骨盤底筋の緩みによる便秘

 

骨盤底筋群の緩みは、便秘の原因となります。出産や加齢で、骨盤底筋群は緩みます。特に、妊娠と出産は、骨盤底筋群の緩みの原因となり、産後に多い便秘の原因となります。産後の骨盤底筋群の緩みで生じる便秘の多くは、スーパー便秘ともよばれる直腸性便秘です。肛門に接合する直腸は、骨盤底筋群で保持・固定化されていますが、妊娠により胎児や羊水の重さで骨盤底筋群は緩み、真っ直ぐな導管状の直腸は、袋状に変形し、そのため便が袋の中に入り込み、排便困難となって便秘が生じます。骨盤底筋群の緩みを原因とする直腸性便秘は、便秘薬、下剤、酸化マグネシウムでは効かない難治性の便秘であり、慢性便秘症の原因ともなります。骨盤底筋群の緩みによって生じる便秘には、天然成分の水溶性食物繊維であるイヌリン食物繊維がとても有用です。イヌリン食物繊維は、腸内環境を整えることによって、硬くなった便を軟らかくして、便通を正常化させます。また、イヌリン食物繊維は、普段私たちが食する野菜類や根菜類に含まれているので、授乳婦さんのみならず授乳中の赤ちゃんの安全性の側面からも、便秘対策として有用な天然の食品成分です。産後、お母さんの多くが便秘で悩まされています。ここでは、「骨盤底筋と便秘:骨盤底筋群の緩みによる産後の便秘の予防と治し方」について、お話します。

 

骨盤底筋とは

骨盤底筋とは、お椀型の骨盤の底にあって、直腸、子宮、膀胱などの臓器を支えている筋肉の総称です。尿道や肛門などを締める役割もあり、その筋力が衰えますと便秘や尿漏れ・尿失禁を引き起こします。骨盤底筋は、それらの骨盤内臓器を支え、排便や排尿に重要な役割を担っている筋肉であるといえます。

 

私たちの胴体は、胸部と腹部とに分かれます。そのうち、腹部は、横隔膜、腹横筋、多裂筋及び骨盤底筋群と称される4つの筋肉群で覆われていて、人間という種の形態の構築に寄与しています。骨盤底筋群は、その最も下層に位置し、骨盤というお椀型形状の下層に配置されています。骨盤底筋群は、ちょうどハンモック状の形状をとり、主に生殖器や排泄臓器を支える役割を担っています。骨盤底筋群は、筋肉構造となっていますが、解剖学的には、2つの膜と筋肉が二重に構成された筋組織の構造となっています。

 

骨盤底筋群は、直腸、子宮、膀胱等の腹部下部臓器を支える役割がありますが、その他、以下の機能があります。第一に、姿勢あるいは人間としての形態の安定化に寄与することです。骨盤底筋群は、上述のように我々人間の腹部形成の一旦を担っており、これがうまく機能することで人間としての姿勢の安定化に寄与しています。第二に、腹部4つの筋肉群は、呼吸と密接に関連しています。呼吸を行う、すなわち息を吸ったり吐いたりするのは、肺や胸部の機能と思われがちですが、実は、胸部のみならず腹部の4つの筋肉群のサポートが必要なのです。胸部の呼吸は、胸部のみならず腹部の支えがあってはじめて呼吸が可能となるのです。腹部下部にある骨盤底筋群も胸部の呼吸に寄与しています。呼吸にはさまざまな類型がありますが、その中で、深呼吸は骨盤底筋群の寄与なくして行うことはできません。骨盤底筋の働きが良い場合、呼吸が深くなります。第三に、骨盤底筋は、排尿や排便に重要な役割を担います。排尿や排便の最終段階は、膀胱や直腸の役割となります。膀胱や直腸は、それ単独では排泄機能を十分に行うことはできず、骨盤底筋群と緊密に連携して初めて、排尿や排便が行われます。骨盤底筋がうまく機能することが、スムーズな排尿や排便につながります。逆に、骨盤底筋の機能が、うまく働かない場合、排泄機能の低下によって、便秘あるいは排尿障害が生じます。第四に、骨盤底筋は、種の保存に寄与します。骨盤底筋は、それに隣接する生殖器と連動して、種の保存、すなわちスムーズな出産に寄与します。児にとって安全な出産を実現するために、骨盤底筋には、骨盤を広げる機能があります。骨盤は骨組織で形成されていますが、その組織の形状や形態を骨盤底筋は変化させることができるのです。このように、骨盤底筋群は、私たちの日常において重要な役割を果たしているのです。その一方で、骨盤底筋がうまく働かないとさまざまな健康上のトラブルが生じます。産後にみられる便秘のトラブルも骨盤底筋群に由来することが多いです。

