※今回の記事は、カメラ業界関係者向けの専門的なお話です。

 

 

ここ数年、写真業界に衝撃を与え続けている中国のGodoxというストロボメーカー。

 

「安いのにすごい」「よくできている」という絶賛の声もあれば、「中国製の安物の粗悪品ではないか?」という批判もありますが、まずは自分で使ってみないと評価はできません。

 

 

そこで、AD200を購入し、約4ケ月使用して、いろいろ試行錯誤した結果を書かせていただきます。

 

結論から先に言うと、「室内行事の集合写真撮影には十分使える」と思いました。

 

この写真は、ピアノ発表会の集合写真を撮っているセットで、前にカメラを置いて、後方の高いところに、ライトスランドに載せたAD200をセットしています。

 

カメラのセッティングは、

レンズ 40mmくらい 被写体までの距離 約12m  ISO 1000  1/125秒 F8.5 

 

カメラ上に発信機をつけているため、コードレスで発光させられます。

 

舞台上での集合写真は、「なるべく、舞台照明を有効に使いたい、ストロボの光はちょっとした補助光として使うほうがきれい」と言われるのですが、それは、舞台上をフラットに均質に照明を当てている場合での話で、実際は、「並んでいる列の両端は極端に暗い」とか、「3列目はすごく暗い」とか「3列目の中央部分やや左だけやたら明るい(ピアノ演奏者へのスポットが当たっている)といった「ムラ」があるため、うちの場合は、舞台照明を主にしたいとは思っているものの、ムラがある場合は、ストロボ光を主にした光量配分に変えます。

つまりは、ストロボでドカンと強く当てるということです。

「それじゃあ、きれいじゃない」「雰囲気がない」と批判する人もいますが、集合写真に写っている人の中で、「Aさんの顔は明るいのに、Fさんの顔は暗い」といった差は作りたくないので、雰囲気よりも、全員をちゃんと写すことを優先します。

 

また、舞台上の集合写真は、舞台照明に合わせて、ストロボ光を「タングステンフィルター」で調色します。このフィルターをかけることにより、ストロボの光は約半分にパワーダウンするため、もとが大きな光量のあるストロボでないと、きれいに光りません。

そのため、一般的に「クリップオンタイプのストロボ」では、力不足でした。ISOを上げて撮る方法もありますが、やはり、粒子があれるのは避けたいです。

 

AD200は、「クリップオンストロボ3台分の力がある」と言われているため、その力はあり、ISOを2000とかにしないでも、大きな光を当てられます。

 

なお、このAD200に、「光を柔らかくするためのディフューザー」を取り付けたこともあり、この時の光は柔らかくて良かったのですが、これだと、さらに光量がガクンと落ちるため、光量不足ということで、ディフューザーはやめました。(ディフューザーをつけると光のムラが生じたことも原因です)

 

欠点というと、シャッターのタイムラグがかなりあることです。今までのように、シャッターを押したらすぐに切れる、ということではなく、ほんのわずかですが、「あれこれ通信して考えてるのかなあ」というタイムラグがあります。このため、「大きな声でおどかして、全員の目をぱっちりさせる。その瞬間にシャッターを切る」という手法が使えなくなり、目つぶり写真の確率が増えました。撮る枚数を多くしないと危ないかもしれません。

 

それと、これは中国品質なのかもしれませんが、発信機(X-T1)もAD200本体も、電源スイッチがキャシャで、かつ、移動距離が短く、「ONなのかOFFなのかひと目ではわからない」です。このへんは改良が必要かもしれません。AD200のバッテリーに関しては、まだ使用して4ケ月なので、「劣化の度合い」とかはわかりません。ただ、フル発光で70発は撮れました。X-T1はけっこう電池を食う気がします。イベントを4回くらいこなすと、電池交換が必要です。

 

 

というわけで、屋内のイベントの集合写真では、なんとかいけそうです。

 

ただし、屋外(学校の卒業写真を快晴時の校庭で撮影)では、力が足りませんでした。屋外での撮影では、AD360が必要かと思います。

 

なお、一番いいのは、AD200は、その形が「羊羹」のようで、真四角で収納がしやすく、かさばりません。ややこしいスイッチもありませんから、単純に使えます。

 

とりあえず、自分の感触では、「いい買い物をした」と思っています。