大丸心斎橋 B1F 鮮魚売り場_2005.06
■サイズ■仕様
W2439×D160×H615
図面参照
縦枠:SUS HL曲げ加工
上枠:40×25 SUS HL角パイフ
引き違い窓:t=8mmクリアガラス
■備考
2020.07.03新規

背景

2005年頃と言えば、百貨店の仕事が多く、その中でも心斎橋の某百貨店がかなりの老朽化が進んでいたようです。そんな百貨店地下階の食品売り場を改装する部件がありました。

あまり気が進まない気もしましたので、一度は断ったのですが、どうしてもというリクエストで、鮮魚売り場を担当することになりました。 躯体は既存のままを使用することが前提になっていたので、とにかく建築工事との取り合いが多い物件でした。

作図説明

百貨店や大型スーパーの食品売り場では必ずと言っていいほど、食材を加工する様子が見える窓を設置しています。 飲食店でもオープンキッチンにした店舗が増え、大胆に大きな面をガラスサッシュにしているところもあります。

サイズとしては近年のものと比べものにならないくらい小さいですが、タイル貼り壁面に設置した引き違いガラスサッシの詳細図をご紹介します。

タイルや石貼り仕上げの壁面にサッシュを取り付ける場合、タイルとの見切り方がポイントとなります。

この作図事例では、縦横のサッシュで異なる見切り方を使用していますので、それぞれの詳細図を見ながらご説明していきます。

まずは、以下の平面詳細図をご覧ください。縦枠とタイルとの取り合いが見て取れます。(a部詳細図)

軽量鉄骨壁(以下LGS)にサッシュの開口補強としてC型鋼を取り付け、この補強材に、繋ぎ用の鉄筋を溶接処理してサッシュを固定しています。

この固定方法は、ビス止めよりも強度が高いので、サッシュや鉄扉枠を固定させるのに最も適しています。しかし、溶接場所によって鉄筋の他にLアングルやプレートを使用することもあります。 追加資料を最後に付けておきます。

タイルはこの縦枠に当たるように貼り込んでいています。 ただ、売り場と加工場でタイルの品番を変えているため、この縦枠はそれぞれで見える面が違ってくるのがわかります。

引き違い窓には、8mm厚のガラスを用いて、手がかりには浅い溝をほる引手加工をほどこしました。 また、左右の小口にはキズ防止用にコの字チャンネルを取り付けています。

続いて上下の横枠とタイルとの取り合いを表現した断面図をみてましょう。

断面詳細図

ここは取り合いが少し複雑で、上下の横枠とタイルの見切り方が違っています。 上枠は、縦枠よりも奥行きが、6mm短い40mm×25mmの角パイプを用い、売り場側に調節用で、50mm×6mmのフラットバー(FB)を溶接処理しています。

このFBが、上部レールの目隠し材を兼ねた見切り材になっています。 変わって、下枠は、ガラスハカマが半分程隠れる高さまで上げて取り付けてあります。 これは、42mmもあるガラスハカマの見え方を意匠的に少なくするための加工です。

ハカマの下には、軽い力でスムーズに開閉が可能となるソロバンレールを採用しました。

部分詳細図
そろばんレールが見て取れます。

このソロバンレールとは、ローラーを埋め込んだレールで、重量のある引き戸に対して使われることが多いです。 ただ、単体では機能をなさず、下レールとセットとなりますので、この点だけは注意してください。

そろばんレール
参考写真画像元

最後に、前述した鉄筋を使った溶接とLアングルを使った溶接サッシュ画像を添付しておきますので参照下さい。

鉄筋を使った溶接
鉄筋溶接写真画像元
Lアングルを使った溶接
Lアングル溶接写真画像元

後記

とにかく、サッシ廻りはややこしくて普段の作図より時間が掛かります。おまけに、廻りがタイル貼りと来ればなおさら納めを考える時間が増えて効率の文字から逸脱します。

今回の事例もそうですが、サッシ枠の見切り材との取り合いがあるために、ほとんどの金物は曲げ加工して製作しました。まあ、コスト的にも既製品を用いることが理想的ですが、こればっかりはちょっと難しいケースが多々あります。

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