 

産後の骨盤底筋群の緩み

骨盤底筋は、直腸、子宮、膀胱などの下腹部の骨盤臓器を支える筋肉で、その総称が骨盤底筋群となりますが、この骨盤底筋群が出産などで緩みますと、便秘、尿漏れ・尿失禁、頻尿、セツクスレスの原因となる性交痛などのトラブルが生じます。最近では、骨盤底筋群の緩みが、女性の冷え症に密接に関与することが報告されています。骨盤底筋群は、単に骨盤臓器を支える働きのみならず、女性にとって、日常的なさまざまな健康上のトラブルの原因にもなっています。骨盤底筋群の緩みの主原因は、加齢と妊娠・出産の2つです。加齢により、骨盤底筋群は徐々に緩み衰えていきます。更年期から高齢者の女性に便秘や尿漏れ・尿失禁などの排尿障害が多いのはそのためです。他方、妊娠と出産は、急激に骨盤底筋群が緩みます。出産時に、骨盤底筋群が損傷を受け、骨盤底筋群の機能が極端に低下する場合もあります。

 

骨盤底筋群は、ハンモック状の筋肉で、その上に、子宮、直腸、膀胱などの骨盤臓器が置かれた状態となっています。通常、骨盤底筋群は「ぴん」と張っていて、それらの臓器を支えています。しかし、妊娠し、月日が経るごとに、子宮内の胎児は成長し、しかも羊水を伴って子宮は大きくしかも重くなります。そうすると、子宮を支えている骨盤底筋群は、その「重さ」に耐えかねて、「ぴん」と張っていたものが、U次型に緩むのです。出産時は、骨盤底筋群が最も緩んだ状態となります。つまり、妊娠と出産は、骨盤底筋群が緩む、物理的な要件となるのです。

 

とはいえ、骨盤底筋群には骨盤を広げる働きがあり、出産がスムーズに行われるよう、重要な働きがあります。従って、妊娠・出産時における骨盤底筋群の緩みは、人間という種の保存において合理的な変化であるといえ、何ら問題があるものではございません。出産時に最大限に緩んだ骨盤底筋群は、通常、出産の終了とともに、その後は、徐々に妊娠前の元の状態まで縮み、およそ2か月後には元の状態に戻ります。しかし、緩んだ骨盤底筋群が元の状態に戻る出産後2か月間は、緩んだ骨盤底筋群によって、便秘、尿漏れ・尿失禁、頻尿、性交痛あるいは冷え症などの症状が現れます。さらに、現代では、出産後、緩んだ骨盤底筋群が元の状態に、なかなか戻らない女性が多くなり、出産を契機に、便秘や排尿障害の症状が継続する人も多くなっています。これは、妊娠の回数が従来に比べ少なくなったこと(結果として少子化)、また晩婚化による高齢出産が多くなったことが原因として考えられています。骨盤底筋の緩みは、現代の社会的状況を反映していると考えられます。産後クライシスによる離婚の原因も、一つには骨盤底筋群の緩みにあると考えられています。

 

