じ肉質は出せません。
できることはより良い食材を探し当てることであり、決してこれまでより劣ったものを志向することではあり得ません。
また、お客様の好き嫌いはあって当たり前ですし、お客様の体調や気分によっても味覚は左右されます。
それに効率を求め提供スピードを考慮した仕込み方法では、それに見合ったまさにいい加減なものに堕しやすいのです。
それらを踏まえてこれからどうすべきか。
ただ一所懸命により美味しい状態での提供を追求するしかありません。
そこを蔑ろにせずに提供スピードを上げていく努力をしていきたいと思います。
小事に全力を尽くしながらやっていくつもりです。