先日の320i M Sportが素晴らしかったので、今日同じM Sportの330iに乗ってみた。ラッキーなことに、先日乗った320iも空いていたので、両車を乗り比べることができた。
今日の330iは白いボディにベージュレザーのオシャレな車だ。聞けば「ハイライン・パッケージ」というオプションらしい。…ハイラインってMスポの反対じゃなかったっけ?と軽く混乱するようなオプション名だ。
パワフルな330iの駆け抜ける快感
330iのパワーはやはり素晴らしく、これが320iと同じエンジンか?と問い直したくなるほどの違いだった。踏み込んでいくと、背丈の何倍も高いビッグ・ウェーブに乗り上げて、周囲を見晴るかすような盛り上がりを感じる(といっても私はサーファーではないので想像)。
そのうえ音も良かった。パワーの上昇にピタリと同期して、グォーン、グォーンと低く吠えて駆け抜ける。といってもうるさいわけではなく、元々遮音性が高い室内に響く音はよく洗練されていて、透き通るような、上品で粒のそろった音だ。
だから、その圧倒的なパワー感とともに、それが2Lの4気筒から出ている音だとも思えない。6気筒が売りだった時代は遠く過ぎ去ってしまったようだ…This is BMW。これぞバイエルンのモーター屋のエンジンだ!と瞬時に納得できる気持ち良さだ。この快感だけでも、この車を手に入れる価値は十二分にある。
※ しかしこの音はスピーカから流されているという話もある。
※左のグラフを車重の違いで描き直すと右のグラフになる。1,630kgでも258psもある330iの優位は揺るぎない。
上のグラフで見比べてみても、330iのトルクとパワーの優位性は圧倒的だ。330iの車重は、車検証で1,630kgもあって、開発時から噂されていたような軽量な車ではない。けれども、その車重を差し引いても余りあるパワー感と気持ちよさは損なわれようがない。
※車重については後述も参照。
ブレーキもよく効いた。330iには「Mスポーツブレーキ」が標準装備なのだ。そこそこ速度を上げて、グッ!と強めにブレーキングすると、滑りやすい革シートの上に置いた鞄が瞬時に吹っ飛んで焦った。しかし、もっと強く踏めたと思う。あれだけ踏んでも、まだ奥があるブレーキ性能はさすがだ。
軽やかに走り回る320iの親しみやすさ
次に、数日前に試乗した格好いいブルーの320iにまた乗ってみた。シートに座り込んで、また最低位置まで下げると…キタコレ!これだこれだ。しかし、あれ?330iはこんなに下がらなかったような気がする。
ブレーキから足を離したとたん、スルッと動き出した。あれ?320iの方がクリープしてるような気がする。そしてアクセルを軽く踏むと、実に軽やかにボディが滑り出した…軽い。明らかに330iより軽いのだ。さらにアクセルを踏み込んでいくと、十分なパワーでスルスルと加速していく。一度乗ったことがあるから、という理由以上の親しみやすさを感じる。
試乗二度目となる今回は、前回試せなかったスポーツ・モードのスイッチを押してみた。抑えられていたパワーが解放されて、320iも勇ましい音を出して駆け抜ける。ただし、その音は330iよりも乾いて、やや小さな音だ。どうせ同じエンジンなのに、どうして音に差を付けるのかな?と思った。
青信号の左折で、見通しが良くて誰もいなかったので、少し速めのスピードでクッとハンドルを切ってみると、90度の角の先にスッと鼻先が決まる気持ちよさは先日と同じだ。330iも似たようなシャープなコーナリングができたが、ほんの少し違っていたような気もする。
直線では後ろに誰もいないところで、急ブレーキ!…目一杯強くは踏んでいないが、それでも停まるまでの間に回り灯籠を思い浮かべられるくらいの時間はあったので、もうちょっと効いても良いだろうとは思った。そもそもブレーキは効きすぎて悪いと言うことは絶対ないのだ。
ボディの重みを受け止める足回りの硬さ
320iの車重は車検証で1,560kgと、330iよりも70kgも軽い。その差には、330iでは標準装備で20kg増となるMスポーツブレーキの重さも含まれている(さらに330iはスピーカがHi-Fiという差もある)が、なぜ重量差がそれほどあるかはともかく、比較試乗してみて、320iに軽やかさを感じたのは確かだ。
※ 後日、新3シリーズの「車重」表記はフルオプション積載時の値となったことを知った。330iは320iより多くのオプションが選べるから70kgも「重い」表記となったのだ。
そして後でわかったことだが、330iが標準の18インチだったのに対して、320iの方は19インチのタイヤ/ホイールを付けていた。となれば、ますます320iに軽やかさを感じたことには、単なる重量の問題以上の「仕掛け」があるのかもしれない。確か、BMWは320iを日本仕様にチューニングした、と宣伝していた。その成果がこれなのだろうか?
実は、330iには不満なところもあった。足が柔らかくて、少しフワッとしすぎている感じがあったのだ。私はその理由を、ハイパワーを足が受け止め切れていないためかと思ったが、ディーラーの人に聞くと、これでも足が硬すぎるという声の方が多いという話だった(ので自分の感覚が変なのかも)。
※ 足回りの違いについては下の追記参照。
320iと330iのどちらをどのように選ぶか
というわけで、両車それぞれに長短があって面白い試乗だった。面白いだけではなく、もしかしたら私が(というより女房が)買い換えるときには、切実な選択を行わなければならない。
今の段階では、まず車は330iを選びたい。あのパワー感と音とブレーキは捨てがたいからだ(両車の差額は50万を切っているし、ブレーキとスピーカの差額を考慮すればさらにその差は減る)。そして足(というより靴か)には、320iが履いていた19インチを選びたい。以前523iに乗っていたときは、見た目で選んだ19インチの硬さに閉口したことがあったが、今回は機能的な意味でも、積極的に選択すべきだと思う…と心の準備だけは終わったつもり。
※ 330iと19インチの組み合わせについても下の追記参照。
※ 3/13追記
320iと330iの標準装備ブレーキの重量差と走行適性
320iの方が走り出しが軽く、コーナリングが少しスムーズな一方、330iの足回りが落ち着きなく感じられた理由は、330iに標準装備の「Mスポーツ・ブレーキ」の20kgという重量のためだと思う。バネ下重量の増加は、バネ上重量の数倍~十数倍の増加に当たるほどの影響があると言われる。その意味では、ブレーキが重い330iに19インチを装着すると、330iの足はさらにバタつくかもしれない。
結局のところ、パワーが穏やかだが低速トルクに余裕がある320iには、街中の小回りが多いような走行の場面で、パワー相応の小型ブレーキが軽快な動きをもたらし、ハイパワーな330iには、より大きなステージの走行の場面で、ブレーキ単体の重量増をいとわぬ強い制動力が求められるということになる。
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G20/21 3シリーズ | クルマ
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2019/03/09 23:31:56