いまさら韓ドラ!

韓国ドラマの感想をネタバレしながら書いています。旧作メイン

オクジャ

2020年05月29日 | 韓国映画
Netflixで「オクジャ」観ましたっ!
この映画は2017年にめちゃくちゃ話題になりましたよね~。
映画館でかからないフィルムは「映画」と言えるのか? みたいな論争になりました。
まあすでに映画自体、「フィルム」で撮ったりしてないんですけどね。

その後、ポンジュノ監督は「パラサイト」でカンヌ、アカデミーと世界の映画祭を席捲。
「オクジャ」のときにカンヌであれこれ言われたことなんかどこかに吹っ飛んでしまいましたな。
いや~、「パラサイト」は映画館で観ましたよ。
おもしろかったなー。

でも個人的に「オクジャ」はノレナカッタナ~。
んー、おもしろかったかおもしろくなかったかと言われればおもしろかったんですが……。
なんでかなー。

【あらすじ】

ミランド社は、遺伝子組み換え操作で作った食肉用のスーパーピッグを世界の農家に配布。
10年後に、スーパーピッグ世界一を選び、表彰することにしました。
韓国の山奥にある農家にもらわれていったスーパーピッグは「オクジャ」と名付けられ、
少女ミジャとともに自然のなかでのびのびと成長します。
そして、めちゃくちゃでっかくなったオクジャは、スーパーピッグ世界一に選ばれ、
ニューヨークに連れていかれることになりました。
「ミジャはうちらが買い取ったんじゃなかったの?!!!!」
寝耳に水のミジャは、オクジャを取り戻すために山を下ります。
そこで出会ったのは、動物解放前線の過激派メンバー。
少女ミジャとオクジャは、ミランド社を告発するための駒として利用されてしまうのでした……。

個人的には、フツー!

ってか、おもしろい、おもしろいよ。
それなのに、こんな高レベルな映画なのに、それを「フツーにおもろい」とか思っちゃうなんて
オレはいつからこんな贅沢な人間になっちまったんだよ……。

なんだろ?

「今日のおかずなに~?」
「フォアグラよ~」
「またぁ?」

みたいな。

それか、あれなんだろうか?
あまり上手に作られているので、ツルツル飲んでしまって
「カレーは飲み物!」みたいになっているんだろうか?

それとも、オレの味蕾細胞がほぼ死んでしまっていて、
本当のうまさに気づけていないんだろうか?

いずれにしても、ワクワクドキドキノンストップ!って感じじゃなかったです。
おもしろかったけど。
系統的には「グエムル」みたいかなーと思ったんですが、
そこまでぶっ飛んでなかったね。

Okja | Official Trailer [HD] | Netflix


ミランダ社は、「スーパーピッグは偶然見つけた品種!」と嘘をついています。
「消費者は遺伝子組み換えに過剰反応しすぎ!」とか言ってる。
でも「安ければ買うわよ」とか言って、最終的にはバンバン加工して売るつもりでいる。

スーパーピッグが加工されていく食肉工場は、いま、牛や豚が解体されている食肉工場と同じ。
この映画を観て、「残酷だな~」と感じた人は、ふだん自分が何を食べているのか、
よく考えてみたほうがいいかも。

