気付けば今年初めてのブログ更新(-_-;)

 

なんて波のある奴なんだろうと、我ながら呆れます。

 

 

今日は、少し怒りの記事をひとつ。

 

時折目にするこの手の医療事故ニュース。

 

すでにご存じの方も多いと思います。

 

        下差し下差し下差し

 

麻酔で2歳女児死亡 歯科医を業過致死容疑で書類送検

(毎日新聞ニュースより)

 

 

 

人の体は、あらゆるものに触れただけでも反応します。

 

物体に限らず、粒子に触れただけでも。触れなくても。

 

ましてや、食べ物飲み物なんかはその反応も大きい。

 

消化器官を通さず直で体内に入る注射の類は

 

更に大きな影響を受けておかしくないのです。

 

たかが歯医者の麻酔くらいで・・・なんてことはないのです。

 

そこは歯医者も認識してるつもりでしょうが、今一度再認識を。

 

そして治療を受ける患者側にこそ、それを知っておく責任はあります。

 

患者が子どもであれば、それは親にあります。

 

悲しいかな、こういう事故は後を絶たない。

 

今後もおそらく無くなることはない。

 

いつ何時自分が当事者にならないという保証はないのです。

 

 

こういうニュースを見るたびに感じるのは、報道の後の世論の無責任さです。

 

特にマスコミ。

 

もはや下品なバラエティと化したいかなる報道番組も

 

無責任極まりない。

 

(バラエティが下品と言ってるわけではないです、念のため)

 

 

「だいたい、2歳の子に14本もむし歯をつくるなんて!」

「14本もむし歯ができてるのに気づかないなんて!」

「どんなもの食べさせてたのか!?」

「歯みがきしてなかったんですかね?」

「育児放棄か?ネグレクトだ!虐待だ!」

 

わが子を失った親の心に容赦なく刃物を突き刺すこれらの言葉。

 

「それだけの事言われても仕方のない親なんでしょ」

「茶髪でだらしなそうだしな」

 

そんな声すらも聞こえてきます。

 

・・・ちょっとまて。

 

君らはむし歯の原因を知っているのか?

14本のむし歯、その内訳を知っているのか?

 

多くの人は(歯医者も)むし歯の原因を間違って理解してる。

だから、磨いていても甘いものを我慢してもむし歯になる人もいるし

磨いてなくて甘いもの食べてもむし歯にならない人がいる。

むし歯14本といっても、前歯と奥歯ではその原因が違うことが多い。

一般の人が知らないのであれば、このブログを目にした人は覚えておいてほしい。

 

(以下、画像はネットよりお借りしました)

 

①この子はむし歯だと思いますか?

・・・うん、素人目にも、この子は見えるだけでも8本くらいはむし歯だ。

 

②では、この子はどうでしょう?

・・・うん、この子も何本かむし歯があるみたい。

 

③ではこれは?

・・・両端にちょびっと黒い点があるようなないような??

これは診る歯科医によってむし歯とカウントするかどうかわかれるところ。

 

④これは?

・・・前歯4本の根元が茶色っぽくなってます。

そうです。4本が帯状に茶色くなっていますね。しかし、これは初期のむし歯。

4本とカウントしても、治療するかしないかは判断が分かれるところ。

 

ちなみに僕は、この場合処置を勧めません。

年齢はおそらく3歳半くらいでしょうか?

多分生え変わりまで進行はしません。

それよりも、前歯の歯と歯の間にもむし歯がありそうです。

間のむし歯については、親が毎日ケアしていたとしても、見つけるのはかなり難しい。

 

⑤このケースはどうでしょう?

これも確かにむし歯はあります。

しかし、これも生え変わりまで進行する可能性は低いです。

 

⑥奥歯のこのケースは?

穴、開いていますね。

しかし、食べかすが詰まりやすそうです。

もし詰まっていたとしたら一般の両親には見つけるのは困難です。

それはそれとして、左となりの奥歯にもむし歯らしきものが見えます。

 

 

若い親御さんたちは、子どもにむし歯ができることに恐怖と脅迫観念を持っている人が少なくありません。

 

むし歯の一番最初の原因は、

むし歯菌でもお菓子でもありません。

 

明らかに大きく、すでに気付いていたむし歯1本を放置しているのと

 

気にかけていたけど気付いていなかった多数のむし歯をすぐに気に病むのと

 

どちらがネグレクトで虐待だと、どこの誰が批判できるでしょうか?

 

 

上の①~⑥のケース、年齢や家族構成、家庭の状況によっては

 

進行しないので放っておいて問題ないむし歯もあるのです。

 

外野で無責任に批判を垂れてる人たちは、そういったことを知っているのでしょうか?

