ゲーム依存症の小中高生が急増していると(日本経済新聞11月19日)。確かに電車の中やファストフード店でもゲームに熱中する生徒たちをよく見掛けます。大人が趣味でIR(カジノを含む統合型リゾート)に通って自分で稼いだカネをスるのは本人の勝手だとしても、未成年者のゲーム中毒は悲惨過ぎます。

■ゲーム依存は環境問題
 カラゲーム依存症スヒコは一つの仮説を持っています。昔風の食事や運動習慣をキープしていれば変な依存症にはならないはず。
 でも、今の先進国の快適な暮らしはパン食やお菓子で血糖値を上げ、合成食品で化学物質を取り込み、重い物を持たず長い距離を歩かずに済んでしまう。

 だから体は機能不全を起こしてストレスを抱え、そこから逃げるために病的な刺激にハマるのでしょう。
 本人が精神的に弱いとか、そういう問題ではなく、依存症は一種の環境汚染問題だと思うのです。汚染源は「豊かな暮らし」そのもの。

 例えば写真のよ昼食 (11)うに、豆と雑穀をどっさり入れた米飯に天然だしのみそ汁を添え、サケあらを塩焼きして白菜の浅漬けや切干大根を食べていれば依存症にはなりにくいでしょう。

 カラスヒコは科学者でも医者でもないので学術的な立証はできませんが、周囲の年寄たちを観察すれば、コンサバな生活習慣を守っている人は皆まともだと分かります。うちのアルツ老母のように便利さに溺れて食事の手抜きに走った人が血管を詰まらせていく。

 ゲーム依存症の子供たちはリアル社会の中でおそらく正しい食事を選択できない。そればかりか、筋肉・心肺を鍛える発想も湧いてこないでしょうから、彼らの多くが将来は廃人になりかねません。本人もかわいそうですが、若いうちから社会保障にぶら下がる人が増えれば福祉制度も破綻するでしょう。

 上の記事からは、ゲームもを1日1時間以内に制限すべき、みたいなニュアンスも読み取れます。けれども、自分では抑制できず、禁じられれば隠れてでもふけるのが依存症。
 もっとドラスティックな、例えば子供たちをゲームを含むネット環境から隔離する期間を一定以上設けるような教育システムの改革が必要になるはずです。まあ、過激なのは承知していますが。

■「学校で教えろ」では解決しない
 以前、依存症ビジネス (2)依存症ビジネス』という本をご紹介しました。今は資本が依存症患者をターゲットにして利益を稼いでいるわけです。これに対して政府やマスコミは、単に「早期発見、早期治療」に動くばかりで、依存症を減らすための有効な手を打っていないのが分かります。

 ゲーム中毒が増えるからゲームが売れ、サトチューが増えるから菓子やアイスや炭酸飲料が伸びる。成長戦略の一環として後押ししているわけです。
 アメリカではオピオイド鎮痛薬依存が増えるほど製薬会社がもうかり、一方でヘビーユーザーの精神疾患や自殺が増えています。

 結局、依存症を治すには本人が快感をこらえて自制するしかない。禁煙と同じ原理です。カラスヒコの場合でいえばお酒が大好きで、若い頃からずっとアル中の崖っぷちギリギリを歩いてきた実感を持っています。落ちそうで落ちなかった。

 それは、これ以上飲むとヤバいという自制がかろうじて効いていたせいです。判断力が未発達な子供なら目の前の気持ちのいいものに依存するのは当たり前。大人でも判断力がイカれたらハマるのですから。
 スマホもスイーツも酒も鎮痛剤も皆麻薬と同じで、学校で教えろとか、法律で規制しろとか、メーカーや小売業が販売を自粛しろとか言っても無理なのです。

 さて、左はセブンイセブンイレブン野菜工場レブンが工場産野菜の調達を増やすという記事(日本経済新聞11月29日)。
 国内農業がジリ貧に向かう中で、野菜の安定供給を求めるコンビニと採算性に苦しみ大口顧客が欲しい野菜工場の利害が一致したようです。
 
 しかしカラスヒコは、この取り組みは長続きしないとみています。なぜなら、安い食事はタブレット化が進むはずだからです。
 カロリーメイトが進化したような、常温保管できる錠剤タイプの食事が、弁当という成功事例を引きずるコンビニからお客を奪っていき、工場野菜のフレッシュサラダも富裕層しか食べられなくなるでしょうから。

 激変する食環境の中で、20世紀前半型の質実な食事を守りたい私たちにとって、平成の次の時代はゲリラ戦です。依存症にも糖尿病にもハマらずにおいしく生き延びる方策を練りましょう、今夜も飲みながら!

 ではまた。