最近、テレ朝が月~金の朝4時台に放送している、「おはよう時代劇」なる時代劇再放送番組を録画して見ている。
 現在は「暴れん坊将軍Ⅵ」が放送中。

 そんなん見るなら、溜まってるアニメとか、結局5話あたりで挫折した「西郷どん」とか見ろよと我ながら思うのだが、様式美が貫かれ、言い方は悪いがあまり一生懸命見なくても良いこの手の時代劇は、ソシャゲの周回とか、その他雑用をこなしながら見るのに最適なのだ。

 しかしただ見ているだけでも何だか勿体ないので、簡単な感想をつけていくことにした。
 まあこれをやり始めると、感想を書くのが億劫⇒前の回の感想まだ書いてないのに次見るのもなあ……となって、録画を溜めてしまうパターンになりかねないのだが。
 そういうわけで、いつまで続くかわからない。


 なお、エピソード番号は「おはよう時代劇」のナンバリングに依っている。wikipedia情報によると、実際のエピソード番号とは1つずつズレているようだ。どこか再放送しない回があったのかな(※と思ったがそうではないらしいことが、#39で判明)。

 またwikiの放映リストを見たら、監督と脚本がほとんど抜けていたので、#23(24話)からメモしていくことにした。
 もしwikipediaの記事の編集をよく行っている人がいたら、これを見て穴埋めしてくれても構わない(私がやっても良いのだが、アカウントもってないし、なんか編集のルールもよく分からないので……)。





#22:わが子を裁く鬼の父

北町奉行・小笠原右京の情無用のお裁きが市中の人々の不評を買い、そのウワサは吉宗の耳にまで届いていた。右京の身を心配した吉宗は、それとなく右京に近づき忠告しようとするが“法を守るのが奉行の務めだ"と取りあおうともしない。そんな折り、吉宗は日本橋のローソク問屋「相模屋」の娘・おわかと手代の鶴吉と知り合った。二人をよく知るおちよによると、おわかと鶴吉は恋仲だという。だが、その鶴吉が盗賊の一味だと判明し…

 かなりシリアス度の強い回。

 自分を牢屋にぶち込んだせいで、親の死に目に会えなかったと言いがかりをつけてくる町人に、ならばそんな大事な時に何故喧嘩をしたのだ、と切り返す法の番人ぶり。そして何も間違っていないのに、市井の人々に嫌われてしまう悲哀。その実、かつて仲を引き裂かれた女が忘れられず、以後妻帯もせず孤独を貫いているという人間味……。
 鬼奉行・小笠原右京、素晴らしいキャラクターだった。西田健の名演も光る。
 鶴吉との和解は、時間の都合上あっさりめだったが……(^^;

 ところで、小笠原右京は身分を明かした吉宗に対し、「身共」という一人称をを使っていて、渋くて良いなあと思っていたのだが、これは本来なら、同輩かそれ以下の相手に使うもののようだ。




#23:剣難女難の恋指南
脚本:鈴木則文 監督:松尾正武

吉宗は、ひょんなことから加賀藩主の息女・琴姫と、琴姫に惚れている奥州三春藩主の嫡男・秋田伸之介と知り合った。伸之介の人柄に好意を持った吉宗は、なんとか二人の間を取りもとうとするが、琴姫は「将軍の妻になるならいざ知らず、三春三万石に輿入れする気などまったくない」と言い、逆に将軍とは知らず吉宗に想いを募らせる。そんな折り、加賀藩でお家騒動が持ち上がり、琴姫と姫の弟・鶴丸の命が狙われるハメに…。

 頼りない男の片思い成就譚という、オトコの願望エピソード(笑)
 恋に身分の上下無し、身近なところで自分を思ってくれる人に目を向けてみては(これも片思い男の心の叫びかも……)、などなど恋愛論がテーマとして出てくる。

 しかしそれならば、何も琴姫や伸之介のそれだけが恋ではない。たとえ不義の関係でも恋は恋ではないだろうか。
 主君の妾と関係をもつ男、夫の家臣と成してしまう女。
 例え人倫にはもとっていても、と言うより人倫にもとっていても止められないのも、一つの恋のかたちではあろう(嫡男・鶴丸を殺して不義の子に家督を継がせようというのは、不純な要素ではあるが……)。

 恋愛論をテーマにするのなら、そのあたり、少しスポットを当ててくれても良かったようには思うが、両者ともあっさり成敗されてしまった。
 まあ江戸時代において、妻の不義密通、既婚女性との不義密通はいずれも最高レベルの重罪(市中引き回しの上死刑)なので、時代背景的には自然なのだが……そこは現代人の作る時代劇なのだし、吉宗に成敗されるのは当然の成り行きとしても、作り手は少しだけ情けをかけても良かったのかなと。

 しかし大した説明もなく、ナチュラルに「お由良の方」とか言うので、陰謀に薩摩が絡んでくる話なのかと一瞬ビビった(笑)
 時代劇を好むような層ならば、(漢字は違うけど)名前だけでわ悪女なのだと分からせる、限られた時間でキャラクターを立てるネーミングだ。




#24:怪奇!天狗の花嫁
脚本:今村文人 監督:荒井岱志

門前仲町で茶店を開いているおきた・おてる母娘が「夜中に家の周囲で気味が悪いことが起こる」と、め組の相談所を訪れた。そこで辰五郎が卯之吉たちを用心棒として茶店へ行かせたのだが、その夜、家鳴りと共に天狗が現われ、仰天している卯之吉たちを尻目に、おてるがさらわれてしまうという騒ぎが起きてしまう。だが、翌日この話を聞いた吉宗はどうしても信じられずにいた。そんな中、おてるが戻ってきたとの知らせが届くのだが…

