「霊魂論」神秘学201
目連は釈迦の教団のなかで神通第一と釈迦から賞賛されていたと云います。然し乍ら、其の言はあくまでも人間の分際での神通第一であり、目連が菩薩道や仏道を極めたことをば意味はしません。但し、粗方の神通力を得ていたことには、後世の大乗の祖「龍樹菩薩」が生まれながらの叡智とバラモンの鬼才をもって自身と友人と共に透明化し、王宮の王妃を拐かした神通力を得ていたバラモンの超力とは相当か同様以上の能力は獲得していたのでしょう。目連の神通力をヨーガや仏教、を多少齧ったものが、生半可に利用すると世間はもとより自己の精神崩壊さえ起こしかねません。「六神通」のその神通力は霊魂の正しい浄化が伴ってこそ要請される能力だからです。目連は死んだ母に会いたいと天眼通を使い死後の母の姿を見ます。ところが、こともあろうか、其処では母は餓鬼道に落ちて、食べ物は一切口に出来ず、骨と皮ばかりにやせ衰えていました。嘆き悲しんだ目連は、すぐさま鉢に御飯を盛り、一の神足通(じんそくつう)でもって餓鬼道に飛んで行き、それを母に差し出しますが、母はそのご飯を食べようとすると、それは口に入らないうちに炎となり、水を差し出せば、その水は沸騰して喉には通らない。神通第一を唄われる流石(さすが)の目連も大声で泣き叫んで、異界からこの世に戻って釈迦に一部始終を話します。その言葉を聞いた釈迦は諭します。其の解決法を授けたのです。
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