みなさんこんにちは。

名護の旅、14回目、最終回です。

平和祈念資料館とひめゆりの塔にゆき、
平和であることをしみじみとありがたく思ったあと、空港に行く。

3月に来た時には春休みということもあり、荷物預かりカウンターはおそろしいほど混んでいた。
それに懲りたので、今回は機内持ち込みOKサイズのバッグでやって来たのだけど。
こんなときはお約束のように、すいてた。
ちぇっ。

預ける荷物もないので、フードコートでビールでも飲むことにした。
それにしても。
今回の旅行で、自分の衰えを実感した。
なにがいちばん衰えたかというと、食欲である。

若いころのわたしは、どこに行っても空腹状態。
屋台でもカフェでも、なんでもかんでも「とりあえず食べよう!」くらいの勢いだった。
しかちくが全部食べられないときは、わたしが平らげてあげた。
食べぬなら、食べてあげよう、残り物
それくらいわたしは自分の食欲に自信があったのである。

それがどうだ。
今は回転ずしも7皿、ラーメンもスープを残す、昼ごはんはコンビニのサンドイッチで十分という体たらく。
情けない。
先日も、ご飯を食べに行ったとき、となりのテーブルのおばあ二人連れに負けてた。
完敗だった。

その店はごはんとスープとサラダが食べ放題なのだが、わたしは一度もおかわりに行けなかったのだが、おばあは大盛をおかわりしてた。
ごはん大盛2杯。
男子高校生並みである。
戦後、強くなったのは女性と靴下(ストッキング)だと言われてきたが。
あの二人のおばあの胃袋は、戦後、強くなり続けていると思われた。

中途半端な時間なのでお腹が空いていない。
ビールだけ注文した。
中途半端な時間でも、以前のわたしの胃袋はラーメンくらい平気だったのだけど。
かえすがえすも情けない。

さて、平日の午後3時のフードコートは空いていた。
混んでいるときには座るところがなく、席を確保するのが大変なのだけど、
そのときはガラガラで、思う存分ゆったりできた。
見回してみると、やはり中国人や韓国人の観光客が多い。
しかし、このごろは見た目だけでは日本人と区別がつかなくなった。
いままでなら服装だけでズバリと国籍がわかったのだけど、いまはみんなそんなに違いがない。
若い子はなおさらである。

げんに、わたしたちの斜め後ろのテーブルに座っていた若い女の子の二人連れ、
最初は日本人だと思っていたが、会話の内容がなにひとつ入ってこない。
わかりにくい方言やなあ、くらいに思っていたのだが。
まさかの中国語だった。
中国語ならもっとけたたましいはずだ、という固定観念があったのだけど、彼女たちはひっそりと中国語で会話していた。
静かな中国語というものもあるんやな。
時代は流れてゆくのだ。

わたしたちがそんな会話をしていると。
けたたましい集団がやってきた。
30代くらいの夫婦と子ども(小学生くらいと乳飲み子)嫁の両親、弟、妹の家族旅行らしかった。
この集団が、なぜかわたしたちのテーブルを取り囲むように陣取る。
小学生の子どもが持っている恐竜ブックから韓国人であることがわかった。
わちゃちゃちゃ、と大きな荷物をドサッと置いて、わたしたちの後ろと横のテーブルに座るのである。

ちょっと、なぜ、ここに?
ほかにいくらでも席、空いてるで?
むこう、ぜーんぶ、ガラガラでっせ?

そう言いたかったが、かれらはすでにくつろぎはじめ、動く気配はなかった。
観察していると、けたたましいのは嫁ひとり。
8人分のけたたましさを一手に引き受けていた。
マグロの競りか、と思った。
その嫁、身長は175センチくらいあり、横幅もなかなか。
家族のだれよりも大きかった。
嫁を中心にその集団は回っているらしく、命令されて注文しに行く夫と弟。
遠くまでよく響く大声で、「○○、××、△△!」と命令。
アイアイサーとばかりに素直に従う夫と弟。
またこの弟が見事にキャップをかぶった猪八戒という感じだった。
手下感がすごい。
たぶん姉に歯向かうことなど考えたこともないんやろうな。

姉は前に抱っこひもで乳飲み子をくっつけているのだけど、乳飲み子が小さく感じられた。
テーブルの横に仁王立ちになり、命令を下すその様は、さながら女将軍であった。





女将軍 001




女将軍は命令を終えると、やれやれとばかりに違うテーブル座った両親に話しかける。
位置的に、かれらはわたしたちのテーブルをはさんで会話することになり、傍目にはわたしたちも女将軍の配下と思われたであろう。
せっかくのんびりくつろいでいたのだけど、女将軍一家の出現で安穏としていられなくなり、そこを離れて待合に行くことにした。

飛行機は予定どおり離陸し、予定通り宮古島に着いた。
宮古島は沖縄本島よりも湿度も温度も高く感じられた。

あー、宮古についたらほっとするわー。
旅行から帰ってきて、開口一番、出るのはこのセリフ。

宮古島はいま、急速に変化している。
人気の観光地として注目を集めているのだとか。
それでも、やっぱりまだまだのどかで、空が広くてサトウキビはざわわとしてる。

子どもが巣立ち、夫婦二人旅のはじまりである。
待ち望んでいた状態なのだけど、思ったよりも体力と食欲が衰えていて、がっかりすることもある。
だったらゆっくり旅行したらいいのだけど。
次回も、その次もまた歩き回って修行の旅になるんだろう。
そしてその旅の仕方は、わたしたちが一緒に旅行しはじめた学生時代から変わらず、
それがわたしたちにとっての旅なのかもしれないなあ。


おわり。

それでは~


とりぶう