電送人間

 

あらすじ

逃げ場のない殺人現場から姿を消した犯人。

事件を追う新聞記者は、物質転送を研究していた科学者の存在を知ることになる。

 

東宝変身シリーズ3部作の2作目。

戦争の影が色濃く残る、特撮による怪奇スリラー復讐劇。

電送という科学

電気で送ると書いて「電送」。

ファックス的なモノかと思ったら、違った。

劇中、その原理はフワーッとした説明で終わるのだが、一目瞭然。

↓こういうことである。

 

電送人間

 

なるほど。

これを、第二次世界大戦後14年で作る日本。

その心意気が、誇らしい。

 

電送人間は登場の仕方が、常に恐ろしげ。

まず、顔色が悪い。

必ず流れる旋律で、あ、電気を帯びているのだなと分かる。

遭遇した人は悲鳴を上げたり、生命の危機に慄いたり。

特殊効果が煽る恐怖だ。

 

電送人間の苦労は並大抵ではない。

このような装置がなければ実力を発揮できないので、準備に時間がかかる。

発注し、場所を選定し、進捗状況を確認しなければならない。

時には自ら出向いて、催促しなければならない。

 

なんという手間だろうか。

これほどの段取りをわざわざ重ね、時間的な縛りも自らに課し、目標を達成しようとする電送人間。

 

もう、狂っているではないか。

やり遂げる、という一念で突き進む電送人間。

途中、目的を見失いそうになっても頑張る。

アスリートに近いかもしれない。

 

しかも、電送人間を追うのは、鶴田浩二である。

スタッフ、キャスト

福田純監督

本多猪四郎監督の代打で登板。名作『ゴジラ対メカゴジラ』も破天荒だったが、堺正章主演の名作ドラマ『西遊記』も監督されていたと、いま知った!

深夜の倉庫街での追跡など、驚くほどカッコいい。

円谷英二特技監督

電送人間の不穏さは、さすが。各所に登場するミニチュア特撮たるや、もはや実写

鶴田浩二

新聞記者役。驚異のキャスティング。監督との親交から今作を引き受けたそう。任侠でもなく、ハンカチも持っていない。こんなにもラフな出で立ちだと、嵐のリーダー大野智に似ている。

中丸忠雄

電送人間役。夢に出てくる勢い。ほぼ顔面だけの芝居だった印象。主に美女を前にすると「ハッハッハッ!」と雄叫びを上げるのだが、どういう感情なのか。

白川由美

美女枠。『美女と液体人間』に続いて、ここでも下着姿に。

河津清三郎

社長役。芝居の濃さが猛烈。まさに悪役。素晴らしい。

土屋嘉男

刑事役。シリーズ全作に登場。だんだん出番が増えていく。一気に観たせいで、もはやファンになりそう。

平田昭彦

刑事役。やっぱり殺しの現場で嬉しそう。

天本英世

子分役。死神博士になる前。背の高さは封印しているが、カッコよい。

特撮が進歩していく

このシリーズに共通するシーン、それは、踊りだ。
今作では誰が踊るのかと楽しみだったが、まさかのダンスで泡を吹いた。

 

軍国キャバレーなるものも初見だが、戦争をイジリ倒しているので一見の価値がある。

これが日本の強さだろうか。

戦争の記憶を引きずりつつも、現代へ舵を取り始めた時代である。

 

電送人間が科学を駆使し、捜査を翻弄。

穴だらけの警備でドタバタする警察。

真っ暗な夜道。
追い詰められる人々。

 

電送人間の無表情に隠された感情は、わりと早めにダダ漏れしているのだが、それもまた良し。

科学を描いて、人間の愚かさを剥き出していく。

特撮技術の進歩の道筋でもあろう。

 

昭和のアダルトな特撮シリーズ3部作、非常にワクワクと楽しみました。

 

電送人間

 

予告編

 

カチンコAmazonPrime配信

 

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宇宙人 映画タイトル50音順

 

ゴジラ対メカゴジラ

 

 

美女と液体人間

 

 

ガス人間第一号

 

 

『電送人間』
1960年/日本/85分
監督:福田純
脚本:関沢新一
音楽:池野成
キャスト:鶴田浩二、平田昭彦、白川由美、中丸忠雄、河津清三郎、田島義文、堺佐千夫、土屋嘉男、村上冬樹、佐々木高丸、向井淳一郎、大友伸、天本英世、松村達雄

 

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