骨盤底筋群の緩みと便秘

妊娠と出産により骨盤底筋群が緩みやすくなります。子宮内の胎児や羊水の重さで、子宮を支える骨盤底筋群が伸びてしまい、そのため骨盤底筋群の緩みが生じます。骨盤底筋群は、子宮、直腸、膀胱等の骨盤臓器を支える機能のみならず、便や尿の通り道を作る役割もあります。通常、排便の際には、緊張した(ぴんと張った)骨盤底筋群が緩み、それにより直腸内の便が肛門の方へ移動し、排便が起こります。しかし、妊娠と出産で、骨盤底筋群が緩んだ状態となりますと、骨盤底筋群の「緊張」と「緩み」の機能が衰えてしまい、排便時に直腸内の便の通りが鈍くなり、そのため便秘が生じます。このような骨盤底筋群の機能低下により生じる便秘を直腸性便秘といいます。

 

直腸性便秘は、慢性便秘症の原因となります。便がいつまでも直腸内に留まるために、便の水分が失われ、硬い便となって排便困難となります。便秘薬や下剤でも、なかなか治らない便秘です。直腸性便秘の原因の多くは、妊娠と出産によるものですが、便意を我慢するタイプの人にも多くみられます。産後の便秘は、さまざまな原因で生じますが、骨盤底筋群の機能低下も多くみられる便秘の原因であるといえます。出産を伴う骨盤底筋群の緩みによる便秘は、慢性便秘症の原因となりますので注意が必要です。また、妊娠と出産を契機に、尿漏れや尿失禁が多くなった、あるいは頻尿になった、という女性もきっと多いことと思われますが、このような排尿障害も骨盤底筋群の緩みを原因としたその機能低下によるものです。このように、骨盤底筋群には、排便と排尿を調節する重要な役割があるのです。

 

骨盤底筋群の鍛え方

妊娠や出産あるいは加齢などによる骨盤底筋群の衰えは、便秘、尿漏れ、尿失禁あるいは頻尿などの原因となり、また骨盤組織が歪む原因ともなります。骨盤が歪みますと、骨盤底筋群の機能も低下するために、骨盤底筋群の衰えと骨盤の歪みは悪循環を繰り返すことになり、これにより便秘や尿失禁などの排尿障害も慢性化することになります。ですので、衰えた骨盤底筋群を鍛えることで、便秘や排尿障害の改善やその予防につながります。

 

衰えた骨盤底筋群の筋力を鍛えるには、骨盤底筋体操(ケーゲル体操)が効果的です。ケーゲル体操は、もともと尿失禁の女性患者さんのためのヘルスケアとして開発された体操ですが、骨盤底筋群の衰えによる便秘、子宮脱・子宮下垂、直腸脱、膣脱などの骨盤臓器脱、第2子以降のスムーズな出産、膣圧の向上による性的満足度の向上にも効果的であるといわれています。また、ケーゲル体操は、姿勢を整え骨盤を矯正する効果があり、下腹部の脂肪がつきにくくなるといわれています。

 

ケーゲル体操の基本は、膣を締める力を入れたり、あるいは抜いたりすることを繰り返すトレーニング方法です。5秒または10秒間隔で、膣に力を入れたり、力を抜きます。膣を「締める」「緩める」という繰り返しのトレーニングで、同時に骨盤底筋群が鍛えられます。ケーゲル体操は、立った状態、椅子に腰かけた状態、仰向けの状態等、どのような体位でも構いません。ケーゲル体操の効果は、排尿時に確認することができます。排尿時に尿を自分の意志で止めることができれば、効果があると判定されます。この効果判定を目安に、ケーゲル体操の継続の判断を行います。

 

骨盤底筋群の緩みで生じる直腸性便秘の対処法

骨盤底筋群の鍛え方には、ケーゲル体操以外にもさまざまな方法がありますが、医学的又は臨床的に評価された方法はケーゲル体操のみであり、他の方法は医学的根拠がありません。そのケーゲル体操は、一般的に、排尿障害に対しては効果的なのですが、骨盤底筋群の衰えによる直腸性便秘には効果が少ないといわれています。

 

直腸性便秘は、スーパー便秘ともいわれ、便秘薬や下剤では、なかなか治すことができない難治性の便秘です。肛門に連なる直腸は、もともと真っ直ぐな管のような構造をとっていますが、骨盤底筋群の衰えによって、歪んだ形態となり、それにより真っ直ぐな管が袋状に膨らんだ形態となるために、便が詰まってしまい便秘が生じます。袋状になってしまった直腸は、ケーゲル体操などで骨盤底筋群を鍛えても、なかなか元の状態に戻ることができないために、慢性化した便秘が生じるのです。

