The Great British Bake Off Workshop | First Chance to See...

First Chance to See...

エコ生活、まずは最初の一歩から。

 BSテレビ局Dlifeで放送されている、BBCの人気番組「ブリティッシュ・ベイクオフ」。ベイク=オーブンで焼くパンやお菓子作りの腕に自信のあるイギリス在住の一般人から参加者を募り、選考を経て選ばれた10名が「ベイク」の腕を競い合う。脱落者は(原則)毎回1名で、最後に残った3名が優勝をかけて決勝戦を争う、という形式になっていて、Dlifeでは第4シリーズと第5シリーズが放送された。来年1月には、第6シリーズが放送予定とのこと。

 

 私は自分ではお菓子やパンは一切作らない(何せ自宅にはオーヴンすらない)が、それでもこの番組は毎回楽しく見ていた。美味しそうなお菓子やパンが焼き上がる様を見ているだけでも心が和むし、制限時間ギリギリまであたふた作業している参加者の姿を見ていると毎回新鮮にドキドキする。かなりの数の参加希望者から選ばれているだけあって、出ている人たちはみんなすごく上手だが、老いも若きも男も女も普通に混ざっているところもいい。自宅でパンやお菓子を焼くのは、女性限定じゃないんだよ?

 

 そんな「ブリティッシュ・ベイクオフ」を題材に、ブリティッシュ・カウンシルで無料ワークショップが開かれる、会場ではお菓子も振舞われる、という情報をツイッター経由で仕入れるや否や、一も二もなく飛びついた——というのは半分本当で半分は嘘。先に書いた通り私自身は全くベイクしないので、このワークショップが調理実習も兼ねていたら大変なことになるからだ。幸い、申し込みフォームには通信欄もあったので、「ベイクできませんがいいですか?」と一言添えて申し込んだところ、それでも参加OKのメールが届いたので、ワークショップ当日の昨日、嬉々として東京・飯田橋のブリティッシュ・カウンシルへと向かった。

 

 ブリティッシュ・カウンシルの受付前には、クリスマスツリーが。

 

 

 受付を済ませて会場となっている教室に入ると、入り口には早速お茶とお菓子が用意されていた。各自でご自由にどうぞ、とのこと。

 

 

 これはこれで美味しそう……ではあるけれど、無料ワークショップに一瞬でも「ブリティッシュ・ベイクオフ」に出てくるような本格的な生菓子を期待した私が悪かった、と思いつつ、ミンスパイをゲットして席に着いた。

 

 

 教室には丸テーブルと椅子がセットされていて、一つのテーブルに4人くらいが腰掛けられるしつらえになっている。適当な席に座り、初対面の方々と軽く挨拶しながらミンスパイを食べる。クッキーやビスケットと違って食べづらいが、せっかくのクリスマスシーズンなんだもの、どうせならミンスパイを食べたいじゃないかっ(ああ、我ながら何ていじましい……)。

 

 私が着席したテーブルに集ったのは全員女性で、私以外は「ブリティッシュ・ベイクオフ」が好きだから初めてブリティッシュ・カウンシルのワークショップに参加したという方が二人、「ブリティッシュ・ベイクオフ」は観たことないけどブリティッシュ・カウンシルの生徒なのでワークショップにも参加してみたかったという方が一人。そして、私を含めて全員が「自分ではベイクしない」派だった。

 

 で、肝心のワークショップはと言うと、まずはテーブルのメンバー同士で「ブリティッシュ・ベイクオフ」を観たことがあるかどうかとか、どんな番組なのかを英語で話し合うところからスタート。

 

 

 机の上にあらかじめ置いてあったワークショップのための冊子に番組プレゼンターの写真が掲載されていて、みんなで記憶をふりしぼってそれぞれの名前を冊子に記入したりする。テーブルに集った初対面同士で英会話が弾むよう、会場を巡回しているブリティッシュカウンシルの教師が上手に誘導してくれる。そうだ、お菓子に気取られて忘れかけてたけど、これはあくまで「英会話」のワークショップだったんだわ(←おい)。

 

 会場では、当然、「ブリティッシュ・ベイクオフ」の映像も流される。当然、英語。私がDlifeで観ていた時は日本語吹き替えだったので、番組の審査員であるポールとメアリーの二人が英語で話しているのが妙に新鮮というかヘンな感じというか(苦笑)。番組参加者たちは、各回ごとに3種類のベイクに挑戦するが、日本語吹き替えでは、「オリジナルチャレンジ」「テクニカルチャレンジ」「マスターピースチャレンジ」と呼ばれているものが、英語では"the Signature Challenge"、"the Technical Challenge"、"the Showstopper Challenge"だということも初めて知った。

