米沢
(将棋盤を見つめている)

中谷
(将棋盤を見つめている)

大石
(二人の様子を見つめている)

米沢
「んー・・・。(将棋盤を見つめている)」

中谷
「んー・・・。(将棋盤を見つめている)」

大石
(二人の様子を見つめている)

米沢
「・・・あ、すみません。」

大石
「はい?」

米沢
「あの・・・
 (懐から飛車を取り出す)これ、昨日の対局で取ったまま使わなかった飛車なんですが、
 これ、使ってもいいですか?」

大石
「・・・?」

米沢
「・・・。」

大石
「・・・?」

米沢
「・・・。」

大石
「・・・え、ダメです。」

米沢
「ダメですか・・・。(将棋盤を見る)」

大石
「ダメですよ・・・。」

米沢
「ダメか・・・。
 じゃあ、こうするしかないか・・・。(1手指す)」

記録係
「先手、三六銀。」

大石
「いいわけないでしょ・・・。」

米沢
(将棋盤を見つめている)

中谷
(将棋盤を見つめている)

大石
(二人の様子を見つめている)

中谷
「あの・・・。」

大石
「はい。」

中谷
「(懐から飛車を取り出す)これ、今朝家を出るときに妻が持たせてくれた飛車なんですが、
 これ使っていいですか?」

大石
「ダメです。」

中谷
「ダメか・・・。(将棋盤を見る)」

大石
「なんで奥さん、旦那に飛車を持たせたんですか。」

中谷
「じゃあこれで。(1手指す)」

記録係
「後手、五二角。」

米沢
(将棋盤を見つめている)

中谷
(将棋盤を見つめている)

米沢
「すみません。」

大石
「はい?」

米沢
「(懐から飛車を取り出す)これ、10年ほど前に祖父が無くなるときに相続した飛車なんですが、
 これをこの対局に・・・。」

大石
「ダメです!」

米沢
「東京じゃダメなんだな・・・。」

大石
「どこの地域でもダメです。」

米沢
「仕方ない。これで。(1手指す)」

記録係
「先手、二四金。」

大石
「・・・おじいさん、他に相続するものなかったんですか?」

中谷
「すみません。」

大石
「はい?」

中谷
「これ、ここに来る途中、
 渋谷の路地裏で怪しい男から買った飛車なんですが・・・。」

大石
「ダメです!」

中谷
「ちょっとだけ・・・。」

大石
「ダメ、ゼッタイ!!」

中谷
「立会人が頑固・・・。」

大石
「私じゃなくても同じことを言います。」

中谷
「では、これで。(1手指す)」

記録係
「後手、六七歩。」

大石
「・・・その怪しい人、渋谷で飛車売ってて生計立てていけるんですか?」

米沢
「すみません。
 これ、ハンズのアウトドアコーナーで買った飛車なんですけど・・・。」

大石
「ダメです!」

中谷
「これ、吉祥寺の飛車専門店で買った飛車なんですが・・・。」

大石
「それもダメ!」

米沢
「これ、僕が趣味で作った飛車なんですけど・・・。」

中谷
「これ、先日河原で見つけた『飛車っぽく見える石』なんですけど・・・。」

米沢
「あと、これが・・・。」

大石
「ちょっと一旦ストップ!!
 お二人とも落ち着いてください!!」

米沢中谷
「はい。」

大石
「改めて言います。
 将棋は持ち込み不可です。」

中谷
「飛車も?」

大石
「当然です。」

米沢
「王将も?」

大石
「もちろんです。」

中谷
「飛車っぽく見える石も?」

大石
「論外です。
 この手の相談は即却下します。」

米沢中谷
「えー・・・。」

大石
「『えー』じゃない。
 では、再開します。」

米沢中谷
「よろしくお願いします。」

米沢
「んー・・・。(将棋盤を見ている)」

中谷
「んー・・・。(将棋盤を見ている)」

大石
「(将棋盤を見て)ん・・・?
 ちょっといいですか?」

米沢
「どうしました?」

大石
「飛車、盤面に4枚ありません?
 2枚で始まったハズなのに・・・」

米沢
「あ、わたし、こっそり1枚足しました。」

中谷
「わたしも1枚。」

大石
「ちょっと!なに立会人の目を盗んで飛車足してるんですか!!
 明らかにおもちゃっぽい飛車があるからおかしいなぁと思ったら・・・。」

米沢
「バレないと思ったのに・・・。」

中谷
「でも、30分くらいダマせた。」

大石
「ちょっと一旦中断!
 持ち物チェックします!
 他に飛車も持ち込んでないか!」

米沢
「えー・・・。」

中谷
「抜き打ちかよ・・・。」

大石
「はい、ザワザワしないー!
 持ち物検査します!」


(5分後)


(立会人の両サイドに大量の飛車が山積みになっている)


大石
「(飛車の山を見て)よくもまぁ、こんなに飛車持ち込みましたね。」

米沢
「(首を回しながら)体が軽くなった気がする。」

中谷
「(体をひねりつつ)スピーディーな将棋が指せそうだ。」

大石
「いいですか?対局を再開しますよ。
 はい、はじめ!」

米沢中谷
「よろしくお願いします。」

米沢
「んー・・・。(将棋盤を見ている)」

中谷
「んー・・・。(将棋盤を見ている)」

大石
(山積みになった飛車を見ている)

米沢
「あ、すみません。
 1ついいですか?」

中谷
「わたしも1つ質問が。」

大石
「何か持ち込んだものを使うとかダメですよ?」

米沢
「違います。」

中谷
「そういうのではないです。」

大石
「では、どうぞ。」

米沢中谷
「・・・これ、どうなったら勝ちですか?」

大石
「なんだ、お前ら!!」

 

 
 
 
 

【コント・セルフ・ライナーノーツ】

「前回の持ち駒を持ち越す」というところから始まったコント。

いろんなコマを登場させようとしましたが、途中で「飛車」って響きを執拗に続けるのが面白くなってきたので、とにかく飛車でおしてます。

 

【上演メモ】

人数:3~4人

米沢

中谷

大石

記録係

 

所要時間:4分~5分
上演難易度:★★★☆☆
備考:記録係はカットしても全然問題なく進行できます。

途中で登場する山積みにされた飛車をどう表現するかが難しいかと・・・

 

【過去コントを5本チョイスしました。こちらもどうぞ。】

【コント】最後の13日の金曜日
【コント】インテリボクサーのユウウツ
【お題コント】取り調べ
【コント】テレビショッピング
【コント】ボクと橋本選手の約束

 

 

 

【お題募集中】

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・内容によっては、ご期待に沿えないこともございます。

・お題をいただいてから、公開までに数か月かかることがあります。

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