半側空間無視の症状と効果について

半側空間無視の症状と効果について

みなさん、こんばんは。崖っぷちのOT林です(@tyahan56)

第31回日本高次脳機能障害学会の資料があったので、改めて読み直しました。で、半側空間無視(以下、USN)について、ちと勉強しました。

シャキ!

ここでは、半側空間無視の症状や評価についてお伝えします。


※参考資料;第31回日本高次脳機能障害学会より

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半側空間無視の割合は?

半側空間無視の割合は次の通り。

急性期(左USN)70~80%
・慢性期(左USN)40%前後
・右半球による左USN0~38%

私のコメント:慢性期40%ですか?多い少ないは別はとして、USNに対する改善が難しいことを示唆していますね…。

半盲

眼球を固定し、一点を固視したときの両目の左または右視野の障害。代償が効く、見えない自覚がある。(USNがない場合は視線・頭部・身体を動かして半盲側の空間を見渡せる)

USN

・目や頭部を自由にした自然な状況下で生じる損傷大脳半球と反対側の刺激に気がつかない、反応しない、方向に向くことができない状況。
・見えていないという自覚が低い。
・眼球を動かそうとしない。対象を探さない。
・同名半盲、左下四分盲を合併する場合から視野が完全な場合でさまざま。

私のコメント:学生時代、講義で「半盲と半側空間無視の違いが分かるように!」とある先生が言っていました。ここは明確に違いを答えられるようにしないとね。

USNの下位症状

・聴覚性無視→重度のUSN患者に多い。
・触覚性無視→頻度は少ない。
・無視性失読→単語や文字の左半分を無視する。
・無視性失書→文字や文の左半分を書き落とす。
・運動無視 →障害側と対側の肢の自発的動きが少ない。

左USN患者の性質

・楽観的
・注意散漫
・問題意識なし
・自分本位の行動
・空虚な発話

空間認知の問題に対人関係上の問題が重なり、「気配・雰囲気の認知障害」とも言われる。

私のコメント:気配・雰囲気の認知障害…、なるほど、 USNの影響で周囲の人の反応やその場にできつつある共通認識を正しく認識できない、もしくは読み取っても正しい反応を返せないというのがあるんですね。分かりやすい表現で言ったら、空気を読めない(KY)にあたるかな?

半側空間無視について

遠位空間USNの症状

・移動時に壁や家具、人などに衝突する。
・廊下や部屋の右側の壁に沿って移動する。
・向かって左側にいる人に気づかない。
・部屋の中の左半分にあるものに気づかない。
・広い部屋でも右端にいると狭い個室と思っている。
・左側から声をかけられても相手を見つけられない。

個体周辺空間USNの症状

・食事時、向かって左側のおかずを無視する。
・茶碗のご飯の左半分を残す。
・無視側の車椅子のブレーキをかけ忘れる。
・流し台の左側にある歯ブラシなどに気づかない。
・机上課題で半側を無視する。(線分抹消、模写、書字、音読など)
※音読の例)メダル→ペダル
消しゴム→ゴム
体→本
5プログラム→プログラム

個体空間SNの症状

・ひげの剃り残しがある。
・食後に口の左半分を拭かない。
・メガネをかけ忘れる。
・自らの身体の左側を無視する。
・服をうまく着られない。

USNの評価

・BIT行動性無視検査
・Japan Stroke Scale
・脳卒中機能障害評価法(SISA)
・福井による片側性視空間失認の重症度分類
・CBS

私のコメント:USNの評価と言ったら、線分2等分検査や線分抹消、図形模写(ダブルデイジーなど)が一般的でしょうか?ところが、他にも評価があったんですね…。勉強不足でした…。
BIT行動性無視検査は道具の一種ですので、当然ながら施設に置いてありません。病院なら確実に置いてあるんでしょうか?この検査の所要時間は約45分とのことで、血の気の多い利用者にできるだろうか?ちなみにこの検査の価格は31,500円となっています。

線分抹消検査を終えた時に、「あれ?どこか見落としていますよ。」と指摘する実習生がいましたが、この言葉は適切とは言いがたいと思います。むしろ、「まだ時間がありますから、もう一度探してみて下さい。」と利用者自身に気づかせるような声かけをした方が望ましいと思います。

CBSについて

生活場面の10個の状況で直接USNの影響を観察し、評価する。
・10項目4段階
0:偏移なし
1:軽度 常に右から気づき、左へ注意を向ける。
2:中等度 明らかな左への注意欠陥や衝突がある。
3:重度 左半分への注意がない。
・観察で客観評価、質問で病識の評価を行う。

10個の状況とは、次の通りです。

①顔の左半分のヒゲソリや整容を忘れる。
②左の袖やスリッパの装着をするのが難しい。
③左半分の食事を忘れる。
④食後、左の口を拭き忘れる。
⑤左を見るのが難しい。
⑥身体の左側を忘れる。
⑦左からの音や呼びかけに注意が向けられない。
⑧左側のドアや家具にぶつかる。
⑨慣れた場所や病棟を移動していても左への道を見つけるのが難しい。
⑩自分の所有物、付属物が部屋の左側にあると見つけにくい。

私のコメント:いろいろな評価がありますが、個人的にはCBS評価がやりやすそうだなと思いました。私のクラスメートがCBS手法を用いて学会で発表しておりましたね。USN評価の前に認知症の有無を確認することが大切だと思います。仮に認知症が重度であれば、CBSの手法を用いて評価するといいですね。観察で客観的に評価するわけですから、USNを検出しやすくなるでしょう。ついでに頭部や眼球の動きも見逃さずにチェックすることも大切ですね。


最後までお読み下さりありがとうございました。
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