 

 と、ここまでは「ブリティッシュ・ベイクオフ」という番組についての話だから良かったが、そこから先は「ベイク」そのものについての話に移行。英語のスコーンレシピの短文がバラバラになっていて、正しい順に並べましょう——と言われても、もしもし、私たちのテーブルにはベイクの知識のある人がいないんですけど? それでも知恵を寄せ合って適当な推測で並べていたら、巡回してきた教師に「1番目からして間違ってるよ」とのご指摘が。ベイクする時には粉を混ぜるより先にまずオーヴンの電源を入れるべし、ですって。皆さん、知ってました?

 

 続いて、タルト・オ・シトロンのレシピの並び替え。これに比べればスコーンの作り方なんて単純だった、タルト・オ・シトロンの難解さときたら、個々の短文の意味すらほとんど理解不能の域だ。

 

 

 隣席の女性と二人で悪戦苦闘しながら、しみじみ思った。英文読解って、結局のところ、書かれている対象についての知識がどれだけあるかで大きく差が出るよな。レシピ読解でこんなに苦労するのは、私にベイクの基礎知識がなさすぎるせい。日本語で読んでもよく分からないものを、英語で読んで分かるはずがない。だから、自分の英文読解力を向上させることはできるとしても、そんな自分と自分以外の誰かとを比べてどちらの英文読解力が優れているかを判断するのは難しいよな……。

 

 結局、タルト・オ・シトロンのレシピ並び替えは二人がかりでも無残な失敗に終わり、みかねた教師がほとんど全部並び替えてくれた。ほんと、ダメすぎ。とほほほほ!

 

 それから、番組の審査シーンに登場する英単語を拾い上げて、その意味を考えたりpositiveとnegativeに分けたり。審査員の二人の言い方は、日本語吹き替えで観ていた時より英語で観た時のほうが、心なしかキツイ感じがした。


 そしてワークショップの最後には、「ブリティッシュ・ベイクオフ」に登場していた、ヴィクトリア・スポンジとスコーンとタルト・オ・シトロンの3種類のお菓子が参加者全員にふるまわれた! しかも、これらのお菓子を用意してくださったのは、麻布十番のベイキング・スクール、モーニントン・クレセントのステイシーさん!!! 

 

 

 (ワークショップ開始前に、意地汚く市販のミンスパイなんか食べている場合じゃなかったあああ〜〜〜)

 

 モーニントン・クレセントと言えば、月に二回くらいの頻度でイギリス菓子の店頭販売もやっていて、私は一度だけ行ったことがあるが、すごい人気ですごーーーく並んだ憶えがある。その時買ったのはヴィクトリア・スポンジとキャロット・ケーキで、特にキャロット・ケーキはこれまでに食べたキャロットケーキの中でもダントツで一番美味しかった。こんなにも入手困難なお菓子を、無料のワークショップで3種類まとめていただけるなんて、スコーンにはクロテッドクリームといちごジャムもついてるなんて、太っ腹すぎるだろ、ブリティッシュ・カウンシル……。

 

 

 ちなみにワークショップの会場にはステイシーさん本人もいらっしゃっていて、3種類のうちどれが一番美味しかったですかと訊かれたけど、どれもあまりに美味しくてそんなの決められないんですけど! 

 

追伸/私は以前にもブリティッシュ・カウンシルの無料ワークショップに参加したことがあって、確かその時のこともブログ記事にアップしたよな、と思って探してみたら、ありましたありました。「映画で英語ワークショップ『パレーズ・エンド/Parade's End』」。そうかあ、あの時は自分の英語レベルでワークショップについていけるか心配で仕方なかったんだな——早いものであれからもう4年半、英語力が向上した気は全くしないけれど、ううむ、ツラの皮だけは確実に厚くなってるぞ。

 

追伸2/冒頭で「ブリティッシュ・ベイクオフ」のことを「BBCの人気番組」と書いたけど、今ではBBC4からChannel 4という他局に移って放送されているらしい、ということを、さきほどイギリス在住の方からツイッター経由で教えてもらった。へええええ、そんなことも起こりうるんだ、イギリスの放送局事情って謎……。