もふもふで和むくらいで留めた方が幸せなのかもしれませんが(検見川浜のコアジサシ・2回目) | 首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

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雑誌編集者である著者が自ら首都圏の公園や自然地に足を運び、そこで出合った生きものの情報をお届けします。
都会の印象が強い東京にも、カワセミやタカ、多くの昆虫が暮らしています。「首都圏ってこんなに生きものが多いのか」と驚かされる情報が満載です。

先日ご紹介した検見川浜(千葉市)コアジサシ繁殖地

再度足を運んでまいりました。前回訪問した時と比べても

コアジサシの数が多く、あちこちから鳴き声が聞こえます。

 

写真はもちろん氷山の一角。

実際に営巣している数はとても数え切れません。

無理して数えようとすれば間違いなく発狂します

 

 

 

 

 

改めまして

コアジサシのいる風景です。

手前の砂浜に多数集まっているのがわかりますでしょうか?

 

 

 

 

 

上でもちらと触れましたが、この日は前回と比べて風が少なく

多くのコアジサシが上空を舞っていました。

私のすぐ数メートル真上を飛んだ個体もいたほどです。

 

また、風が穏やかだったためか、釣り客も多数見られました。

多分サーファーやバードウォッチャーより多かったと思われます。

 

 

 

 

 

頭を小突いてDVしているように見えるかもしれませんが

全然そんなことはありませんのでご安心を(汗)。

多分ご夫婦ではないかと思われます。

よく見ると、座っているメス(だろ?)の下に

ちょっとだけ雛の姿が写っているような気も……?

 

 

 

 

 

ちなみにこれがコアジサシの

前回訪問した際にはまだ孵化していなかったのか

風が強くて飛ばされないよう親が覆いかぶさっていたのか

全く目にする機会がありませんでしたが、

今回は囲われた営巣地内をウロウロしている個体を多数見かけました。

 

とりあえず、もふもふしています。

砂の色と同化していて目立ちませんが、

歩き回る姿は非常にかわいいです。もふもふニコニコ

 

 

 

 

 

ちょっと成長した雛。

羽などが成長するのに伴い、もふもふ感が次第に薄れていきます。

残念に感じるかもしれんが、それが成長っちゅうもんだぁ。

 

 

 

 

 

さらに、成長

くちばしも立派になり表情も精悍に。

しかしまだ飛べませんので、こうして草むらに隠れています。

 

 

 

 

 

飛べるようになるまであと少しという若鳥。

この辺りまで来ると、羽ばたいて飛ぼうとする様子も見られます。

実際、巣立ちまであと少しといったところでしょう。

 

ここまで来ると行動も活発になり、

成鳥たちと同じく、囲われた繁殖地から外に出てきてしまうことも。

 

 

 

 

 

反抗期(違)

 

 

 

 

 

小さい雛の内は、親鳥が手厚く守り育てます。

(嫌がっているように見えるのはご愛敬)

こんなふうに上に覆いかぶさって……。↓

 

 

 

 

 

完全に覆い隠してしまいます。

こうなると、パッと見では雛の存在がわかりません。

 

 

 

 

 

そして、繁殖地ならではのメインディッシュといいましょうか

雛に魚を与える瞬間を押さえることもできました。

昨年は酒匂川で結納(?)シーンを押さえていますが

子育てシーンを撮影できたのは本ブログでは初めてのことです。

 

また、よく見るとが2つ見られます。

かつて、この卵を食用に採取したバカ者がいたせいで

コアジサシがしばらく繁殖しなくなってしまったそうですが

ンなことは二度と起きないでもらいたいものですね。未来永劫

 

 

 

 

 

魚を食べる雛。

 

ここを訪れる多くのバードウォッチャーはこういうシーンを求めていますが

だからこそ、子育て中は非常に気を遣います。

諸説ありますが、私は極力座って低姿勢から撮影するよう心がけています。

少しでも自分を小さく見せることで、鳥の警戒心を和らげるのです。

(実際、折りたたみ椅子を持参されている方が多いですね)

 

これは大磯でのアオバト撮影の際にも使える手法です。

低姿勢で待つことで、岩礁に降りる回数が多くなる……らしい(弱気)。

 

 

 

 

 

と、ここまで心温まる(?)ストーリーをお届けしてまいりましたが

これだけ個体数が多いと、どうしても不幸な出来事は起きるもの。

人間に虐待家族が一定数いるのと同じで

実際この日も、違う巣に迷い込んだ雛が成鳥から物理攻撃を受け、

動かなくなってしまうという痛ましい事件に遭遇してしまいました。

(あまりに痛々しいので写真掲載は控えます(汗))

 

コアジサシはふ化から成鳥に至る確率が決して高くなく

巣立ち前に命を落としてしまう個体も多いと聞いていますが

人間がその直接的要因になることはごく稀だとか。

(繁殖地の開発による被害はもちろんあるのでしょうが)

命を奪う大きな要因は、同じ鳥、カラスなどはもちろんのこと

同じコアジサシの成鳥にやられてしまうことも多いようです。

 

ちょっと違う巣に迷い込んだくらいで殺●されるというのは

我々の目から見ると過剰防衛に見えなくもないですが、

まあ人間の場合でも、日本人でさえ自宅に知らないガキ子供が侵入したら

追い払おうとしますよね? きっとあれと同じことなのでしょう……。

 

「そんなことやっているから絶滅危惧種になるんじゃね?」

私も一瞬思いましたし、誰もが一度は通る道かなとも思うのですが

そもそも絶滅危惧という概念自体が人間特有のものであり

コアジサシは「自分の子孫を残す」ことしか考えていない可能性もあります。

(コアジサシ語はわからないので、真実は不明です)

また、成鳥同士でもこの日は争いが見られ、

海から持ち帰った魚を、それまで休んでいた別の親が

横取りしようと襲い掛かる……などなど、

もふもふで癒される一方、自然界の暗黒面をたっぷりと見せつけられました。

 

ただし、無論それに対して人間が介入することはご法度。

どれだけ可哀想で個体数が心配でも

「自分にとって邪魔な個体は排除する」というのが

彼らの中で自然の流れなのだとすれば、そこに人間が私情を挟むことは

単なるバランスの破壊になってしまうのです。できるのはただ見守ることだけ。

 

野生生物は常にと隣り合わせであるのみならず

時に人間社会以上に理不尽かつ汚いものを見せられることもあります。

人の手で囲われ守られている繁殖地でも、それは例外ではありません。

 

子供には刺激が強いかもしれませんが、一度はしっかりとその凄惨な実態を

目に焼き付けた方がいいのかもしれません。本気で自然と向き合いたいのならね。

 

 

 

 

 

帰り際に撮った1枚。こうして俯瞰で眺めると、

人とコアジサシが隣り合わせであることが一層よくわかります。

 

 

 

 

 

なお、繁殖地ではカラス除け対策が施されているためか

カラスたちは少し離れた足洗い場(?)に集っていました。

 

カラスは人慣れしていると言われる一方、

人を正しく怖がる術も心得ているらしく、

安易に人の集る場所には近寄りません。

ああしてサーファーやバードウォッチャーが集まっている状況は

それだけでもカラス除けになっており、コアジサシにとってみれば

プラスに働いているという見方もできるかもしれません。

 

 

コアジサシ「新型コロナで外出自粛とかやめぇや。

あのカラス誰が追っ払うんだよ。あ?(ケンカ腰)早く何とかしろよ健作

……などと思われていた可能性もゼロではないのです。キョロキョロ

 

ここまでガラが悪いかどうかは怪しいですが

雛の殺●シーンを見せられた直後ではありえないとも言い切れないのが……。