ピアジェは、スイス出身の心理学者で、発達心理学の分野で大きな功績を残した人物です。

今回はピアジェの提唱した知能発達における4つの段階について、整理します。

 

(1)ピアジェの発達段階説

 人間の認知能力は、他の動物に比べて、非常に高いものですが、生まれた時からそのような能力を持っていません。子どもから大人になるにつれて、認知の機能は発達していき、困難な場面を適切にすばやく処理できるようになったり、物の捉え方や考え方が質的に変化していきます。このような認知の発達過程を、総合的に捉えた理論の1つが、ピアジェの発達段階説です。

 ピアジェは、発達の過程を、4つの段階に分けました。

 ①感覚運動期、②前操作期、③具体的操作期、④形式的操作期です。

 

(2)それぞれの発達段階の特徴

①感覚運動期(2歳頃まで)

 この時期は、限られた生得的反射によって外界に反応するだけですが、環境と関わりながら、徐々に修正され、安定化していきます。そして、経験によって、新しい適応行動が獲得されます。ある反応によって何か関心をひくように結果が生じると、その結果がまたその反応を引き起こし、これが繰り返されることで、新しい行動が定着する、循環反応が生まれます。例えば、ガラガラを振ったら音が鳴ったので、また振ってみて、音を出すという反応をするようになります。

 また、生後数か月までの子どもは、目の前にあったものが布などに覆われて隠されると、それを取ることをやめて、消失したかのように振る舞いますが、もう少し経過すると、布を取り払って探すような行動が生まれます。物が目の前から隠れても、どこかに存在しているという対象の永続性を獲得します。

 そして、目の前にないものを思い浮かべることが出来る、象徴機能・表象機能が現れてきます。

②前操作期(2歳頃~7・8歳頃)

 この時期になると、言葉を獲得し、目の前にないものでも、言葉やイメージを使って、扱えるようになります。現実のはないものを他のものに置き換えて、ごっこ遊びをするようになります。

 しかし、概念に基づく思考は難しく、A家のネコと、B家のネコは、「ネコ」という共通点は持たず、別々のものとしてとらえています。子どもが使っている言葉は、外見上、大人と同じ言葉であっても、それの意味するものが同じわけではありません。この時期の子どもの言葉は、少数の具体例と強く結びついており、論理的に正しい思考は難しいです。

 この時期の特徴は「保存」がないことです。保存は、事物のある性質が、それを変えるような本質的な変化が生じなければ変わりません。しかし、子どもは、同じ量のジュースであっても、底が横に広いコップから、底が狭く縦に細長いコップに移し替えられると、後者のコップのほうが多く入っていると考えます。水面の高さという一側面に注目し、底の面積には着目できていません。これを、ピアジェは「中心化」と呼んでいます

③具体的操作期(7・8歳頃~12歳頃)

 この時期になると、具体的な事物に関しては、論理的思考が一応できるようになります。1つの側面だけからとらえていた中心化から抜け出して、物事を多角的・総合的に見ることができるようになってきて脱中心化)、自分とは異なる他者の視点を持つようになります。

④形式的操作期(12歳頃~)

 この時期になると、一般的、抽象的な形で形式的に考えることができるようになります。言語的にある内容を表した命題を、その内容が現実的にありうるか否かにかわからず、その与えられた条件のもとで、どのようなことが起こりうるかを考えられるようになります。

 

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