 

産後によくみられる直腸性便秘は、便が硬くなることによって生じる便秘ですので、便を軟らかくすることが、直腸性便秘の改善や予防につながります。硬くなった便を軟らかくする方法として、天然成分のイヌリン食物繊維の摂取が有用です。イヌリン食物繊維は、ゴボウ、アスパラ、タマネギ、ニンニクなどの野菜類や根菜類に含まれる水溶性の食物繊維です。イヌリン食物繊維は、胃酸や胃腸内の消化酵素では分解されず、また熱水でも分解されない化学的に安定な水溶性食物繊維です。他の食物繊維とは異なり、水に溶けても膨潤化しない特徴があり、摂取してもお腹が張らず腹痛が生じない特徴があります。

 

イヌリン食物繊維を摂取しますと、他の不溶性食物繊維と同様に小腸上部における糖質や脂肪の吸収を抑制し、血糖値や血液中の中性脂肪やコレステロールの急激な上昇を抑えます。また、大腸に到達したイヌリン食物繊維は、そこに生息するビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌の特異的な栄養源となってそれらの善玉菌を増やします。大腸菌やクロストリジウム菌などの悪玉菌は、イヌリン食物繊維を栄養源として利用することができません。したがいまして、イヌリン食物繊維の摂取で、ビフィズス菌などの善玉菌のみが特異的に増え、腸内環境が改善されます。このような腸内環境の改善効果をプレバイオテイク効果といいます。イヌリン食物繊維は、プレバイオテイク効果が最も優れた天然成分です。オリゴ糖も善玉菌を増やす作用がありますが、悪玉菌も同時に増えますので、腸内環境の改善には至らないということになります。

 

ビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌には、硬くなった便を軟らかくする作用があります。これは、善玉菌の発酵によって生じる乳酸や酢酸などの有用成分には、硬くなった便を軟らかくする効果があるためです。イヌリン食物繊維は、腸内の善玉菌を増やす作用に優れていますので、それにより便を軟らかくする乳酸などの分泌量も多くなり、硬くなった便が軟らかくなって、便秘が改善されます。産後の骨盤底筋群の緩みによる直腸性便秘に対しても、イヌリン食物繊維はとても有用です。イヌリン食物繊維は、便秘薬とは異なり、体内に吸収されませんので、授乳婦さんにも安心して利用することができる特徴があります。今では、スティムフローラのように、不純物を全く含まない極めて高純度のイヌリン食物繊維が、健康補助食品として市販されていますので、産後の骨盤底筋の緩みによって生じる便秘の予防と改善に、このような健康補助食品を活用することも有用です。

 

出産や加齢によって生じる骨盤底筋の緩みによる便秘は直腸性便秘であり、便秘薬、下剤、酸化マグネシウムでは効かない難治性の便秘です。産後の便秘の多くが直腸性便秘で、慢性便秘症の原因ともなります。骨盤底筋の緩みで生じる産後の便秘には、根菜類などに含まれる水溶性食物繊維であるイヌリン食物繊維がとても有用であり、母体のみならず授乳中の赤ちゃんに対する安全性の側面からも、最適な便秘対処法となります。

 

水溶性食物繊維「スティムフローラ」

根菜類に含まれる貴重な天然成分であるイヌリン水溶性食物繊維は、腸内環境を改善し、自然な排便を促します。排便で苦痛を伴う方、お通じが毎日ない方、宿便気味の方、便が硬く排便が困難な方など、便の排泄にトラブルを抱えている方に、とても有用な天然成分です。スティムフローラは、この機能性の高い水溶性食物繊維を高純度(99%以上)に精製し、飲みやすいよう粒にした健康補助食品です。不純物を全く含まないので、疾患により食事制限をしている方にも最適です。市販の食物繊維とは異なり、水に溶かさず、そのままお召し上がりいただけます。快適な、毎日のお通じのために!

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