ブラック・メタリックという魅力(埼玉県内某所・3回目) | 首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

雑誌編集者である著者が自ら首都圏の公園や自然地に足を運び、そこで出合った生きものの情報をお届けします。
都会の印象が強い東京にも、カワセミやタカ、多くの昆虫が暮らしています。「首都圏ってこんなに生きものが多いのか」と驚かされる情報が満載です。

例のキバネツノトンボの出現スポットに、三度訪問。

初回では見かけはしたものの撮影はできず、2回目ではそこそこの遭遇率。

さらに1週間のスパンを置けば、恐らく最盛期にぶつかるであろうと想定し

これまでとほぼ同じ時間帯に散策できるよう調整して3回目の撮影に出かけました。

 

写真はヒバリです。この時期このスポットではほぼ確実に見られます。

飛びながら鳴いているシーンが多いのですが、地面に降りていることも。

ただし、降りている時は保護色で非常に目立たないため

気づかないうちに近づき過ぎて飛ばしてしまうなんてこともしばしば。

 

 

 

 

 

荒野といいたいところですが

向かって右側奥には深い雑木の森が広がっています。

乾燥した草地としっとりした森が隣り合うため

それぞれの環境に適応した生きものが共存しています。

 

写真だけだとアフリカのサバンナみたいに見えるかもしれませんが

全体的には多様な環境が集まっているのです。

だからこそ飽きが来ないですし、

同時に一度の散策では回り切れないスポットといえます。

 

 

 

 

 

さて、予想ではこの日が出現のピークではないかと踏んでいましたが

狙い通り、訪問してすぐにキバネツノトンボに遭遇。

それも1匹ではなく、複数個体が草原全域で飛び回っており

お馴染みのご開帳シーンも簡単に押さえることができました。

 

本来であれば翅を開いてくれるのは止まった直後の数秒間だけなのですが

この日は妙にご開帳シーンを多く見かけた気がします。

 

 

 

 

 

捕まえるのも割と簡単です。(もちろん網は不使用)

翅を閉じた時に後ろから翅をつまみます。

身体は柔らかく無防備なので、必ず翅を持つようにしています。

 

 

 

 

 

なお、翅を手で持っていると手汗で湿ってしまい

キバネツノトンボはしばらく飛べなくなります(汗)。

放っておけばすぐに元通りになりますが

責任持って(?)乾くまで手の上で保護してあげるのがいいでしょう。

(ここは自然度が高い分天敵も多いので、飛べない状態で野に戻すのは非道な行為かと思われます)

 

先日の羽化直後のジャコウアゲハと同じく、

翅を乾かす際にはキバネryもご開帳しますので

この時に撮影しまくるという選択肢もあります。

 

上の写真を撮った3秒後に、完全に翅が乾いたのか元気に飛んでいきました。

 

 

 

 

 

キバネツノトンボの顔をクローズアップしてみましょう。

ラピュタの老技師か釜爺か、いずれにしてもジブリ顔です。

紅の豚にも似た顔がいると聞きますが、まだ見ていない

 

毛むくじゃらでわかりにくいですが、

口には肉食昆虫らしく鋭い牙があります。

もっとも、噛む力は決してそんなに強いわけではなく

前に試しに噛まれてみましたが、出血もせず大したことはありませんでした。

(クビキリギスの牙、オオカマキリの鎌あたりはたまに出血します)

 

 

 

 

 

これだけの個体数なら見られるかも?と踏んでいましたが

予想通り、昨年に続いて交尾シーンを抑えることができました。

 

交尾中は翅を閉じると邪魔になるためか

多くの場合、メス(だろ?)は写真のようにご開帳したまま静止します。

 

 

 

 

 

横からのアングルです。交尾の際には互いに別の方向を向くこともあれば

写真のように同じ方を向き、オスがかなり無茶な姿勢をとることもあります。

要は繋がればOKなので、人と同じで体位は色々とあるわけです。

 

 

 

 

 

 

植物の話も少し。

左の花は、先日石砂山で撮影したクサノオウではないかと思われます。

右はお馴染み、カントウタンポポが群生する土手です。

 

 

 

 

 

 

小さな昆虫にも遭遇。

クロハネシロヒゲナガ(左)と交尾中のムナキルリハムシ(右)です。

いずれも、市街地で見られるような昆虫ではありません。

 

本ブログではここ1ヶ月ほどやたらニッポンヒガナガハナバチが登場していますが

同じ「髭長」でもこのクロハネシロヒゲナガの髭(触角)はさらに長い。

しかもこの触角を噴水型に広げたままで飛ぶので

小さい昆虫にも拘らず、一度観察すると強く印象に残ります。

 

 

ちなみにこのクロハネシロヒゲナガですが

本ブログでは新顔となります。ヒゲナガガという蛾の仲間です。

 

遭遇率・・・3

インパクト・・・3(小さいですが非常に印象に残る飛び方)

美しさ・・・3 (よく見ると翅がメタリック)

俊敏性・・・3 (なかなか止まってくれないのが難点)

 

 

 

 

 

 

地味ながらも日本固有種であるマドガ

昼間に活動し、花の蜜を吸いに訪れます。

セセリチョウよりもビジュアル的には奇麗とか言ってはいけない

 

 

 

 

 

とある池にだけ現れるヨツボシトンボ

遠距離で写りはイマイチですが、今年もちゃんと確認できました。

ウシガエルやガビチョウの鳴き声が聞こえるなど

お世辞にも優れた環境とは言い難い池なのですが、

ちゃんと命を繋いでいるようです。

 

 

 

 

 

森の中から顔を出したキジ♂

あちこちから声が聞こえますが、若干警戒心が強いらしく

そう簡単には見える所に出てきてくれません。

また、草むらに隠れていてうっかり近づき過ぎ

飛ばしてしまうというハプニングもよくあります。

 