家畜は苦しんで死ぬと、筋肉が固くなって味が落ちるから、恐怖を感じさせずに一瞬で殺す。
効率がいいから、分業して解体する。
もちろん、血はじゃぶじゃぶ流れる。

スーパーピッグのなかには、頭のいい個体もいる。
オクジャもそうだし、最後にオクジャとミジャに自分たちの子どもを託す夫婦もそう。
でも、お肉にされて食べられる。

動物解放前線のメンバーには、野菜もちょっとしか食べられないセンシティブな奴もいる。
大いなる善のためには、小さな悪も必要!と信じる奴もいる。

人情には流されないけど、スーパーピッグは商品だから、ミランダ社も最後はミジャにオクジャを売ってくれる。

ペットにしようが、自分で食べようが、関係ない。
これは商売だから。対価をもらえば問題ない。

なんてまー、いろいろと現代社会を反映した映画でしたよね。

ただ、それがいいとかわるいとか、ジャッジしてないのでね。

「いま、こんな社会で僕たちは生きてますよ」っていわれて、
「ほんまや、忘れてた」って返事したくなるような映画です。



自分的に好きだったのは、山奥でオクジャとミジャが楽しく暮らしている図なんですが、
映画冒頭と最後では趣が違うというか、なんというか。

冒頭では、たしかにオクジャはミジャのペットなんですよね。
う~ん、それとも姉妹?
両親のいないっぽいミジャの家族の一員ですよね。

でも、最後はちょっと違うな、っていうか。
唯一無二のオクジャがたとえば死んじゃっても、名前があるんだかないんだかわかんない、
あのちっこいスーパーピッグがいるわけですよ。
オクジャも無理やり交尾させられて、そのうち子どもを産むのかもしれない。

次があることで、オクジャの死がならされていくというか、
命の循環のなかに、オクジャとミジャがはいっていったんだな、って感じがするんですよね。

そりゃ殺したりはしないけど、オクジャが寿命で死んじゃったら、ミジャは食べるんじゃないかな。

そして、ちっさいスーパーピッグをまた大きく育てるんじゃないかなって気がします。

それが、あの何千頭ものスーパーピッグを置き去りにしてきたミジャの決意なんじゃないか。
オクジャを連れてずんずん歩いていくとき、「みんな助けてあげられなくてごめんね」なんて言わないとこが好きだね。


(C)Netflix. All Rights Reserved.

「スノーピアサー」にも出ていたティルダ・スティントンさんは、双子の姉妹の一人二役でした。
確執のある姉妹。
あのタバコのもらい火のシーンがいいなぁ~。
韓服風のミジャとのおそろいドレス、かわいかった。

映画の最初と最後に出てくる青年は、「パラサイト」で物語の発端となる息子を演じたチェ・ウシク。
あの軽いノリがいいよね。

通訳の彼もよかったなぁ~。
自分の嘘を後悔して、最後は仲間を助けに来るの、最高だよね。
連れてきた女医さんは日本人みたいで、「うるさい!」って言ってました。

出てくる登場人物がみんなよくって、好きでした。

ひとりひとり、具体的なエピソードはちょっとずつなんだけど、そのちょっとで人物がすっごい際立つというか、
みんな生きてる!って感じがする。
物語の歯車になっているだけの人はいない、って感じがします。

アスパラをかじるふたりが好きだよー。

この映画、15歳以上じゃないと観られないレーティングでしたが、
お肉の解体現場よりも、奇形の子豚たちがすごく怖かったですね。
スーパーピッグはひとつの個体はすごく大きくなるけど、おっぱいは1個だから、
一度に生まれるのが1頭だってことだよね。
1回の解体でお肉がたくさん取れたほうがいいだろうけど、
食べ物もたくさん必要だろうし、あれだけ大きくするのに10年かかるし……。

畜産業として、本当に効率がいいのかどうかは疑問です。

でもあの牧場に、すごいいっぱいいたしなぁ。
どうなってんのかなぁ、あれ。

物語の展開としては、スピード感もあるし、
ミジャもなかなかのアクションシーンをかましてくれるし、見ごたえがあります。

あっと驚く展開とか、新事実とかはないので、王道のお話を楽しみつつ、
ちょっと考えつつ、って感じで楽しむのがいいんじゃないでしょうか。

個人的には、お肉食べるのはやめられないけど、頻度は減らそうかな、とか
子羊とか子牛は食べたくないな、と思いました。

動物性タンパク質は魚で摂取しようかなーと。
魚だったらいいのかよ?と言われると、あれですが、
そりゃ名前呼んだらよってくる生物よりは罪悪感少ないでしょ。

あとですね、

英語はやっといて損はないぞ!

これはもう、声を大にして言いたいですね。

あのテキスト1冊、短時間で学んだミジャは偉いよ。






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