 吉宗が悪玉のもとに天狗の面をかぶって乗り込むこともあり、「う、上様……」のくだりをやる前に敵が斬りかかりにいく、ちょっと珍しいパターン。
 自分の実の子ではない知りながら我が子のように愛する(愛した)父親、というのは、何回か前の町医者のときもそうだったな。




#25:吉宗見参!女剣士の挑戦状!
脚本:石村嘉子 監督:荒井岱志

ある夜、一人の侍が覆面姿の男数人に斬り殺されるのを目撃した吉宗。その場に駆けつけると男たちは逃げてしまったが、直後に男装の女剣士が現れ、いきなり吉宗に斬りかかってきた。どうやら吉宗が侍を斬り殺したと勘違いしたようだ。数日後、女剣士の素性が判明。女は先年病死した御納戸頭・斎藤甚左衛門の一人娘なのだが、なんと男として育てられてきたという。さらに、甚左衛門は病死ではなく何者かに殺されていたことが分かる。

 あくまで自分は男だと言い張る女剣士・千之助。
 最初は父を失ったことで、自分が家を守るために男の振りをしているのかと思っていたら、あらすじにもある通り、幼少から男子として育てられたという。
 しかもどうしても男子が欲しかったという理由だけならまだしも、父親が生まれる子が男だと仲間内で賭けてしまい、負けず嫌いで後には引けなくなったため、という理由もあって、それはさすがにどうなんだと(笑)

 それはともかく、そういうジェンダー的に複雑なキャラクターを取り扱うのは、ちょっと1話完結形式のドラマでは難しかったか、消化不良な感。
 女として生きる道を選ぶ……というオチは、まあこの手の話ではよくあるけど、彼女の場合生まれた時から男して育てられ続けたということを思うと、今更女として生きていけるのかなとも思う。
 まあ、江戸時代に千之助が男として生きていくのは難しいだろうし、そもそも彼女の選択自体は、本人が納得して選んだものだからそれで良いのだろうが。
 終盤、吉宗と果し合いに望み、まったく歯が立たなかったことで、武家の男子として生きる道を吹っ切ったという部分もあるだろうし。

 ただ千之助に対して、吉宗らが「女の幸せ」なるものを追求するよう諭す姿が、あまりに無批判に描かれるあたりに、身体の性と心の性は当然一致するものと信じて疑わないジェンダー観が表れていて(というより、心の性なんて発想すらない)、1995年という時代を感じるところではある(まあ今でも大して変わらないかもしれないが)。
 もちろん、江戸時代という舞台設定との整合性を考えるなら、吉宗らの言動自体はおかしくはないのだけど、もし江戸時代だから敢えてやっているのなら、それをそれとなく示すことはできるはずなので……(男として生きる生き方に理解を示す台詞を、一言誰かに言わせるとか)。


 ラストの殺陣はいつも通りあっさり。
 津田藩藩士を殺した下手人について千之助が、喉元を抉る加藤一心流の殺人剣・荒波(荒浪?)と看破しており、敵方の用心棒はそんな一派の親玉ということもあって、もしかしたら結構吉宗に渡り合うのかと、少し期待したのですが……(笑)
 貫禄のある体格、ざんばら頭、髭と、いかにも悪の剣客めいた風貌だったし。

 一応、師範代と吉宗を挟み撃ちにしようと背後から斬りかかろうとしたところ、吉宗が咄嗟に障子を引いて防ぐ、というちょっとした見せ場にはなっていたけど。
 ちなみに劇中では名前が出てこないので、役名はEDのキャストの順番的に、柿沼大膳(演:岩尾正隆)かな?と推測するしかない。詳しくないため俳優で判断できないので……。
 
 ちなみにこの柿沼(仮)に、尾張屋が自分の所に女中奉公に来た女の子たちを差し出すというシーンがあって、ちょっとエグいなと思ったりも。このあたり、女性脚本家ならではかな。
 その女の子たちが逃げ出してめ組のところへ逃げ込んだ際、追ってきた尾張屋の面々を追い返す北島三郎が、迫力があってカッコ良かった。

 良かったと言えば、川から引き揚げられた橘屋を自殺と断定し、そんなはずはないと食って掛かる楽太郎らに怒鳴り散らす同心も、その小物感、ダメ役人感が良い味出ていた(笑)




#39:吉宗・騙りを働く!?
脚本:藤井邦夫 監督:松尾正武

吉宗は、ひょんなことから“大岡越前"の名をかたる浪人に出会った。小雪に調べさせたところ、浪人の名は大岡源次郎と判明。吉宗が本人に糾すと、自分は“一善"という雅号をもっていて、それを名乗ったととぼけたことを言った。数日後、吉宗はめ組の連中が源次郎を尾行しているのに気づき、辰五郎にわけを尋ねた。すると、源次郎と同じ長屋に住む娘・お咲が“源次郎が命に関わる危い真似をしている"とめ組へ相談に来たという。

 番組表を見たら、いきなり#39と飛んで驚いた。つまりこの番号は、この再放送用に振られたものではなく、正式なものなのだ。初回のスペシャル放送は、エピソード番号のカウントでは番外となっているということなのかな。

 ラストの成敗が、いつものお庭番2人によるフィニッシュではなく、源次郎とお咲に手を下させて、恩人ないし父の仇を遂げさせるという珍しいパターン。
 それに伴ってか、最初に敵が吉宗に斬りかかるのを左平次が防いだほか、その後のお決まりのお庭番の殺陣のパートも、いつもより微妙に長ったような気がした(と思ったのはこれが前回までと連続したエピソードと思って見ていたからで、実際には25話から39話に至るなかで徐々に変化したのかもしれないが)。

 それはともかく、一応武士である源次郎はともかく、堅気の女であるお咲に、いかに父の仇とはいえ人を殺させるのはどうなんでしょ。




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