経理・経理・経理マンの巣窟

大・中・小あらゆる企業で経理実務経験約40年の蔵研人が、本音で語る新感覚の読み物風の経理ノウハウブログです

中小企業の定義

2020-08-23 15:33:25 | 一口メモ

 一般的に中小企業と言えば、「大企業以外の企業」という程度の認識しか持ち合わせていない人たちがほとんどかもしれない。また逆に大企業とはどんな企業を指すのだろうか。しかしながら法律上で大企業を定義しているものはほとんどなく、中小企業等以外の企業を大企業という考え方をしているようだ。ただその中小企業等の分類基準には、いろいろな定義があり一筋縄では説明できないのが実情である。

 まず中小企業基本法では、業種ごとにかつ資本金と従業員数により、以下のように中小企業と小規模事業者会社を定義している。そして一般的には、小規模事業者会社のことを零細企業と呼ぶ場合もあるようだ。
(資本金と従業員の両方の条件を満たすこと)
  業種          資本金      従業員
1.製造業・その他  3億円以下    300人以下  (20人以下は小規模事業者)
2.卸売業        1億円以下    100人以下 ( 5人以下は小規模事業者)
3.サービス業      5千万円以下   100人以下 ( 5人以下は小規模事業者)
4.小売業         5千万円以下    50人以下 ( 5人以下は小規模事業者)

 ところが法人税法上は、資本金が1億円未満であれば中小企業に分類されて、各種の優遇措置が受けられることになっている。多分これは大昔に創られた法律を手直ししないまま放置し過ぎた結果、既得権にしがみつく企業の反発が怖くて改正できないのだろう。だからしたたかな企業は、実態は大企業にも拘らず、資本金を9千9百万円のまま据え置いているのである。

 また大企業という呼称ではなく、「大会社」という定義が会社法の中で定められており、資本金5億円以上または負債総額200億円以上の株式会社を指し、次のような規制が義務付けられている。
1.会計監査人による会計監査
2.監査役会または委員会の設置
3.内部統制システムの決定
4.貸借対照表と損益計算書の公告
5.連結計算書類の作成

 ほかにも大企業と中小企業等を分類している規則などがいくつか存在するのだが、ここで紹介するのはこのあたりでやめておこう。いずれにせよ、その解釈がいくつもあることだけは、理解されたのではないだろうか。
 
 さて大雑把に日本の会社数を大企業と中小企業等に分類すると、大企業は僅か0.3%で中小企業は99.7%という圧倒的な差があるのだが、従業員数では大企業が約30%を占めているという。この統計には公務員等が含まれていないのだが、いずれにせよ中小企業等に勤務している人がかなり多いことは否めない。
 
 また従来から大企業は安定しており、給料が高く労働条件や職場環境が良いとされていたが、栄枯盛衰の激しい現代では、必ずしもそれが全企業に一致したメリットと明言できなくなってきている。
 まず転勤や残業が多く、法律や社内の規制も厳しいし、出世競争も過激である。さらに最近は上場企業でも倒産やリストラが頻繁にあり、必ずしも安定した職場環境が継続されるとは限らないのだ。

 逆に下請け企業でないのなら、中小企業のほうが夢もあり、仕事も面白いことは確かであろう。どちらを選ぶかは、各人の価値観と実力の問題かもしれないがね…。

作:蔵研人

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