☆新型コロナウイルス感染 その2 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

2020.2.5「☆☆新型コロナウイルス感染」の記事では「2019-nCoVについては、ウイルス感染発覚から1ヶ月しか経過していない現在のところ、妊娠中に感染した場合の影響は不明ですが、現在までのところ妊婦における重症化や胎児障害の報告はありません」と記載しましたが、その後続報が出ましたので、ご紹介いたします。

 

Lancet Feb 12, 2020(中国)DOI:https://doi.org/10.1016/S0140-6736(20)30360-3

要約:2020年1月20〜31日に、2019-nCoVに感染した9名(26〜40歳、妊娠36〜39週)の妊婦の予後を報告します。9名全員が帝王切開で出産しました。7名で発熱、4名で咳、3名で筋肉痛、2名で喉の痛み、2名で気分不良が認められました。また、2名で胎児仮死、5名でリンパ球減少、3名で肝機能低下を求めましたが、重症肺炎や死亡はありませんでした。赤ちゃんは9名とも健康で、仮死もなく、Apgarスコアは、8〜9/9〜10でした(出生時体重1880〜3730g)。羊水、臍帯血、赤ちゃんの喉からのサンプルが採取できた6名全員で2019-nCoVは陰性でした。妊娠の有無に関わらず、2019-nCoV感染者の病態は同様で、子宮内感染や垂直感染もありませんでした。

 

解説:現在のところ、2019-nCoVに妊娠中に感染した場合の影響はありません。今後の報告も順次アップしていきます。