濃霧に消ゆ(埼玉県県民の森) | 首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

雑誌編集者である著者が自ら首都圏の公園や自然地に足を運び、そこで出合った生きものの情報をお届けします。
都会の印象が強い東京にも、カワセミやタカ、多くの昆虫が暮らしています。「首都圏ってこんなに生きものが多いのか」と驚かされる情報が満載です。

冬にオオマシコを撮影した埼玉県県民の森を目指し、

芦ヶ久保駅から歩いて向かいました。

片道2時間以上かかる厳しい上り坂で、

本来であれば徒歩で向かうべきではない道のり。

しかしバスが通っていないため、自家用車のない私は歩くしかないのです。

 

そこへ来て追い打ちをかけたのが、悪天候に伴う

芦ヶ久保の駅近くではほとんど問題なかったのですが

標高が高くなっていくに連れてどんどん霧が濃くなっていき

県民の森手前までくると大分視界が遮られました。

ガチでこのまま帰れなくなるんじゃないかとビビりました

 

また、前回のような冬場と比べて非常に蒸し暑かったため

徒歩での移動は厳しいものです。

ここまでくると引き上げた方がよさそうにも感じますが

幸運にも雨が止み、今後なかなかチャンスもなさそうだったので

多少のリスクは覚悟の上で県民の森に向かいました。

 

 

 

 

 

 

道中、いくつかの種類のキイチゴを見かけました。

右の黄色いものはモミジイチゴ。割と有名な、美味なキイチゴです。

左は……あまり美味しそうには見えませんが一応キイチゴの形はしています。

ただ種類がちょっとわかっておりません。情報求ム。

 

 

 

 

 

道中の農耕地で見かけたホオジロ(知名度は4)。

偶然にもこちら向きの姿で撮影できました。

見られてる見られてる(汗)

 

 

 

 

 

道中で初めて見かけた、自生のヤマオダマキ

こうした山地の林縁部に生える傾向にあるそうですが

平地ではまず見る機会はないでしょう。

花がやや大き目でユニークな形状をしているからか

初夏の花壇などでは割とよく見かけるはずです。

 

 

 

 

 

こちらはヤマブキショウマ。やはり林縁に生えていました。

オダマキよりも草丈が高くサイズも大きいのでよく目立ちます。

これもまた平地ではまず目にする機会がないようです。

 

 

 

 

 

 

県民の森の中。前日に結構な雨が降ったため

足元はぬかるんでいて正直悪路でしたが

歩けないほどではなかったので、無理しない範囲で森を歩きます。

 

 

 

 

 

夏場に足を運んだのはこれが初めてということもあり

新顔の昆虫にもいくつか遭遇しました。

まずは1種類目。ビロードナミシャクという蛾の仲間です。

 

遭遇率・・・2 (森の中では何度か遭遇しました)

インパクト・・・2

美しさ・・・3 (稲妻のような模様がちょっとキレイ?)

俊敏性・・・3

知名度・・・2 (図鑑にはそこそこ掲載されています)

 

 

 

 

 

デイキャンプ場もありますが、こんな悪天候では当然というべきか

利用者の姿は見当たりません。というか私以外人がいません(汗)

 

ぶっちゃけKUMAとか出る可能性もありますゆえ

散策するなら自己責任で。自然地に足を踏み入れる以上

リスクゼロというのは絶対にありえません。

 

 

 

 

 

 

高い自然度を反映してか、カワトンボ(左)やヤマアカガエル(右)なども

そこそこの頻度で出現しました。ヤマアカガエルは平地だと遭遇率が低いため

コンスタントに遭遇できたのは嬉しいことです。

 

 

 

 

 

そして水場で、こんなものも発見しました。

おお、これが噂に聞いていたモリアオガエルの卵ですな。

こういう卵を産むという話は割と知っている人も多いものの

実際に目にした方は少ないのではないでしょうか?

 

ちなみにこの特徴的な卵と産卵方法が有名なためか

遭遇率が低いわりに、モリアオガエルの知名度は割と高めです。

5点とまではいかないものの、4点としてもいいのではないでしょうか。

 

 

 

 

 

こんなもん手に乗せてどうするの?といわれそうですが

まあ、ザトウムシです。こういう深い森ではおなじみですね。

ザトウムシの知名度は3寄りの4くらい……かな?

釜爺やマトリエル(エヴァの使徒)のモチーフという説もありますし

少なくとも虫好きの間では結構メジャーです。

 

 

 

 

 

大分前に1度だけ撮ったことのあるヤマトカワゲラ

黄色く縁取られた黒い翅がオサレで、サイズもそこそこ大きく

飛んでいる姿はカワトンボ辺りを彷彿とさせます。

 

清流を好むゆえに遭遇率が低く、そのため知名度は低くなりがち。

カワゲラの中では割とメジャーなので1点とまでは言いませんが

高く見積もっても2点くらいかな?

