生きているって素晴らしい②　３８億年のいのちの絆　

　皆さん　こんばんは！　不妊相談ひとすじ２５年　宮崎市の漢方相談薬局・漢方の麗明堂、一般社団法人認定の子宝カウンセラー　薬剤師の金丸です。

　今日は、先日ご紹介しました鎌田實先生の「生きているって素晴らしい」の後半のお話です。

鎌田先生は、本も読ませていただいて、講演も聞いて直接お話も伺ったことがあるのですが、カッとなってお父さんの首を絞めて親子で泣いて、「自由に生きろ！自分の責任で生きてくれ・・・」のくだりは初めて知りました。自由に生きるということは、一番責任が伴うことだということを、改めて実感しました。

　それでは、鎌田先生のお話の後半です。どうぞ最後までお読みくださいませ。

鎌田　實さん

東京医科歯科大学医学部卒業後、諏訪中央病院へ赴任。30代で院長となり、つぶれかけた病院を再生させた。『地域包括ケア』の先駆けを作り、長野県を長寿で医療費の安い地域へと導いた。一方、チェルノブイリ原発事故後の1991年より、ベラルーシの放射能汚染地帯へ100回を超える医師団を派遣し、約14億円の医薬品を支援。2004年からはイラクの4つの小児病院へ4億円を超える医療支援を実施、難民キャンプでの診察を続けている。東北はもとより全国各地の被災地に足を運び多方面で精力的に活動中。

生きているって素晴らしい

―自分の人生を生きる自由―

　18歳の春、『勉強したいから大学に行かせて』と父親に言いました。余裕がないのは分かっています。『バカヤロー！』と返ってくる。『勉強なんかすんな。誠実でさえあれば生きていける』と、父はそういう人でした。

　高校3年生の春休みから夏休みの間、いのちの恩人を恨んでいました。クローニンというイギリスの作家が、自分の寂しさ悔しさを救ってくれました。若い医師が炭鉱町へ行って貧しい若者を助ける小説でした。どんなことがあっても、僕は貧しい人を助ける医師になりたい。父親に泣きながらお願いしたけれど、親父はガンコでした。貧乏人は働けばいいんだと。

　カッとなって、父の首を絞めてしまったその時、父が泣き出したのです。手が緩んで、二人で床にへたり込んで、親父も僕もしばらく泣いていました。そしたら親父が、『そんなに勉強したいのか、もう自由に生きろ、俺は母さんの面倒を見るので精いっぱいだ。自分の責任で生きてくれ』と。どうなるか分からなかったけれど、嬉しかったです。同級生のだれよりも、僕は本物の自由をもらった。言葉ってすごく大事ですね。皆さんのお子さんやお孫さんが人生の岐路に立っていると思える時は、『人間は自由だぞ。自分の人生だからな』と言ってあげたら、ちゃんと責任をもって生きていきます。人間にとって一番大事なことは、自由。他人の自由を認めながら自分の自由を大切にする。言いたいことを大切な時に言えるか、やるべき時にやれる人間になれるかどうか、それは自由でないとできない。それを意識させてくれたのは父で、それこそが父からもたっら大切な遺産でした。

　国立大学の医学部を卒業して、長野県の累積赤字のある病院に行けたのは、父親の『自由に生きていいぞ』という言葉のお陰です。その病院が健康づくりで注目されたり、チェルノブイリの子どもたちを助けられたのは、僕が自由だったから。誰もそこに助けに行かないのなら、僕が行こう。何をしても指をさす人はいる。でも助けてくれる人もいる。30年間、102回の医師団を送って、14億円の支援をしました。それができたのは18歳の夏、自分の責任で生きるから自由だ、と言われたからなのです。

―誰かのために生きること―

　僕は以前から、おなかの赤ちゃんを大切にする〝生命尊重の日”ができたらいいなと思ってきました。麻生政権の時代、地域統括ケアの構築がすすめられました。そこで僕たちは、介護を上手に利用し、障がいがあってもイキイキと生活できるよう〝介護の日”を提案し、それが実現しました。11月11日を『いい日いい日』と読ませ、厚生労働省がそれを認めて、毎年、啓発イベントを行っています。

　誰かのために生きようとすると、廻りまわって自分に還ってきて元気が出ます。円ブリオ基金がまさにそうだと思います。全国のいのち会が一生懸命活動して、〝7月13日生命尊重の日”を実現する町が一つでも増えたらいいなと心から願っています。

≪完結≫

生命尊重ニュース1月号より

http://ｗｗｗ.seimeisontyou.org/

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