前夜のゴタゴタはあったものの
長野からわざわざ来ているのに
父の通院に同行しない、と言う選択肢はありません。
ただし、迎えに行くのは危険(自分が)だと
心が黄色信号をだしていましたから、
父とは病院で集合しました。

変わらず父は怒っている様子
待ち時間の間はずっとダンマリです。
ようやく呼ばれて、診察。

先生から
今日の血液検査の結果からすると
あまり良くない数値です。
白血球数値もかなり低く好中球数値も低い。
輸血をした方が良いですね。
と言われました。

今日は用意ができない為、再度明日来院。
今後についての話をされました。

数値的に白血球数値が低いので
感染症に気をつけてください。
体調はどうですか?
と聞かれた父は
しんどいです。輸血お願いします。

と。

正直、びっくりしました。

しんどいとか息切れ苦しいとか
私たちの前では、絶対言いません。

しんどかったんじゃん!なんで強がるの?

そう思いましたが、
病人扱いされたくない父ですから
そりゃそうか、、。


あと、治験の件ですが、といきなりの本題!

2つほど見つかりました。
こちらでは出来ません。
東京のN病院になります。
やりますか?

父はどんな治験なのかの詳細は後回しにして

やります。と即答しました。

詳しい内容は治験の病院で説明があります。
早速ですが、来週月曜日に行けますか?
と聞かれた父は

その日は前から別の検査予約があるので、
その日以外で、、と返答するも、
先生から、それは、別日にしてください。
こちらが優先です。
とはっきり言われました。

検査は数年前に患った箇所の定期的な検査です。
優先度は低いです。
でも、数ヶ月前から決まっていた予約ですから、父の中では、その日は予定あり、それ以外の日に調整して〜と安易に思ったんでしょう。

ピシャリと先生に言われて、
私もハッとしました。

父にはそんな猶予はない。

望みがあるかどうか、効くか効かないかわからない治験と言えど、他にもう道はありません。

何よりも優先、それは命の残りを突きつけられた思いでした。


治験のお話しを頂き、チャンスをもらえ、
少し生きる希望を得た父。

治験にはスクーリングがあるので、
治験薬を投与される対象になるかどうかは分かりません。
それでも、父にとっては
ドン底から這い上がる気力にはなった事は
となりで見ていても手に取るように分かりました。

それでは紹介状を用意します。
また、輸血の説明を待合で聞いてください
と診察が終わりそうになったころ

そうだ!味覚の件!と思い出し

先生、父は、最近何を食べても味がしないようなんです。と伝えました。

すると、すかさず父が、

そうじゃない、正確に言えば、
味がしないわけじゃなくて
違った味に感じる、
まあ何食べても旨くないし、あんまり食べたくもないって事です。

と、、、、。


先生曰く
体調が悪くなって食欲が落ちているんじゃないでしょうか?
あまり食欲がない時に食べても美味しく感じませんから。と。


え?味が感じないんじゃなくて
体調不良で食欲が無くて美味しく無かったって事?それって相当具合悪い時の状態じゃない?

私たちに体調が悪いと知られたくなかったんか?
病人と思われたくなかったんか?

何でそこまで意固地になるのか?

体調悪いと言えない父。
その意地が周りの親切を敵に回しているとしても

それでも、きっと

周りの老人たちとは違う
若々しいと思われてる自分!
じゃないと我慢ならないんだね。

何て厄介なプライドでしょう。

父のような人は、ある部分ではそうやって
現実から目を背けないと
生きていけないのかもしれないな。

かなしいな。