 

 

 

 

 

 

ヤマトカワゲラを手に持ってみたところ。

身体が柔らかく、またトンボ等のように翅を持って観察するのが難しいため

この手の昆虫を持つ際には潰さないよう絶妙な力加減が求められます。

まあ、そこまでして手に持って観察する人はいないかもしれませんが(爆)

 

ちなみに上でちらと触れましたが、清流を好むカワゲラは

環境の良い小川環境があることを示す指標動物とも言えます。

つまりもし見かけたら喜ぶべきということ(?)です。

 

 

 

 

 

こちらは新顔その2。非常にわかりにくいですが、

やたら尖った鼻(?)の昆虫が下を向いています。

(全身に水滴をまとっているので形状がややわかりにくいですが)

正体はテングアワフキ。名前の由来は恐らく見た目そのまんま。

 

遭遇率・・・2 (山地を好み、生息数自体はそんなに少なくない模様)

インパクト・・・2 (名前通りに尖った頭部が特徴的ですが、めっさ小さい……)

美しさ・・・2

俊敏性・・・4 (ノミバッタほどではないですが、ビビるとすぐ逃げます)

知名度・・・2 (図鑑には出ていますが……)

 

アワフキムシの仲間ということですが、生息域はほぼ山限定の模様。

高尾山や御岳山ならば見る機会もあるのでしょうか?

 

 

 

 

 

新顔をもういっちょ。ジンガサハムシの仲間で

コガタカメノコハムシといいます。

この系統で一番よく見かけるイチモンジカメノコハムシと類似していますが

名前の通りサイズは小さく、また翅の模様もより黒い部分が広くなっています。

 

遭遇率・・・2 (やはり山地に分布する)

インパクト・・・1 (非常に目立ちにくい)

美しさ・・・2

俊敏性・・・3 (ちゃんとハムシなので飛んで逃げることもあります)

知名度・・・2 (馴染みのない昆虫ですが、図鑑には割と載っています)

 

この系統のハムシでは、恐らくジンガサハムシが知名度3で

それ以外は押しなべて1寄りの2といったところでしょうか?

結構種類が多いため、撮影したらその都度図鑑でチェックしています。

 

 

 

 

 

以前に紹介したことのあるヒメシロコブゾウムシ

ゾウムシならではの長い頭部と、名前通りのコブだらけの身体が特徴。

知名度は……恐らく2くらいかなと。

3というほどは認知されていない気がしますからね。

 

 

 

 

 

かなり遠方で証拠写真レベルですが、クロツグミのメスにも遭遇しました。

ちなみにオスの姿も見かけたものの、撮影前に逃げられています……。

だから森で夏鳥を探すのって嫌なんだよ

 

こちらはバードウォッチャーの間では人気が高く有名な夏鳥ですし

図鑑にも普通載っているので知名度は3くらいあるのではないかと思われます。

 

 

 

 

 

 

そうして霧に包まれた市民の森から無事帰還(もちろん徒歩で)し

2時間弱かけて芦ヶ久保の駅前に戻ってまいりました。

やや早かったですが、駅前の食堂で夕食(左)を済ませました。

田舎そばに、山らしく山菜の天ぷらもつけていただきます。大変美味。

 

右は地元産のイチゴのジェラート。前回がブルーベリーだったので

今回ちょっと変えてみました。味は、これまたジェラート化したイチゴそのもの。

非常に濃厚かつ美味。多少値は張りますが、自信もってお勧めできる逸品です。

 

 

 

【6/21 埼玉県県民の森で撮影した生きもの】

鳥類・・・アオゲラ、ガビチョウ、キジバト、クロツグミ、コガラ、セグロセキレイ、ツバメ、ハクセキレイ、ヒヨドリ、ホオジロ

昆虫類・・・アメンボ、イカリモンガ、オオアメンボ、オオチャバネセセリ、オバホタル、カワトンボ、キマダラセセリ、コガタカメノコハムシ、コジャノメ、ザトウムシ、シモフリコメツキ、ジョウカイボン、スジグロシロチョウ、ダイミョウセセリ、ツノアオカメムシ、テングアワフキ、ナミテントウ、ヒメジャノメ、ヒメシロコブゾウムシ、ヒラズネヒゲボソゾウムシ、マメコガネ、ムネアカオオアリ、モンカゲロウ、ヤマトカワゲラ、ヤマトシジミ、ヤマトシリアゲ、ヤマトフキバッタ(幼虫)、ユウマダラエダシャク

その他・・・ヤマアカガエル ※モリアオガエルの卵