コミュニティの再生へ!住民たちで企画「おきなぐら納涼まつり」開催

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暑さも落ち着き始めた8月10日。戸倉公民館グラウンドで「おきなぐら納涼まつり」が開催されました。復興が進む中で、コミュニティの再構築が課題と言われている南三陸町。昔のようなコミュニティを取り戻そうと住民が主体となり、手作りお祭りを開催しました。主催者の想いと祭りの様子をお届けします。

住民達による手作り夏祭り

8月10日、戸倉公民館グラウンドで「おきなぐら納涼まつり」が開催されました。震災後初めて、住民が中心となり行われたお祭り。震災前は地区ソフトボール大会や地区ビニールバレー大会、町民運動会など盛んに行われていました。また各行政区で子ども会が中心に、盆踊りやクリスマス会も実施。しかし、震災後は、住む場所が大きく変化したことや子ども会が機能しなくなったことにより行政区ごとの催し物は、ほとんど実施されていませんでした。

そんな中、戸倉地区では昨年から戸倉公民館が中心となり戸倉地区ビニールバレー大会を開催。今回のおきなぐら納涼まつりでは、戸倉コミュニティ推進協議会と住民が主体となり、昔のような賑わいを取り戻そうとの想いから企画されました。

開会の挨拶ではコミュニティ推進協議会会長の佐藤泰一さんが「子どもから大人まで楽しみ、“絆”を深める祭りにしましょう」と述べました。震災により多くの人が戸倉地区を離れた人と言います。離れてしまった人も、足を運べる機会になればとイベントにはたくさんの想いが込められています。

第一回のお祝いして、大漁餅まきも行われた

たくさんの出店に、様々な催し物で会場は大盛り上がり

会場の中心には、やぐらが組まれ、それを囲うように特設ステージや戸倉の各行政区からの出店が並びました。特設ステージでは、郷土芸能である行山流水戸辺鹿子躍を披露。その後は民謡や歌謡ショー、カラオケ大会などが行われたほか、戸倉の子ども達が中心となって活動している戸倉心輪会によるヨサコイも披露されました。

先日、日本ワインコンクールで受賞したばかりの、南三陸ワインも提供された

最後はやぐらを囲んで盆踊り。震災により音源が流失してしまっていた戸倉浜甚句もレコーディング後、初のお披露目となりました。昔は祝いの席で披露されていた戸倉浜甚句。数年ぶりの復活に、住民は想い想いに輪に混ざって踊りました。その後は、トコヤッサイなど、合計4曲で祭りの締めを飾りました。

震災後、初披露となった戸倉浜甚句

8年前多くの命を奪った場所が、地域の輪を広げる場へ

今回開催してみて「思っていた以上に若い人や子どもが多いことに気づかされた」と佐藤泰一さんは話します。夕方になるにつれて会場にはお年寄りから子どもまで、多くの人が来場しました。

8年前、当時避難所で多くの人が避難した戸倉中学校。しかし、大津波は戸倉中学校まで押し寄せ、多くの命を奪っていきました。そんな場所が震災前のように地域の人が集い、交流を深め自然と笑顔になる場所になっていました。大人は震災前を懐かしめるような、子ども達にとってはひと時の夏の思い出になったのではないでしょうか。震災を乗り越え、今を生きる人は強いと改めて感じました。ぜひ来年度も開催できることを願っています。

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