昨夜は比較的暇だったので追われ気味の仕込みができた。
いつものことながら世間が休暇を取っている間、当然ながらサービス業は牛の手も借りたいほど多忙になる。
屠場さえ長い休みに入り、舌を巻く和牛タンも不足となる。
仕込みと営業との間に板挟みになり、そこから滲み出てくるものは嘆きであってはならない。
遥か無限の美味しいものを提供するんだという強い意志、情熱でありたい。
飯が食える、働ける、眠れること。
当たり前が当たり前ではないことを知悉したい。
なぜなら今後も続けたいことは人生の一瞬、一瞬を味わうことだから。
だから食と人生は相通じるものがある。
どちらも美味しいことは幸福なのだと。
それを続けるためには自分とは異なる人、考え、異質なものを受け入れる度量が必要だ。
ただ、どうしても不満に感じていることはある。
たとえば昨夜はキャンセルが5組も出た。
いわゆるドタキャン。
営業時間が過ぎてからのご連絡。
連絡があるだけでもマシだと言えるけれど、本音を言わせて貰えば、それまでの夕刻に引っ切り無しにご予約希望の電話が鳴りっぱなしで、その度に丁重にお断りしていた。
正直売り上げにかなり影響し、いつもなら満席、待ち客もおられる状況であるはずのピークタイムに空席が目立った。
それぞれの理由があろう。
電話一本で安易にキャンセルできることが原因でもある。
キャンセル料を取らないシステムだし、一般大衆向けの焼肉屋に前例をあまり聞かないし。
しかし、時代は変わりつつある。
法律が動き始めた。
飲食店にもホテル並みのシステムが構築されつつある。
その他の予約希望を断り、損害が出ているのだから、キャンセル料を取っても良い理屈が通る。
当店だけではない。
これまでは同業者の方々も、食べ人来たらずの心を込めて作った団体向けのコース料理を前にして、ただ泣き寝入りをしていた。
既にそうしている店を参考に、今後わの方針を図りたい。