 

 

 

 

ここから、地味ながら新顔2種をご紹介。

まずはこちら。キバラヘリカメムシといいます。

 

遭遇率・・・2

インパクト・・・2

美しさ・・・3 (引っくり返すと鮮やかな黄色らしい)

俊敏性・・・3

 

名前の通りお腹の部分が黄色いそうですが

上から見ていても全く気づけません。

また、カメムシ独特の嫌な青臭さではなく

青リンゴのような香り(?)がするとかしないとか……。

そういう情報は帰ってから検索して初めて気づいたことだったので

この時は屁をかけられたくなく、触って確かめようとしませんでした。ちと後悔。

 

 

 

 

 

こちらも新顔。キイロナガツツハムシといいます。

 

遭遇率・・・2

インパクト・・・1

美しさ・・・4 (光沢あるオレンジ色)

俊敏性・・・3

 

ハムシの系統は種類がべらぼうに多いため

識別するには毎度図鑑のお世話になっています。

中には、似ているけれど違う種なんていうのも結構いますので

誤認しないよう慎重にチェックするよう心がけています。

(でも多分、それでも何度か誤認はしています)

 

 

 

 

 

こちらは比較的本ブログでもよく出てくるビロウドコガネ

光の当たり具合がドンピシャだったらしく、翅が青緑色に輝いています。

一見地味な昆虫も、角度を変えるときれいに見える……

こういうことはしばしばありますが、撮るにはコツが求められるものです。

 

ただし、タイトルにあるブラック・メタリックとはコイツのことではありません。

この日最大の収穫は、森の中でありました。↓

 

 

 

 

 

切り株の上でジッとしている、やや大きめの甲虫。

フォルムはタマムシによく似ていますが、色は黒褐色でやや地味。

飛ばさないように注意して捕獲し、

光の当たる場所に移動して観察してみた結果……?↓

 

 

 

 

 

木漏れ日を浴びて輝く姿。これはウバタマムシに間違いありません。

図鑑では何度も見ていたものの、実物に会うのはこれが初めて。

本家のタマムシ(ヤマトタマムシ)よりもレア度が高く

その筋ではなかなかの人気者と聞いています。実際、私も俄かに興奮していました。

 

遭遇率・・・1 (マツ林にいるらしいがそう簡単には会えない)

インパクト・・・3

美しさ・・・4 (さすがに本家タマムシには劣る)

俊敏性・・・3(本来は意外と活発に飛ぶ模様)

 

ここまでに紹介してきたハムシの系統と比べると明らかにデカく、

印象に残りやすい昆虫です。翅が歪んでいるように見えますが、

これはケガや病気ではなく「仕様」。図鑑にもこれと同じ姿で写っています。

 

 

 

 

 

正面からクローズアップ。

本家と同じく顔はあまり可愛くありませんが(汗)

黒地に星をちりばめたかのような配色は、

恐らく誰の目から見ても「美しい」と感じられるものです。

 

狙って撮れるような昆虫ではありませんので、

この機会に角度や光の方向などを調整しつつ、何十枚も写真を撮りました。

 

 

 

 

 

裏返すとこんな感じ。こちらもメタリックカラーです。

この個体は大人しかったので実質撮り放題でしたが

本家と同じく結構よく飛び回るので、逃げられることも多いとか。

もし公園等で見かけることがありましたら、

写真に撮るより前に、まずさっさと捕獲しましょう(爆)

(数が多くないので、観察・撮影後は極力逃がしてあげてください)

 

 

 

 

 

夕暮れの帰り道にて。イワツバメが河原の運動場で砂浴び(?)していました。

この近くには戸田市と同じく大きな橋があり、

恐らくそこに集団営巣しているものと思われます。

 

 

この1週間後に4回目の訪問をしましたが

そちらの記録につきましてはまた後日お送りいたします。

 

現状、県境を跨がないよう自主規制を課していますゆえ

ここを訪れる機会も必然的に増えましたが、

そのおかげもあって色々新しい気付きもありました。

ウバタマムシに出合えたことも大きな収穫です。

ただし、それで私がコロナに感謝するのかというと

それはそれ。これはこれ。

 

 

【5/2 埼玉県内某所で撮影した生きもの】

鳥類・・・イワツバメ、オナガ、ガビチョウ、カワラヒワ、キジ、キジバト、シジュウカラ、セグロセキレイ、チョウゲンボウ、ツバメ、トビ、ハクセキレイ、ヒバリ、ホオジロ、ムクドリ

昆虫類・・・アオスジアゲハ、イタドリハムシ、ウズラカメムシ、ウバタマムシ、オオスズメバチ、オナガアゲハ、キイロナガツツハムシ、キタキチョウ、キバネツノトンボ、キバラヘリカメムシ、クマバチ、クロハネシロヒゲナガ、クロボシツツハムシ、コアオハナムグリ、コアシナガバチ、コチャバネセセリ、コミスジ、ササグモ、ジョウカイボン、セイヨウミツバチ、ツチイナゴ、ツマグロヒョウモン、テングチョウ、ナナホシテントウ、ナミテントウ、ニジュウヤホシテントウ、ニッポンヒゲナガハナバチ、ハエトリグモの一種、ハグロケバエ、ヒメウラナミジャノメ、ビロウドコガネ、ベニシジミ、ホシハラビロヘリカメムシ、マドガ、マメコガネ、ミヤマチャバネセセリ、ムナキルリハムシ、モンカゲロウ、モンキチョウ、モンシロチョウ、ヤブキリ、ヤマトシジミ、ヤマトシリアゲ、ヨツボシトンボ

その他・・・ニホンカナヘビ