女優は気の強い

 頭のいい女というより

 変なクセのある女

 にしか見えない演技で

 監督を怒らせた。

 前回同様怒られても

 女優は今度は

 泣かなかった。

 別のシーンに

 代わってゆづると

 女優が一緒に
 下がると

 女優は松坂の傍に

 すぐ戻った。
「松坂さん、

 あれ松坂さんのクセですか?」
 そうして女優は

 自分の右手指で

 自分の右瞼を

 こすって見せた。
「ああ、まあね。

 緊張する時に

 そうすると

 気が落ち着くんだよ。」
 と嘘をつくと女優は

 それに乗っかってきた。
「私もそうします!

 緊張したら松坂さんも

 こうして気を

 落ち着かせてるって

 思ってやります。」
 隣の隣のパイプ椅子に

 座って

 聞きたくなくても

 聞こえていたゆづるは

 それこそショックを
 受けた。

 ゆづるへの愛の

 メッセージをこの女が

 横から盗むつもりなのだ!!
 じっとリハーサルを

 見ているような格好でも

 ゆづるは呆然としている。
 

 

 

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