「家族農業の10年」でグーグル検索すると、
4690万件も記事があるようだが、
この言葉、ほとんどマスコミでは見聞きしたことがない。

かくいう私も、「農民連」というところの機関誌で、はじめて知った。

 

ググって出てきたサイトの上位も、

アグリジャーナル」「JA」「小規模・家族農業ネットワーク」「日本農業新聞」(非公開記事)「農民連」「マガジン9
と、農業系のメディアが主で、

9番目になって農水省、10番目がウィキペディア、である。

 

上記JAの、「国際家族農業年+10に込められた想いと戦いの歴史」という記事が、
この国連決議に至る経緯をよく説明している。
IMFや世界銀行(及び彼らを動かす米国や穀物メジャー)に対して、
「小農・家族農業を守ろうとするFAOの決死の巻き返し」
という、国連内部の勢力争いでもあろうが、
それ以上に、「家族農業」こそが、21世紀の世界の最大テーマであるSDGs(持続可能な成長目標)のカギだろう。

SDGsについては、行政もメディアもいろいろ言及しているが、
グーグル検索すると、960万件しかヒットしない。
検索上位には、外務省や国連をはじめ、関係の公的な団体や、マスメディアでの言及が並んでいる。

SDGsには、17のゴール(目標)が設定されているが、

 

1.貧困をなくそう

2.飢餓をゼロに
という冒頭の二つの目標など、家族農業でちゃんと収入が上がれば、それでたちまち達成できることであろう。
 

3.すべての人に健康と福祉を

も、食料の自給と切り離せないし、
 

4.質の高い教育をみんなに

5.ジェンダー平等を実現しよう

6.安全な水とトイレを世界中に
は、農村環境の改善に、密接なかかわりがある問題だ。
 

7.エネルギーをみんなに、そしてクリーンに

8.働きがいも経済成長も

9.産業と技術革新の基盤をつくろう

10.人や国の不平等をなくそう

11.住み続けられるまちづくりを
12.つくる責任、つかう責任

も、農業と農村の安定がなければ、前に進まない話であろう。

13.気候変動に具体的な対策を

14.海の豊かさを守ろう

15.陸の豊かさも守ろう

16.平和と公正をすべての人に
17.パートナーシップで目標を達成しよう

と、どれも「家族農業」を発展させることで実現しはしないか?

 

富山県は、野菜の購入額が全国で一番少ないというが、

私の実感として、野菜というのは、ウチで作って、近所縁者に配るものなのである。

柿を干し、味噌を作り、カネを使わず自分たちの手で豊かな食生活を実現してきた、というのがこのへんの暮らしで、その基礎が「家族農業」であった。

 

少子高齢化や労働力不足、地方の活性化、といった

今現在日本社会が直面しているさまざまな問題の解答も、

家族農業という概念の中に、潜んでいるのではないか。

 

ところが、今の自民党の農業政策は、
農協の弱体化、資材と種の自由な輸入、経営の大規模化、高価格製品の輸出、などなど
見事なまで、「家族農業」の撲滅、という方向である。
 

来年からの10年、世界が「家族農業」を見直し、SDGsに舵を切ろうというとき、
安倍首相が何を言うのか、何も言わず知らんふりを貫くのか、

じっくり見ていかなければ、と思っている。



 

(写真は、昨年の「エコツアー」で見学してきた、ハウス栽培の野菜)