 

 

今回のお子さん、本数からして前歯はほとんどむし歯だったと推測できます。

 

それも、気付くか気付かないかくらいの小さなむし歯が多数の前歯に。

 

2歳台の年齢で前歯に多発するむし歯の多くは、

 

奥歯が生えてくる前に出来てしまったむし歯がほとんどです。

 

しかも気付きにくいと考えると、おそらく歯と歯の間のむし歯。

 

ランパントカリエス(哺乳瓶むし歯)やペットボトルう蝕(甘い飲料水を常飲)であれば、

 

かなり前歯全体に目立つむし歯ですから。

 

歯と歯の間のむし歯の原因の多くは、

マイクロクラック(微細なヒビ)です。

 

つまり、噛む力をしっかり受け止め嚙み合わせを安定させる奥歯が生えていない時期、

 

かつ顎も舌も活発に動き出す乳児期には、前歯でガシガシ歯ぎしりする子が多い。

 

結果、前歯が生えて間もない1歳そこそこで前歯の間にむし歯ができやすい。

 

それは、授乳や離乳食や歯みがきに気を付けてもお構いなしです。

 

 

そんなことを知っていて「虐待だ、とか育児放棄だ。」とか

 

顔の見えないネット上でほざく輩は、まさかいませんよね?

 

 

もう一つ書かせていただくと

 

当該小児歯科医院は、僕も何度か通り沿いから見かけたことはあります。

 

大きなきれいなビルで、大通りに面しており、スタッフも相当数おられたようです。

 

診療内容は知りませんが、医院を20年経営していくのに相当の経費は必用だったでしょう。

 

小児歯科ですから、おそらく保険診療がメインで、咬合誘導や歯列矯正の自費診療というところでしょうか。

 

自由診療オンリーで夫婦でやっているうちの医院とは全く形態が違います。

 

しかし、うちも元はそれなりの普通の保険メインの歯科医院でした。

 

「削って埋めてなんぼ」です。

 

些細なむし歯、進行しないようなむし歯であっても、削って埋めて保険請求したほうが

 

数字的には良いに決まっています。

 

14本のむし歯を削って埋めるのに、2歳ちょっとの子どもが痛がらないよう、

 

円滑に歯科治療という名の業務を遂行するためにはどうしても麻酔は必須。

 

しかしそれを責めるのもややお門違い。

 

医療者は、

病気は悪いもの

病気から国民を救うのが世のため人のため、医療者の務め

・・・そう教わってきたんです。

 

そういう教えに疑問を持たないよう、小中高大学と教育を受けてきた。

 

そういう教育に忠実にドロップアウトせず、高偏差値で突破してきた人に

 

国家資格を与えるような、そういう教育カリキュラムなのですから当然です。

 

晴れて医療者となり、現場で実際の多様な人にかかわっても

 

患者個々の多様的・特異的な部分には触れぬよう気付かぬよう、気付いても立ち止まらぬよう、

 

立ち止まって考え込んでは保険医療報酬が下りないようなシステムを作り上げた。

 

 

一方で国民に対しては、病気になったら保険証を持って病院に行くように。

 

歯は歯科へ、耳は耳鼻科へ、皮膚は皮膚科へ。

 

部位別に専門家へ相談するように。

 

そういう教育を、何世代も前から長い年月をかけて叩き込んできたのです。

 

 

世の若いお父さん・お母さんにこそ聴いてほしい、むし歯のほんとの話。

 

「むし歯のキモチ」

 

医療問題が起きた時に、面の割れないところからがなる無責任ヤジ馬に聴いてほしい。

 

「むし歯の話」  (ほんとはそんな奴は聴かせたくないけどね)

 

知ってか知らずか、削って埋めることに違和感を感じつつレセプト点数を気にしてる歯科医にも。

 

「むし歯のキモチ」

 

 

残念ながら亡くなった女の子は戻ってはきません。

 

閉院して書類送検された歯科医も、後悔してもなかったことにはできません。

 

親御さんが悪かったのでしょうか?

歯科医がずさんで悪徳だったのでしょうか?

それとも・・・・?

 

こういった事件事故を目にして、我々はどうするべきでしょうか?

 

「自分事じゃなかったからラッキー!」と能天気にネットサーフィンするのか?

「そんな医療システムはくるっている。徒党を組んで反旗を翻す!」と異を唱える?

「まずは身近なところから、出来るところから見つめなおす!」のか?

「横並びでとりあえず目の前が楽しければそれでいいじゃん?w」と寿命を浪費するのか?

 

どちらにしても、全部自分に還ってはきますけどね。

 

 

「むし歯のキモチ」  歯 

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